紙の本
後味すっきり
2007/08/19 22:46
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
朝日新聞連載当時、
朝日新聞の中でいちばんおもしろいとおもい、
毎週たのしみだったコーナーが、
「指先からソーダ」
まとめて読み直しました。
ひさびさにおもしろいエッセイをよんだなーと思った。
「読者に素顔を見せてあげる」という態度の、サービス精神満載のエッセイにあきていたので。
時系列に経験をかたっている、というのではないのだけど、
表現することに対してとても意識的な女の子が、
どんなふうに作家という肩書きを持って、その前後から今までどんなことを考えているかが、
描かれているとおもう。
ものすごく変わった経験が描かれている、という面白さはないけれど、
山崎ナオコーラが山崎ナオコーラなりに、
考え感じてきたことを、
ソーダのようにすっきりした書き口でかかれてます。
私は、「文法は法律ではない」というエッセイにぐっときました。
「文法は法律と違い、破ったところで誰からも罰せられない。絵を描くように自由に喋ってみてはどうでしょうか?」
そんなふうに、この本も書かれていると思う。
私もこの意見、賛成です。
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新聞の連載をまとめたエッセイ集。山崎ナオコーラさんは、日常のちょっとした出来事の意味を深く考える人なんだなぁと思う。共感するところが多くて、新聞の連載も時々切り抜いてとっていた。なので、本になったらすぐ買ってしまった。
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心にスッとどくような「言葉」がいっぱい。まだ本は2冊しか書いていないけど、共感する作家の一人になりました。
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山崎ナオコーラを知ったのは、朝日新聞の同タイトルのコラムでした。同じ世代の女性として、うなずいてしまう部分、刺激されることの多い作家さんだなぁ、と感じます。この人の小説を読んだ後にコラムを一気に読んで、その小説の独特のムード?の素地を知ったような思いがした。この人は、自分を小説にさらけ出しているんだな〜。エッセイというか、つぶやき、という感じ。
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内容紹介
言葉は指先から泡立つソーダ。世界の不思議とおかしみ、作家としての覚悟、言葉への懐疑と信頼、学生時代の思い出、父と娘の関係、コミュニケーションへの違和感……。身近な出来事から世界をめぐる思索まで、いま最も端正な文章をつむぐ新鋭の初めてのエッセイ集。『人のセックスを笑うな』での鮮烈なデビューから現在にいたるまで、執筆した全エッセイを収録。朝日新聞土曜「be」連載の単行本化。
ー 私は子どもの頃から、生きていることが苦しかった。そして読書が好きになった。だから本好きの理由は「現実逃避ができるから」で、
大人になった今も変わらない。 ー
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朝日新聞に連載されていたコラムに、他で書かれた書評やエッセイを加えて本にしたもの。連載時代から好き。彼女の文章を読むと、当たり前のものが違った姿でキラキラして見えてくるように感じる。物事を少し斜めから見ているような視点も独特で好き。
「伝わらなくてもいいんだ」と「あきらめるのが好き」がいいな。あれ、なんだか後ろ向きなタイトルばかり?
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人のセックスを笑うなはあんまり好きではなかったけど
このエッセイはすごく好感がもてた。
すっごく頭のいい人。
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なみなみならぬ自意識に溢れている本であるが、この人の意図と書くものとの関係が潔いほどにホンネなので、まあいいかという気分にさせられる。
山崎ナオコーラは友人のひとりに似ていて、なんとなく無視できない。
★
あの星は一万七千年のサイクルで回っていて、私はもっとずっと短いサイクルで生きている。でも私や周りの人間が、星よりも弱い存在とは、限らない。
人は「仲の好い人の顔は、絶対大好き」ということ。
親友の顔は笑顔も泣き顔も可愛いし、恋人の顔は眉の角度も口の形もかっこいい。彼らに対する美醜の判断に、社会的な基準は適用されない。人間性の魅力や、知性の素晴らしさ、心の温かさを知っていると、その情報が目に及んで、相手をキラキラにして見せてくれる。
「好きな人の顔は世界一かっこいい!」
見た目を良くする、手っ取り早い方法は、仲の良い人を作ることである。
文法は法律と違い、破ったところで誰からも罰せられない。絵を描くように自由に喋ってみてはどうでしょうか?
たとえば人と人とが話をすると、噛み合っているようで噛み合わず、話題の次元が違ってしまう。そういうときに「意地悪な人ほど相手の話へのチューニングが上手い」と私は何となく思っている。悪感情に自覚を持っていると自分の考えを絶対と思えないので、相手のことをじっと見つめ、迷って迷って、自らを省みるのではないだろうか?
