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リンク格差社会 ウェブ新時代の勝ち組と負け組の条件 みんなのレビュー
- 江下 雅之 (著)
- 税込価格:858円(7pt)
- 出版社:毎日コミュニケーションズ
- 発行年月:2007.8
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紙の本
ヴァーチャルなつながり(リンク)から、リアルなつながりを見つめ直す
2008/05/13 01:04
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
ご存知Googleの検索結果はページランク(PageRank)というシステムによって順位付けされる。このシステムはリンクの多さを重視しているのだが、リンクの多寡が検索結果連動型広告のスポンサーの収益に差をもたらす。検索上位に自分(自社)ページをもってきたいがために人為的に操作する SEOなるビジネスまで大っぴらに展開されている。上位に来るページと下位のページとの差は歴然としてくる。全くアクセスされないページが圧倒的多数となる。そういうものをタイトルの「リンク格差」は表しているのだが、そうしたタイトルからある程度、内容が予想できてしまう本だと思い込んで期待せずに読んだ。
また、流行の「格差社会」をタイトルに冠したところも、商業主義がハナに突いて嫌な感じもあった。しかし意外と硬派な内容で、良い意味で期待を裏切ってくれた。著者が「おわりに」で書いているように、本書はインターネット上の情報のリンク(つながり)のダイナミズムに視点を当てて書かれたが、人間関係のネットワークにも注目している。いわゆる人脈だ。どちらもネットワーク論で語ることが出来ると著者は考えた。これらの類似性は容易に理解できるだろう。
リンクにはそれを「たぐり寄せることで様々なチャンスを引き出せるのと同時に、リンクによって予想外の事態に引きずり込まれる危険性」がある。それにより新たな社会問題も発生している。掲示板荒しや、ブログ炎上、迷惑メールなど例を挙げると切りがないほど。「覗きたい人と覗かれたくない人とのリンク」も生じる。しかし実際にはリンクが起きないことのほうが普通であり、圧倒的に多いという。だから格差が生じるのだ。
「人であれ情報であれリンク格差が富の格差や情報格差につながる」。リンクの格差が企業活動や地域、対人関係においても生じている。そこでは「リンクの量には極端な偏りが発生」している。そして情報(注目、カネ)のあるところに情報(注目、カネ)が集まり、人気が人気を呼び、売れるものはますます売れる、という状況になる。
数学的には格差は永遠に拡大し続けるそうだが、「現実世界には無限はありえないので、システムの崩壊という形で拡大メカニズムは終息する」。それは株式のバブル形成と崩壊や地震に似ているという。「富める者がますます富む」世界で社会的な不均衡が限界に達したとき、歴史的には一揆や革命が発生した、という。ネットワーク化された社会とはそういう激変が待っているのだ。
インターネットなど情報通信が発達した現代ではその変化のスピードが速いため、激変はすぐにやってくるかも知れない。社会が不安定になるかも知れない。そういう社会で我々が生きていくにはネットワーク(社会)の構造を把握し、自分が取れる位置取りに応じた戦略を練って実行していくことだと著者はいう。なかなか実践は難しい。時代の流れに飲み込まれるか、うまく波に乗るか。当然、取り残される人も出てくるだろう。
ネットワークを有効に利用していかねばならないのだが、人や情報の「ネットワークを人為的に作ることは難しい」。作れても維持、拡大が難しい。「日常的な活動の中で関係を継続させなければネットワークは維持できない」のだ。しかし食事や休憩時間などちょっとした合間に交流、意見交換できる。そうしたところから自発的にネットワークが生まれてくる。我々が普段からやっていることだ。
しかしそのネットワークから経済的、政治的な利益を得ようとするならネットワーク構造の理解が重要だ。そして情報流通が過剰な時代にはそれらのつなぎ役が重要になり、そうした役割を果たすもの(者、物)が利益を得るだろうということも書かれている。
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