紙の本
リーダーなき組織を、どう構築できるのか?
2009/03/08 16:34
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:aguni - この投稿者のレビュー一覧を見る
副題に「21世紀はリーダーなき組織が勝つ」とある。そしてそれに対比されているのが、普通の組織、分権型・階層型組織である。
この本でその象徴とされているのが、ヒトデである。ヒトデは例えば真っ二つに切断したとすると、その2つの切片それぞれがヒトデとして活動を始める。
そもそもアメリカでインターネットが開発された背景には、本部が核攻撃を受けても、他の基地が反撃することができるようにするためだったと言われている。これはまさにヒトデだ。
だからこの本の中でも、インターネット上のサービスが多数、登場するのも理解できる。例えば、Wikipeida。ボランティア参加によるインターネット上の百科事典だ。あるいはSkipe。無料のソフトウェアを使う無料のIP電話である。あるいは数々のフリーウェアのソフト達。
これらに参加している人は利用者であり、営業マンであり、開発者でもあったりする。開発まではできなくとも、意見を言ったり改善要求をしたりする。しかも、どこまで関わるかはその人次第。あくまで自主性に任されている。
では、現実世界で同様の組織が作れるのか、というポイントである。
一応、組織の例としてあげられているものはある。アパッチ族とアルカイダである。しかし、これらの取り上げられ方も微妙だ。
結局、結論としては、ヒトデ型組織の要素を旧来の分権型組織にはめ込んだ「ハイブリッド組織」の提案で、この本は終わっている。
残念なのが、この本の著者達が専門外であるために触れられていない点である。たとえば、アルカイダの前提となるイスラムの組織はどうなのか? また、世界最大にして最古のボランティアネットワークである、カトリックはどうなのか? あるいは、離散を経て国家を建設したユダヤの組織はどうなっていたのか?
中央集中型の組織にはどうしても規模の限界…つまりは、管理コストの増大による効率の悪さによる競争力の低下、あるいは管理漏れによる組織の崩壊という問題を抱えている。ローマ帝国がキリスト教に負けたのも、同じ理屈である。
この本に「歴史的視点」が欠けているのは残念だが、GEやIBMなど、分散型組織を取り入れた企業が成功している、という事例は、企業の組織戦略について悩める日本の会社にとっても参考になるだろう。分散型組織は管理コストが少ない。ということは、人が少なくなっても、人が欠けても動き続ける組織であるということだ。
最後の章にはそのためのキーワードが語られている。
組織規模を小さくする、ネットワーク効果を利用する、無秩序状態を受け入れる、組織の端に最高の知識や情報があることを理解する、誰もが貢献できるようにする、触媒を用意する、イデオロギーを用意する、フラットにする・・・。
これらはそんなに難しいことではない。産業革命前までは、実際、人類にとって非常に当たり前な組織の作り方だった。
しかし、今、現代に生きる我々にとっては、その区別が非常に難しい。なぜなら、この種の組織の作り方を忘れ、読み取る力を失ってしまったからだ。そして人は思う。この組織があやしい、とか、怖いとか、宗教みたい、という風に。しかし、それは単に、リテラシーの不足なのである。
そういう意味でも、この本を読むことをお勧めする。ある組織を見るときに、その組織がどういう形態になっているのかを理解できるようになるだろう。(2007.12.2. bizbook.tv)
紙の本
分権型組織に備える
2013/03/13 07:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とし - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界的な潮流として、多くの企業において集権型組織が立ちゆかなくなっているように思います。
・ なぜ今、集権的組織はうまくいかないのか。
・ 集権型組織が「エンパワーメント」とか言って分権型組織になろうとする時、どこに難しさがあるのか。
・ はたして本当に分権型組織が”答え”なのか。
本書では集権型組織と分権型組織の区分けと特徴をわかりやすく面白く説明しています。
自分の中になんとなく持っていたこれらのモヤモヤが晴れた気がします。
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今年一番面白かったビジネス書。
中央集権型(クモ)
のビジネスモデルの代表として
レコード会社、
分権型(ヒトデ)
の代表として
ナプスターを始めとするプログラムがあげられていて、
ヒトデ組織がインターネットによって形成されやすくなったことをつらつら述べている。
アパッチ族とスペイン軍の例もわかりやすい。
読んでください。
弊社もハイブリッド型ヒトデ組織にしなきゃ。
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なぜみんなこんな良書を読まずにしょうもない本を読むのかがわからない。
リーダーである人、組織論について学んでいる人は必読。
たとえそうでなくとも読む価値は十二分にある。
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要はそうゆうことです。リーダーなき組織。誰もが主人公、とゆうことですね。「いるけど目立たない」とゆうか。
「リーダー不在」と嘆く日本の組織が、いかに遅れてるかわかります。
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アメリカはなぜアルカイダを壊滅できないのか?
