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「少女」の社会史 みんなのレビュー
- 今田 絵里香 (著)
- 税込価格:3,630円(33pt)
- 出版社:勁草書房
- 発売日:2007/02/01
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紙の本
ジェンダースタディーズと雑誌分析
2008/04/10 14:47
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、文字通り(実体としてではなく、表象であるところの)「少女」が、近代日本においてどのように形作られ、意味づけられ、さらには効果を及ぼしていったのかを、実証的に明らかにした労作である。本書の骨格を成すのは、アイディアとしてのジェンダースタディーズであり、方法論としての雑誌分析であるが、いずれも10年前には出そろっていた学問上の「武器」である。その意味で、本書にピュアなユニークさを求めるのは難しいのだが、しかし「武器」さえあれば誰でも書けるものではない以上、そしてその「武器」の使いこなし方の巧みさからいえば、本書は秀逸な成果といってよいだろう。それでもなお、同時期に、やはり「少女」を主題とした若桑みどりのお弟子さんが書物をまとめたように、小山静子のお弟子さんあるという本書もまた、出るべくして出た書物には違いない。
端的に言えば、10年前、ジェンダースタディーズと雑誌分析の高水準の成果が出そろった時期に、多少なりとも鋭敏なアンテナをはっていた大学院生が、それを自身のテーマとして練り上げながら、その「武器」をつかいこなす技術を身につけ、その分野で優秀な教員に指導を受けた場合、およそ10年足らずで博士号をとって出版にまでこぎ着けられるという、その意味ですぐれてロール・モデル的な軌跡のゴールこそが本書の「正しい」位置なのである。(本書でしきりにブルデューが参照されていたことは、皮肉にも当の著者・著書にこそ、よくあてはまる)要素と条件はそろっていたところに、唯一欠けていた著者が現れ、こうした実にコンテンポラリーなテーマを、それなりに脱政治化しながら語る世代の著者が登場したというわけだが、そのあまりに鋭敏なアンテナは、著者を「少女」研究の排他的な「若手のエース」にはしなかった。書店に行けば、横に類似商品が並ぶこととなったのだから。もちろん、内容までが類似しているわけではないが、こうして並んだ2冊の書物の軌跡もまた、すぐれて「社会学」的な自体に思われもするのだった。
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