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人に薦められて読みましたが、本当に面白かったです!学生時代、古文は特に得意ではなかったですが、枕草子や源氏物語、栄花物語等、思わず読んでみたくなりました。
内容も全然堅苦しくなく、多くの方に読んで頂きたい良書です。
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山本淳子さんは以前、源氏物語についての対談集を読んだときに知り、すっかりファンになりました。
この本は、源氏物語が生まれた時代背景を学べるよう当時の事件と、天皇と后達の生き方についてが解説されています。
源氏物語が生まれた時代は一条天皇の時代。
紫式部や清少納言、そして藤原道長が有名ですが、このお三方の陰に隠れてあまり脚光を浴びていないのが一条天皇とその妻、定子と彰子です。
定子&清少納言 VS 彰子&紫式部 という構図は有名ですが、定子亡き後に彰子が入内ですから実は時代は被ってないんですよね。
ってそのあたりまでは道長の本を読んで知っていたのだけど、彼女たちの性格や生活なんかはこの本で初めて知りました。
定子は、受領層出身だけど教養の高い女性。彼女にとって漢文は窮屈な学問ではなく、堅苦しくも小難しくもない、日常を豊かにする華やかな娯楽だったのです。
そして、そういう文化を持つ中関白家の気風は後宮に影響を与え、当時は清少納言のように積極的に自分の意見を言う女房がもてはやされました。一世を風靡した中関白家文化に影響を受けた女房たちは派手な風流、当意即妙、気の利いたおしゃれな会話・・・こういうものがよいものとされる時代だったのです。
そんな定子が亡くなった後、中関白家に代わって台頭してきたのが藤原道長一族。
道長の娘彰子は皇室の血を引いている自尊心と品格の人です。
彼女には、ざれた振る舞いだけでもはしたないと感じられたことでしょう。これをトラウマとして、彰子は定子とは対極的なところに自分の性格を作り上げていきます。
自己主張は抑える、出来るだけ目立たないように。結果として彼女の後宮は、上品だけど消極的、無難なだけで面白みに欠けるものになってしまったのです。
このようなサロンの雰囲気がそのまま、清少納言と紫式部の性格の差にもなるんですね。
もっというと、貴族たちの栄枯盛衰を目の当たりにしながら、一条と定子の純愛を、彰子の愛を、紫式部は三人の試練を通じて考えたのではないか、人の愛や執着とはどのようなものなのか、物語を通して繰り返し検証したのではないか、それが源氏物語につながったと結論付けています。
山本さん、やっぱりわかりやすいし見解も素晴らしい!
かなり勉強になりました☆
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読み進めるたびにぐいぐい引きつけられました。
面白いです。
定子が一条天皇に大変愛されたことは,多くの小説で題材として取り上げられていますが,本書はその背景事情にも踏み込んでおり,なるほどなあと思いました。
個人的には,一条天皇と定子の長男敦康親王が東宮になれなかった事情が気になっていましたが,本書はその点にも触れており,良かったです。
文庫化されたら是非手元に置きたい本です。
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読書の楽しみの一つは、それまで何の疑問も持たずにいた既知の事柄や常識を、その道の専門家の明快な語り口で、鮮やかにひっくり返されてしまうことだろう。
枕草子、源氏物語を生んだ一条帝の御代。通常は、藤原道長や清少納言、紫式部を主人公として語られることが多いが、彼らの中心に位置する一条帝を主体として置いたことで、これまで見えてこなかった事実が明らかにされる。
定子と一条帝の悲恋と復縁が、桐壷の巻のモチーフになっていることや、源氏物語が一条帝と彰子を結ぶ絆だったのではないかという見立てなど、ページをめくるごとに、きれいに打ち負かされる爽快感を味わう喜び。
読書の楽しみを堪能させてくれる一冊である。
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一条朝の時代史がわかりやすく書かれている。
源氏物語や権記、道長の日記を読む時の大きな参考になるだろう。
それにしても道長の権威はどれほどだたのか。一条帝も苦労しただろうが、中を取り持つ藤原行成の心労が思い図られ、やれやれ。
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これは良書だ。
完全フィクションということになってる「源氏物語」から現実寄りな「栄花物語」「大鏡」などの言ってもやや盛ってる女流日記に偏ることなく、日報っぽい「権記」「小右記」などをバランスよく引用。源氏物語が成立した時代の実在人物達を通してリアルを伝えてくれる。一条・定子・彰子を中心に、摂関家の面々。個人的には行成の登場が多くて嬉しい。比して「御意見番」呼ばわりの実資はかなりスルーです。
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一条帝死後の彰子のありよう、知らなかった。父道長の人形から自分自身へと脱皮し、その後60余年を政治参加しつつ生きた姿に感銘を受ける。
