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隠れた名作「金貨の首飾りをした女」収録が嬉しい
2021/09/25 23:52
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投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
名作の誉れも高い「誰の屍体か」「五つの時計」といった鮎川短編を代表する傑作群がまとめて読める短編集。
個人的には、「金貨の首飾りをした女」が収録されているのがポイントが高い。私見ですが、上記二短編や「赤い密室」「薔薇荘殺人事件」などといっしょに、鮎川哲也短編のなかでも特に優れたグループに入って、なんらおかしくない傑作だと思います。
複雑に考え抜かれたトリック、探偵がトリックを見破るための手がかりにこだわった鮎川らしさがにじみ出る推理は一読の価値があります。
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『白昼の悪魔』
鬼貫警部シリーズ
殺害された姉帯田鶴子。現場に残された飛行機からばらまかれたチラシ。死体に刺さったアマチュアレスリング協会のネクタイピン。容疑者となったピンの持ち主・伊能忠平。紛失したピンを拾った探偵・鵜ノ木。鵜ノ木の下から盗まれたピン。ピンを盗んだ人物としてあがった沖正造。正造の逃亡と鵜ノ木、沖と秘書の関係。
『誰の屍体か』
鬼貫警部シリーズ
池田伊之助に送られた硫酸、宇井歌子に届けられたピストル、江木俊介に届けられたビニールひも。すべての送り主は芥川厚。地下室で発見された遺体。首がなく銃で撃たれビニール紐で絞殺され、手を硫酸で焼かれていた。被害者は岡部乙五郎。犯行後に岡部の目撃証言が。発見された首は岡部とは別の物。容疑者となった岡部。岡部と宇井歌子との元同棲関係。
『五つの時計』
鬼貫警部シリーズ
会社の金を横領し殺害された笹本。死体に巻き付いたタオルから容疑者として逮捕された二階堂峰吉。彼の恋人からの依頼で捜査に当たる鬼貫警部。横領事件の主犯として浮かび上がった椙田。椙田のアリバイを支える証人・小早川と五つの時計。小早川の時計、椙田家の時計、金を返した樽原氏の時計、そばを届けた蕎麦屋の時計、ラジオ放送の時間。
『愛に朽ちなん』
鬼貫警部シリーズ
大阪の運送会社の倉庫から盗まれた荷物。荷物の中から現れた女性の死体。被害者は荷物の製造元の会社の社員・灰田なおみ。箱に荷物を詰め込んだ半井支配人。大阪と静岡に送られた荷物。5尺の函と5尺5寸の函の謎。鯨尺と曲尺の秘密。
『古銭』
鬼貫警部シリーズ
殺害された古銭商。盗まれた幻の「金字開珎」。売りに出された「金字開珎」。捕えられた売主から盗難品と発覚。盗難の被害者・芦田省三にかけられた容疑。
『金貨の首飾りをした女』
鬼貫警部シリーズ
失業者・武原幸吉の受けた仕事。謎の研究者に助手としての仕事。子供公園での殺害事件。「従兄弟なんて他人も同然だ」という犯人の言葉。被害者・権藤和夫の従兄弟。宇部三郎の容疑。宇部の逃亡と宇部の元妻の調査。犯人の従兄弟の正体。浮かび上がった田ノ中格之進。
『首』
鬼貫警部シリーズ
いたずら注文が続く商店街。いたずらされた商店主が発見した遺体。被害者・製薬会社の専務・岩倉。岩倉と対立する社長・日置。熊本にいたというアリバイ。
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鬼貫警部の短編集。全編アリバイ物です。
【白昼の悪魔】殺人現場に残された多くの手掛り。この手掛かりから徐々に犯人を…と思いきや探偵や記者が登場して別方向へ話が展開していくのがおもしろいです。
ラストは哀愁漂ってますがちょっと安っぽいドラマでした。
【誰の屍体か】冒頭で芥川がお酒飲んでごろごろしているのが気持ち良さそう。
犯行に使われたと思われる品々が届けられるという導入がミステリアスで楽しい。
最初はミスを犯した鬼貫警部ですが、依頼者が集めた情報から見逃されていた真実を見つけ出す鬼貫警部の慧眼が、依頼者視点からだと分かり易くおもしろいです。
残忍な死体の扱い方や芸術家たちなど結構どろどろとしていて楽しめました。
【五つの時計】名作と名高い作品ですが、なるほど凝ってます。まさに鉄壁のアリバイ。真犯人のアリバイを支える五つの時計をどうやって攻略するのか。ほんの僅かな手掛かりから鬼貫警部の推理が冴え渡ります。これも容疑者の無実を信じる依頼者の視点で、手品のトリックを明かすように真相をつまびらかにしていく鬼貫警部の解決シーンが楽しいです。
そばがおいしそう。
【愛に朽ちなん】本書ではこれが一番好きでした。大きさの違う2つの箱。一方にはなぜか死体が詰められ、違う場所へと送られていた。このトリックを瞬時に思いついた犯人はすごいです。解決のきっかけとなることさえ分かれば簡単な事なのかもしれませんが、ネタバレの後もわたしは混乱しました。ただ犯人の告白は退屈でした。ここは鬼貫警部にびしっときめてほしかったです。
【古銭】冒頭から手がかりが散りばめられています。犯人もこのトリックを考えた時アレを気にするもんだと思いますが迂闊だなぁ。メインのアリバイ崩しの他にこそ泥や新聞配達の少年のエピソードがあっておもしろいですね。
【金貨の首飾りをした女】古銭収集ってそんなにポピュラーな物なのかな。
容疑者とされた男が無実を証明する為に奔走するという最初の展開がおもしろいです。
逃亡劇、調査、元妻との関係、過去の事件。短編ですが単調なアリバイ崩しでない濃さがありました。
しかしすごいトリックだ。よくこんなトリックを考えつくなぁ。
【首】最初のいたずら電話はそんな事しなくても、とは思うけれどおもしろい。幾重にもアリバイの為の策が弄してあり、その残忍さも含めて複雑怪奇です。解決の糸口となるアレも矛盾点からの推察でさすが鬼貫警部。
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短編集。
あっさりしてていいね。
そういやちょっと気になってたんだけど、昔は一人殺したら死刑だったんだろうか。
死刑制度について調べるとかいやなので疑問のままにしておくけど。
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白昼の悪魔
探偵実話 1956年7月
誰の屍体か
探偵倶楽部 1957年5月
五つの時計
宝石 1957年8月
愛に朽ちなん
宝石 1958年3月
古銭
エロチック・ミステリー 1962年6月
金貨の首飾りをした女
別冊宝石 1966年8月
首
野性時代 1976年2月
「五つの時計」(「作品ノート」より)
立風書房「鮎川哲也短編推理小説選集1 五つの時計」 1979年4月
「古銭」(「作品ノート」より)
立風書房「鮎川哲也短編推理小説選集3 プラスチックの塔 1978年10月
「首」(「作品ノート」より)
青樹社「殺人歌劇(第二幕)」 1991年3月
エッセイ 山沢晴雄
鮎川さんとの私的な思い出
解説 山前譲
アリバイ・トリックに迫る鬼貫警部