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魔術的リアリズムとかいうラ米文学作品を読むにあたっての予習。
先週は魔術的リアリズムのアンチョコみたいなのを読んだけれども、照らし合わせながらこの本を読んでみたら、もう中南米の国民国家の発達というか形成過程がそのまま魔術的リアリズムの概念が形成される過程とかぶっているようにしか思えなくて、文学みたいな文化商品と社会状況との繋がりとかを観るのが楽しい自分にはとても面白かった。
最も面白かったのが、本書中ではちょっとしか出てなかったけれども、メキシコ・チアバスのサパティスタが声明中で言及する「ボタンサパタ」の話だ。理解はあまり深くないけれども、それは「500年の解放闘争の歴史の中で戦ったすべての人、今も戦うすべての人は”ボタンサパタ”だ」という感じの一種の集合主体で、もう単なる人工神話なんだけれども、おそらくその神話は先住民運動みたいなものを強くドライブしていて、これってまさにこの前読んだ「魔術的リアリズム」の、いつの間にか現実を観る視点を変えてしまい、そうなったらもう異化されるしかない、みたいな話とよくかぶるじゃないか、と思ったのだった。
とにかくとても面白かったけど、ラテン系の固有名が全然覚えられなくて辛かった。