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現代中国の産業 勃興する中国企業の強さと脆さ みんなのレビュー

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7 件中 1 件~ 7 件を表示

紙の本

島耕作も必読!

2007/12/06 00:21

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:梶谷懐 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 かつて大きな成長が見込まれた中国の市場に、日本の家電メーカーは品質のよいものさえ作れば売れると信じて意気揚々と乗り込んできた。それらの日本製品は、改革開放路線が始まった80年代には確かに爆発的に売れたのだけど、次第に力をつけてきた中国系メーカーの価格競争についていけず、やがて軒並みシェアを下げていった。
 では家電をはじめとする中国系のメーカーは、なぜそんなにも価格を下げられたのか。この辺は一種のブラックボックスになっていて、これまでにいろんなことが言われていた。やれ人件費が低いからだ、有名メーカーの製品をコピーしているからだ、手抜きで粗悪品をつくっているからだ、などなど。これはどれも一理あるが、決定的な理由とは言いがたい。研究開発費も人件費にせよ、全体のコストからすればわずかなものでしかないからだ。

 著者の丸川さんが本書で提起した、中国製品の安さを説明するためのキーワードは「垂直分裂」だ。これはちょうど「垂直統合」の反対のような動きで、基幹部品の調達をできるだけオープンにし、そこに規模の経済と競争のメリットを働かせコストを大きく引き下げることを狙いとしている。
 例えば、長虹、康佳、TCLといった中国の大手メーカーがつくるブラウン管テレビの大きな特徴は、たとえ同じメーカーの同じ機種であっても異なる複数のメーカーのブラウン管を使用している点にある。分かりやすくいえば、全く同じテレビを買ったはずなのに、買った人によってソニーのブラウン管が使われていたり、松下のブラウン管が使われていたりする、というわけだ。このように、製品の「差別化」や「ブランド力」を犠牲にしてでも、部品調達コストの削減を優先し価格競争力で優位に立とうとするのが「垂直分裂」を通じた中国メーカーの戦略だ、ということになる。

 この「垂直分裂」によるコスト低下の説明が優れているのは、それ自体が中国市場における激しい価格競争の説明にもなっていることだ。つまり、「垂直分裂」が進むことによって、製造コストは確かに下がるが、同時に製品の同質化も進む。するとますます価格競争は激化する。すると、メーカーはさらにコストを下げなければならないので、ますます「垂直分裂」が進みさらに製品の同質化が・・・このようなサイクルを、丸川さんは「同質性の罠」と呼んでいる。
 このような「同質性の罠」と「垂直分裂」とが平行して起こることが、中国市場の一種のダイナミズムをもたらすと同時に、その限界をも規定している。この構図を、豊富な実例をもとにして鮮やかに描き出したのが本書だ。現代中国経済のダイナミズムに何らかの関心を持つ人なら、まず手を取ってみるべき本だろう。

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紙の本

「垂直分裂」というキーワードでみた中国企業の強さと弱さ

2010/02/05 14:42

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 実に知的刺激に富んだ中国産業の分析書であり、知見に富んだ経営書でもある。

 「世界の工場」となった中国製造業の特徴が最もよく現れているのが家電産業、IT関連産業、自動車産業であるが、著者はこの3つの産業について、設計と製造の観点から詳細な事例分析を行い、中国製造業の強さと弱みを明確に整理して示してみせた。

 著者が駆使するキーワードはずばり「垂直分裂」だ。正直いって聞き慣れないコトバである。「垂直統合」なら、ビジネス関係者であれば昔から比較的聞き慣れてきただろうが、「垂直分裂」とはいったい何か?
 垂直分裂とは、垂直統合のまったく反対の概念である。製造プロセスをモジュールごとにバラバラに分解し、こういったモジュールや基幹部品ごとに特化した専業企業が、市場で激しい競争を行っている状態を指している。消費財メーカーは、完成品としてのモジュールを外部から調達し組み立てた上で、自社ブランドをつけて消費者向けに市場で流通させるわけだ。
 これにより消費財メーカーは、製品企画、全体設計、モジュール調達に特化し、徹底的なコストダウンが可能になる。勝敗を決めるのは消費市場でのマーケティング力である。これは、テレビでも、携帯電話でも、PCでも同じだ。

 中国で主流になっているのは、こういった「モジュール型」製造業であり、これをフルに活用した消費財メーカーである。日本のお家芸であった「すりあわせ型」(インテグラル型)製造業ではない。最近では、電気自動車(EV)では、すでに中国メーカーが世界市場に名乗りをあげているが、背景にはこういった状況があるのだ。
 日本のメーカーの多くが中国で苦戦している理由の一端がこれで説明される。しかしながら、キーデバイスの分野では「黒衣」に徹し、中国企業に伍して成功している日本企業もあるようだ。インテル・インサイドのような存在になれれば、日本企業にも生き残る道もある、ということなのだ。

 消費財分野では目に見えにくい、産業財分野でのこうした動きをしっておくことは、これからの事業戦略を考える者にとって不可欠の基礎知識となっているといってよい。出版から2年近くたっているが、分析のフレームワークそのものはきわめて有効である。
 事例がふんだんに示されており、印象と違って比較的読みやすい新書本である。この本をよむと、間違いなく少し賢くなったような気持ちになるはずだ。
 必読の経営書である。

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2007/08/21 06:58

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2007/09/28 12:29

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2011/03/28 21:07

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2012/03/11 21:43

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2012/09/18 14:38

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