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著書は資産運用の定義を「お金を増やすこと」ではなく、「必要なお金を確保すること」としている。そして資産運用のポイントは「攻め(リターン向上)」「守り(リスク軽減)」「落とし穴(インフレ対策)」の3つに配慮したプランを組むこととし、それぞれの中でのポイントがあげられている。
リターン向上では、年利1%にも満たない定期預金に預けるよりは、過去の株式の平均リターンが8%であったことを考えると積立投信をしたほうがリターンが多くなる確立が高い。ただし、定期的なリバランスを行っていくことが大切であると述べられている。
リスクの軽減では、株式は銘柄・地域を分散すること(株を買うお金がなければ分散投資ファンドを購入する)、ポートフォリオは、株、債券、不動産を円建て、外貨建でバランスよく購入すること、投資期間は長くみることを推奨している。
インフレ対策では、外貨の保有を推奨している。なぜなら、日本は人口減少傾向にあるので、他の国に比べ経済成長が相対的に低い水準で推移する可能性を視野にいれておくべきであると説いている。また、実物資産(ゴールド、トウモロコシなど)投資もリスク分散の効果が高いとしている。なぜなら経済にとってマイナスとなる戦争や自然災害などは、実物資産には供給低下の懸念や資金逃避から価格上昇要因となるケースがあるからである。
その他、コツコツ投資にあてるための「月1万円の支出を減らす」小ワザがいくつか紹介されており参考になる。たとえば、クレジットカードは定期的な支出のときに使用し、衝動買いは現金と決めておくと使いすぎが防げる。保険・車・マイホームは必要以上のものを買ってしまう傾向があるので、イメージで買わずにプロに相談すること。ムダ使いを防ぐために支出をガチガチに固定するとストレスがたまって続かないので、あえてムダ使い予算を立てその範囲ないで買い物をする、などがある。
この本は2007年に刊行されており、今は当たり前だと思われるものや、今はこのような考え方はしないだろうなというものもあるが、とてもわかりやすい本なので、これから資産運用を考えてみようかなあ、という人には今買っても十分使える本だと思う。