紙の本
魔術師包囲網
2010/05/08 10:32
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
学園祭最終日。祭に浮かれる佐杏冴奈を不機嫌にさせたのは、かつて魔術師を狩った一族の末裔であり、魔術師保全委員会第三室長のフィラメル・スピノーヴァだった。アレイスター・クロウリー三世の保護を謳う彼は、城翠大学周辺に包囲網を敷き罠を仕掛ける。そしてその仕掛けは、三嘉村凛々子も巻き込んでいく。
一方、その当事者たるアレイスター・クロウリー三世は、天乃原周の下を訪れていた。果たして、学園祭最終日に犯行予告状を送って来たのは彼女か、それとも模倣犯の犯行なのか?
分冊の前半なので、舞台を整えるのが主な役割という感じ。それを、脇を固めるキャラクターたちのエピソードが彩る。この巻の主役は、魔術師以外の、学園祭を楽しむ人々かもしれない。
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城翠大学学園祭、最終日。その日の朝、城翠祭実行委員会本部に『魔術師からの挑戦状』が届けられた。――我は、学園祭開催場所である城翠大宮古キャンパスから、“学園祭の成功に不可欠なあるもの”を奪う――奇しくも四月の事件を再現するかのような文言がはたして真実となった時。時同じくして周はクロウリーと遭遇する。このタイミングは偶然なのか必然なのか、犯人は一体――?冴奈らはそれぞれの思惑で事件にアプローチしていく。四月の事件からのすべての決着をつけるべく魔術師たちの“最後”の物語が始まった!
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読書録「トリックスターズC PART1」3
著者 久住四季
イラスト 甘塩コメコ
出版 電撃文庫
p163より引用
“「精巧で緻密な嘘はーそれこそ芸術的とかっ
て賛美されるようなものはー嘘だけど嘘じゃ
ないんだ。そもそも嘘だと思われないし、逆
に嘘だとわかっていてさえそういうものとし
て信じられる、つまりその人にとっての真実
になるんだよ。それが僕の考えるきちんとし
たフィクションだね」”
体系化された学問としての魔術が存在する
世界を舞台に、確認されている数少ない魔術
師の周囲で起こる事件を描く、長編ミステリ
ライトノベル。シリーズ第五弾前編。
学園祭の運営で忙しく、寝不足の実行委員
会代表の下に、『魔術師からの挑戦状』が持
ち込まれた。多くの人員や参加者の協力で最
終日までこぎつけた祭りの成功のために、彼
は不安要素を払拭するよう行動する…。
上記の引用は、作家志望の高校生の台詞。
物語の作者はこういう心情で、作品を書き上
げておられるのでしょうか。著者の気持ちの
代弁なのかもしれません。しかし、その人に
とっての真実ばかりを見つめていると、行き
つく先は狂信になるのではないかと思われま
す。程々に信じて楽しく生きたいものです。
またも学園にちょっかいをかけてきた、魔
術師・アレイスター・クロウリー。無事に学
園祭は最後を迎えることが出来るのか、物語
は魔術師たちにどのような結末を与えるか、
続きを読まずにはいられない展開です。
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