この先生の本は、平安女流作家好きがビシビシ伝わってきて、読んでてほんとに楽しい。
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2020.12.19市立図書館
(長女の冬休みのお楽しみ用も兼ねて)
読む余裕なく期限切れ返却
ただ同時に借りて読了した「紫式部ひとり語り」でだいたい内容の検討はついた。ちょうど摂関政治も絶頂、藤原道長の時代で影が薄いようだが、実は際立ったところが多々あり資料も多く残されている一条天皇について詳しく書かれているのだと拝察。
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清少納言と紫式部が仕えた中宮の夫、一条天皇の時代を分かりやすく説明してくれる。
兄兼通の見舞いに行かなかったばかりに関白の座につけなかった兼家。孫を帝位につかせるため花山天皇を出家させる。その花山は、彼女に言い寄ったと勘違いされて、藤原伊周、隆家兄弟に襲撃される。兄弟は流刑に。
というような面白話が沢山あった。
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表題にもある「源氏物語の時代」。
それは平安朝の帝・一条天皇の時代を指す。
これまで一条天皇といえば、御簾の向こうで優雅に鎮座し、藤原道長など時の権力者に良いように利用されている傀儡のイメージがあった。
とんでもない。
常に国や民の平穏に気を配り、貴族との強調を重視しつつ率先して政に携わる。
私生活では漢詩や横笛を好みお酒も嗜む。
そして生涯たった一人の女性・定子への愛を貫く、信念の御方であった。
『源氏物語』の作者・紫式部のことは陰湿でちょっと意地悪なイメージを持っていたため、今まであまり好きではなかったけれど、今回見直した。
元来の性格が異なるため清少納言と何かにつけ比較されるけれど、紫式部なりに後宮の仕事に真面目に取り組み、一条天皇のもう一人の后・彰子への献身的な忠誠心を強く感じた。
人付き合いが苦手な引っ込み思案の性格の紫式部が、物語を書くことで自らの世界を広げ、その物語が縁で後宮で働くこととなりそこで繰り広げられる騒動が物語に投影される。
一条天皇・定子・彰子、3人の生き様があの『源氏物語』へと繋がり後世へと遺され、現代に至るまで語り継がれている。
『源氏物語』を改めて読み直したくなる。
今作を読んで紫式部をとても身近な存在に感じた。
今回の作品も地球っこさんからのご紹介でした。
ありがとうございました。
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源氏物語を完読するための参考書として、読んでました。
一条帝が帝位につくまでの混乱から始まる歴史はほとんど学ぶ機会がなかったので、楽しかったですね。
彼の前帝である花山帝が皇位を捨てて、宮廷から逃げ出して、出家してしまったいうのが何とも(;^_^A
その当時に権力を持っていたのが藤原道隆。その娘である定子へ後宮に入ったのが14歳。彼女は一条帝の一番の寵愛を受けたわけですが、父の死後、兄と弟の失脚により出産間際に勢いで出家。
この辺りは切ないですね。
晴れて皇子を産んだというのに斜陽の中にある仮出家した元中宮の短い切ない人生。それに寄り添った清少納言。
対して12歳という歴代最年少で後宮に入った彰子。彼女は定子に比べると後ろ盾はしっかりしていても、周りの女房は高位の貴族の子女ではあるけれども、定子の周囲にいたような機知に満ちた女房は紫式部が使えるまではいなかったという不幸。
彼女に隠れて一条帝のために漢文を学ぶ姿はとても孤独で切ないですね。
歴史に残る随筆や文学を生み出した一条帝の時代に平安文学サロンを生み出すことになった二人の后の人生は切なくて、時代の翻弄されたものだったというのが哀しいですね。
読んでよかったと思います。定子が好きな私ですが、道長に影に隠れてしまった彰子のことを知ることができたのは幸いです。
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うーーーむ 面白かった~
地球っこさんに教えていただいた この本。
自分の人生に影響を与えた本が何冊かあるが、この本もその中の一冊。
この本にもっと早くに出会っていたら。
いや以前なら、そこまでは心に入ってこなかったのか。
歴史的な一条天皇、定子、彰子、それぞれの女房 清少納言と紫式部。
これまではなんとなくの歴史上の人物だったのが、この本によって、それぞれがその時代を生き抜いた生々しい一人の人間だった。
一条と定子の純愛にも感動だったけれど、彰子の心の強さにも感動。
歴史っていままであまり興味がなかったけれど、これまでの考え方が全く変わってしまいました。
本当に素晴らしい一冊でした。
地球っこさん ありがとうございました。。。
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古文・漢文の世界に苦手意識のある私。
高校の時にサボっていたことがトラウマになっているのです。
でも…。
地球っこさん、いるかさん、お二人のレビューがなかったら
この素晴らしい本を 一生 手に取ることはなかったかもしれない。
心より、心の底より、 ありがとうございます!
