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▼米澤穂信番外編。理解と補強の為のインタビュー。「市民の次は会社員だと漠然と思ってました」発言にちょっとびっくりする。▼なるほど、鮎川路線と都筑路線という分け方があるんだね。▼(京極夏彦が打ち出した「世界の謎」と「事件の謎」が繋がっていくという形式のミステリの、「世界の謎」の部分は本格ミステリとしては余分とした上で)笠井「『バイバイ・エンジェル』でデビューした人間がそれを「余分な部分」というのも妙ですね」……仰る通りです(笑)。▼滝本対談がおかしかった。けど、「凪いだ精神が、凪いだまま読めて良かったです」とは……。ははあ……。そういう読書って、何なんだろうね。そういう小説って、つまり、存在としては、何なんだろう。▼仲俣暁生の論文「エモーショナル・レスキューの憂鬱」が良かった。この人はいつも題名がかっけーです。『犬はどこだ』というタイトルを聞いた時、やっぱりどこかで不安げな気持ちになる。それを終盤、端的に表していていいと思った。「(『犬はどこだ』の結末があらわすのは)人間が人間を「レスキュー」することは――他人をであれ自分をであれ――本質的に不可能だという端的な事実である」(p.171上段)。単純なシーク&ファインドによる「青春小説=探偵小説」はもう書けないらしい、と。メモメモ。▼福島亮大さんの論文は非常に面白いのだけど、いまいちイメージしづらい。小説の「前半に地図を活性化し、後半に動く筈のないそれを浮き上がらせる」シミュレーション化作戦というのはなかなか面白い。メタマップ構想はまだ具体的な存在を確立できてないけど、可能性がありそうな天地だと思った。▼斉藤環センセの話。「もうひとつのセカイ」の断念→「成長」。「リセット可能な多重世界」がもたらす「希望」こそ偽。「悪くなかった世界」と「惨めな自分」の回復。うん。メモメモ。(08/2/16読了)