人間には、悪い心との共存を探る方向がある。雫と雫が交わりながら流れていき、窓縁に溶ける。
世の中の本当のところでは、週末に働いている人はたくさんいる。けれども観念の上での、土日は休日、というベースを捨てている人は少ない。
七拍の基本リズムの上に、様々な人がそれぞれ別のメロディーを乗せていくような感覚だな。
土日が休符だから、強拍は月曜日、真ん中は水曜日、というリズム感が私にはあって、それは学生だったときも、会社員だったときも、フリーになってからも変わらない。
シンコペーションを付けたり、ときどきは変拍子にしてみたくなったり、あるいはもう、さっぱりとこのリズムを忘れてしまいたい、と考えるときだってある。社会から押し付けられた月火水木金土日なんて滅茶苦茶にしてやり、日々のリズムを自由に刻んでみたい、自分が考えたサイクルで過ごしてみたい。
でも自分だけのリズムって、実は、絶対に奏でられない。世界はすでに音楽が流れていて、私たちは耳を塞げないんだな。
どんなに捨てても、立ち上がる欲望だ。食欲、睡眠欲、性欲、人とつながりたい欲、新しいことを知りたい欲、新しいことを考え出したい意欲、自由に行動したい欲、きりがない。
丸い指、薄いまぶた、太いもも、これが私だ。
あきらめてもあきらめても、生きていける。
自分は、すごい。
どうも、実際の生活に迫った表現を見たときや、細密な描写に接したときよりも、心の中の変なものをあぶり出されたときの方が現実感を強く感じるようだ。
もしかすると、生活とはまったく離れた心の中のもののことの方を強烈に、人はリアルと捉えるものなのかもしれない。
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まだこの人の小説も、小説の映画かも手にしていないのだが、実家に帰ったら何しろ随筆だ。とにかく随筆だ。
年上の男性から男と女を分けられるのを大変嫌う。
あえて二十代後半の誕生日に一人で高級すし屋に入る。
そのことを批判した手紙に「身分不相応かもしれないし、何かの真似事かもしれないが、そういう事を体験したいのだ」とまじめに紙面で応える。
父親に履いている靴を止められる。ぺらぺらですりっぱみたいらしい。
何回も形を変えて結婚する予定の人と付き合ったエピソードが出てくる。
高校のときは友達がおらず、一人で本を読んでいた。
そして他にも付き合った人や好きになった人の話しがでてくるが本人曰く恋愛経験は少ないらしい。
小さいのにがちっとしているがんこそうな見た目もそうだし、文章もそうだけど、誰しもがこういう女の人に必ず一生に一回は会うな、と思う。仲良くなれるかどうかは紙一重だ。こっちが選ぶんじゃなくて向こうが選ぶんだから。どれだけすり寄っても「だめ」なら「だめ」と振られてしまう。でも意外とその人が「いいな」と思った人に限ってその人は振られてしまう。わたしはこういう女の人は嫌いでないので出来れば仲良くなりたい。
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「人のセックスを笑うな」を読んでみて、彼女の書く小説には「敢えて言葉にしてみる」というプロセスがとてもたくさん潜んでいるなと思っていたのだが、その印象も彼女のエッセイの前では、一度だけひっくり返して喜んでいるトランプゲームのようなものに過ぎないという気がする。
まるで相手が何を出そうとしているのかを際限なく想像し続けるジャンケンの読みのように、山崎ナオコーラのエッセイは決して決して字面通りに読み過ごしてはならないスリリングさがあるように思う。BEに連載されている時は、もう少しお気軽な感じもあったけれども、こうしてまとまっているとその緊張感が増してくることに気付いた。
ナイーヴな気持ちで言ってしまえば、彼女の言葉を読んで「ああ、解るなあ、その感じ」、だとか、「うーん、こういう感覚は共鳴できないねえ」、などと評してしまいたくなる気持ちもある。しかし、彼女自身も書いているように、彼女にとってのリアリティとは、広い意味での共感、つまり言葉が紡ぎ出す世界が読み手にとっての現実であるか否かには全く拘泥しないであろうことは、希薄にされているとはいえ漂っているのだから、うっかりはできない。
こちらとしては、その裏返しまでも併せて受け止めて「ふふん、あんたのそういう天邪鬼なところもコミで解るし、楽しいよ」などと一つメタな気分になりたがってしまうのだが、それでも、この娘、こちらのびっくりするような言葉を直球じみた魔球にして投げつけて来る。
ああ、小憎らしい。でも、そこにまた惹かれるんだなぁ。
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山崎作品では、もっとも馴染みやすかった。
エッセイでありながらも、作品としていいもの。
「メディアミックス」に関する表現で、私自身の胸のつっかえがとれたみたいだった。
ときおり、いやらしさがにじみ出てくる。でも、そこも彼女の味なのだろうな。
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小説家・山崎ナオコーラのエッセイ。
このひと、すごく自分は作家だ!芸術家だ!っていう自負心が強い。
そうじゃないと作品発表したりできないよなぁ。
かっこいい。
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朝日新聞「be」から読んでました。
ほんと、絶品のエッセイ。
作者の言葉に対する強い思いを読んで納得。
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山崎ナオコーラさんのエッセイ。
すごく真っ当なエッセイでした。
さばさばした、確固たるものをもった人だ、きっと。
きちんとした努力に基づいた自信を持って仕事をしている、に、違いない。
このエッセイだけ読むと、仲良くなれない気がします。
嫌いじゃないけど。私の色々な部分を見透かされそうで、そこに幻滅されそうでいやです。
でも、やっぱり、エッセイはいい。
他人の頭の中を覗き見るようだ。
「そうそうそうそう!」と思う瞬間は、なんだか筆者とひとつになってその文章の状況に一緒に立っているような気がする。
美術館や、映画館や、ライブ会場で、他人の動向が気になるのだけど。
私は、それをずっと「いかんいかん」と思っていて。
でもナオコーラ女史は「それも込みで、その場所にいるということ」と書いてくれて、なんかスッとした。
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エッセイ
だけど、一つ一つの話が物語みたい
微細な表現が好き
人の感情を淡々と言葉にしていく感じが好き