本書は、『源氏物語』が書かれた時代について
研究者の山本淳子氏が 現存する歴史資料と文学作品を元に再構成したもの。
なんというか、研究考察物語(?) みたいな感じ。
読み始め、次々登場する天皇やキサキ、側近の名前と人々の関係に
「まいったな~」と、トラウマ全開状態でした。
ところが読み進めると、とても面白いのです。
一条天皇(在位 986~1011年)が満6歳で即位。 …って、まず驚き!
元服(満10歳)すると、従姉の定子(満14歳)をキサキに迎えます。
後に定子付き女房に就いたのが清少納言。
『枕草子』は定子のために書かれたと、この書にはあります。
一条天皇と定子は慕い合っていたのですが、
実家が原因のもめごとがあり 定子が一旦、出家してしまいます。
後に 一条天皇に呼び戻されて、曖昧な立ち位置に置かれることになりますが。
当時の天皇は、血筋を残すことが大きな仕事でしたから
定子出家の間に、時の権力者 藤原道長の娘・彰子(満10歳か11歳)が入内します。
ちょっと眩暈がするような年齢です。
後に この彰子付き女房となったのが、紫式部。
当時、紫式部は夫を亡くし、2歳の娘を抱えていたといいます。
失意の中、現実にも運命にも束縛されない心に目覚めて
『源氏物語』作者への道を歩み始めていたということです。
天皇の心はずっと定子に向いていたようですが、彰子が21歳で懐妊。
彰子は出産のため実家に戻りますが、
内裏に帰るまでの間、紫式部に漢文の教えを乞い
『源氏物語』の冊子制作を命じます。
里帰りからの手土産として、彰子から一条に贈る品だったのではないか。
このように山本淳子氏は考察します。
彰子が一条天皇と向き合おうとした仲立ちに『源氏物語』が選ばれたと。
一条天皇というのは、周りの意見に耳を傾けながらも
きっぱりと意思決定をする聡明な天皇だったようです。
32歳で崩御してしまわれるのですが、在位は25年間と長きに亘りました。
定子は24歳の若さで亡くなりますが、
彰子は、当時には珍しく87歳という天寿を全うします。
でも長く生きるということは、近しい者たちを見送り続けるということ。
波乱の人生だったと想像されます。
彰子の側で、周りの人々の愛や 要職への執着を目の当たりにした紫式部。
始めは、人生に絶望して架空の世界に居場所を求めただけだったかもしれません。
それでも、彼女の知性と感受性と才能が 新しい文化の花を開いたのですね。
そう思って『源氏物語』を紐解くと、これまでとは違った景色が広がりそう。
失意や絶望をバネに大きく羽ばたいた紫式部、素敵です。
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おもしろい!とても充実した読書だった。
山本さんの著書には何冊か触れながら、代表作ともいうべき本書は読む機会がないままだった。タイトルに引きずられ、『源氏物語』の解説書なのかなと思い込んでいたが、むしろサブタイトルがストレートに本書の内容を表している(メインタイトルの意味は山本さんが解説で明かしている)。
冒頭は『大鏡』の「花山院の出家」から始まる。古典の教科書にも載っている有名な段で、初めて読んだとき、のけぞった。なんと、こんなことがあったなんて! 大宅世継と夏山繁樹というふざけた名前の200歳近いじー様たちが、かつて見聞きした内容を、虚実ない交ぜに、あーでもないこーでもないと言い合う『大鏡』の舞台設定も最高である。こうして私は古典が好きになってしまった。
冷泉天皇や花山天皇、本書の主人公である一条天皇は、歴史の教科書ではほぼ取り上げられることはない。下手をすると1行で終わる。それが古典の授業では、1000年も前の彼らの日常、感情、息遣いが、当時の文章で読み解けることに興奮した。
ただ、古典の授業は、物語や日記を抜粋するだけである。いわば点であり、全体が線になって見えてこない。そんなそこはかとない長年の不満が、本書を読むことで解消された。
本書の前半は一条天皇と定子の純愛がメインとなる。中関白家の栄華、明るく闊達な定子のサロン、そして道長の横やり。ご存じの通り、一条と定子の純愛は悲恋で終わる。
後半になり、ようよう紫式部、そして彰子の登場である。本書を読むまで彰子のイメージはぼんやりしていた。本書全体を覆うのは、やはり一条の定子への愛と影響である。しかし、本書で最も変わり、成長したのは彰子ではないかと思う。この人のことをもっと知りたいと感じた。
感性の人である清少納言が私は好きだが、内省的で理が勝った紫式部もまたおもしろい。彼女たちの内面を鮮やかに描き出す山本さんの視点に興味が尽きない。
上に挙げた人たちだけではない。1000年前に展開されていた無数の人間関係が咲き誇る。Netflixなんて目じゃないぞ。古典好き、歴史好き、そして人間ドラマが好きな人なら垂涎ものの一冊なのだ。
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源氏物語の時代はどんな時代情勢だったのか、一条天皇と藤原家と源氏物語の関わりについてわかりやすく解説してる本でした。
ぼんやりしていた一条天皇という人がくっきり浮かび上がるようで面白かったです。