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ネオリベラリズムとは何か みんなのレビュー
- デヴィッド・ハーヴェイ (著), 本橋 哲也 (訳)
- 税込価格:2,090円(19pt)
- 出版社:青土社
- 発行年月:2007.3
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紙の本
疾走するバスの中で
2007/05/13 12:54
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Living Yellow - この投稿者のレビュー一覧を見る
お城のてっぺんにラスボスがいてそいつを倒せば、世の中良くなるという世の中であれば、あまり煮詰まらずに生きていけるだろう。でもたまたま乗り込んだ高速バスの中にあなたを苦しめている敵がいるということが分かっていたとする。誰なのか、何人かも分からない。あなたは一人居心地が悪い思いをしながら座っているしかないのだ。しかしどっちがいいのだろうか。「敵がいる」と強く認識することと、「敵はいるけど、今ここで何か仕掛けてくるわけもないし」と気楽に構えるのと。ただどちらにせよバスから降りることはできない。
本書の著者はマルクスの強い影響下にあることを隠さずに、「支配階級」と「金融」の都合に合わせて、世界をバラバラにして流動化して、人々を競争させて支配するのがネオリベラリズムであると断言する。「階級闘争」はあり得ると言っていると理解していいだろう。その是非はともかく、「支配階級」の守るべき統一の利益は「金」で一致するのに対し、それに対抗しようとする人々の動機が「環境」であったり、「宗教」や「民族」だったり、「セックス」など実にバラバラにならざるを得なく、大同団結するどころか内部対立が避けられらないという、第一章での指摘はとても腑に落ちる。
第一章で「ネオリベラリズム」の現状分析を行い、第二章で地域ごとの経済的不平等を分析し、第三章「空間というキーワード」で空間を絶対的空間(物理的空間)、相対的空間(移動手段・周囲の環境とのなどとの関係で考察される)、関係的空間(そこにいる人々の内面、人々同士の関係と絡めて見つめられる)と分析している。ここでの9・11テロ、WTC跡を巡る考察は特に興味深かった。
「敵は確かにいる。この中に」
疾走する高速バスの中でこんなことを話し始めた人々の声を耳にして、しかし、あなたはどう接したらいいのか。近くに言って話しかけてみるか。先週のヤングマガジンを鞄からもういちど取り出して「工業哀歌元バレーボーズ」を読んでみるか(特に今、あれを読むのは気晴らしには向いていないだろう)。目を閉じ、ただ眠りを待つか。
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