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第1巻に引き続き、納得できない主人公の堀口大示の登場。
今度は東大安田闘争に向かって収束していくのだけど、それはともかく、やっぱり堀口大示には納得できない。
少年時代のヰタセクリアスや、風呂場で屁こいたみたいな「純粋客観主義」とか週刊誌みたいな乱交を語る前に言うべきことがあるだろう。親友の実の娘と肉体関係を持とうとしていて、そっちに関しては内省も戸惑いもドラマもないのか。普通、そっちの方が悩むだろ?
普通とかはどうでもいいかもしれないけど、言ってみれば彼女は「その後の彼らの人生」の象徴なわけである。
幼じみのライバルであり、同じ運動に関わって、同じ女性を愛した二人。新聞記者として一応還暦まで中流市民として生き抜いた堀口大示と、革命家としての人生を全うしている河合雄之進。この二人は人生のどこかで生き方が入れ替わっていてもおかしくなかったわけだし、堀口大示のその気持ちは、あの時代を生きた他の多くの人々と共通するはずだ。
その河合雄之進の娘はどう考えても、彼らのその後の象徴じゃないか。そんな娘と近親相姦じみた関係を結ぶというのは、「あのときとそれから」を凝縮したものになるのじゃないか? それには、葛藤や昇華といったものがあってしかるべきだろう。
なのにこのオヤジ、えんえん半分武勇伝の猥談かましているだけじゃないか。
これが時代の象徴だとしたら、さんざん言われてきたのだけど、あなたがたの世代は、あまりにも反省がなさすぎる。
ちっとは総括しなさいよ。