中央集権型と権限分散型の組織の特性について非常に深い考察がなされています。
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著者はオリ・ブラフマン氏とロッド・A・ベックストローム氏の2名である。
どちらも企業家でスタンフォードMBAホルダーである。
そのような二人が、企業組織論について執筆したのが本書だ。
中央集権型より分散型組織の方が強い。
それは、アパッチ族とスペイン軍、アルカイダとアメリカ、ナップスターとソニー等の
戦いを考察をすれば明らかだ。これからは、集中ではなく分散がポイントとなる。
そのためには、いくつか実行しなければならない点がある。
という内容である。その具体的なポイントは、
1.フラットな組織にすること
2.権限を分散すること
3.人々を信頼すること
以上の3点が最も注すべきポイントであり、その中でも特に3が重要だ。
本書の中でも、度々出てくる。
「開かれた組織に招かれた人々は自動的にその組織に役立つ事をする」
「誰もが貢献したがる」
そう、開かれた組織は性善説にのっとって組織される。
恐らくこのような組織は作ろうと思っても作れるものではないのだろう。
10社が目指して、1社出来れば良い方だと思う。
なぜなら、会社に貢献、人々に貢献したいと思う人がどれほどいるのだろう。
周りを見渡して欲しい。自ら情報提供を行い、自発的に周りの環境を良くしようと
している人が何人いるだろうか。
しかし、組織が強くなるにはそうなるしかない。
それをどうすれば、達成・実行出来るか。これは、自分のキャリアにも関わる事だ。
一度深く考えても良い問題だ。
以上
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トップダウンの経営方針が通常だと考えられるクモ型組織が主流の中で権限と組織を分断化したヒトデ型組織の方が効率よく組織も形骸化せずに力を維持するものだと説いた一書。本書において経営組織の問題に移る前に展開されるスペイン軍が他の南米原住民と異なって初めて敗れたアッパチ族のケースがあまりにも新鮮。明確な王様や権限を持たずに細分化された組織を築いたアパッチ族は他の民族がスペイン軍によって征服される中で唯一抵抗をし、領土を守ることができた。それは組織のトップを壊してしまえば滅んでしまう中央型組織ではなく、中心となるナンタンを模範とした細分化された組織だったからこそ抵抗を続けることが可能だった。
スペイン軍が去った後にやってきたアメリカ人が如何にアパッチ族を従わせるか考えた時に、ナンタンに牛を送り、アパッチ族の慣習を自分たちのいいように作り変えた点などはかなり理解ができる。
現代の経営やビジネスに置き換えても、会社としては権限を持ちながらも実際の現場では組織に権限が分けられ効率的な生産を行うことが大切だと明記する。GMの最もデキの悪い工場がトヨタの工場経営者が指揮した所、僅かな間でその工場は最も優秀な工場へと生まれ変わった。
既存の経営スタイルや組織を瓦解させ、新たなビジネススタイルや組織の構築の背景となったヒトデ型組織を十分に理解できる一書だった。
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リーダー不要という新しい組織論を、だれもが知っているWikipediaなどを例としてわかりやすく解説している。
触媒という役割を持つ魅力的な人達に興味を惹かれた。
「人に自由を与えると混乱が生じるが、同時にそこには、信じがたいほどの創造性が生まれる」p88
「基本的に人間が善良な存在だということは、ウィキペディアが証明している(スコット・クック)」p97
「人は、話を聞いてもらっていると感じたときや、理解してもらい、賛成してもらっていると感じたときに、変化しようという気持ちが強くなる」p135
「相手を説得せずに肯定することで、触媒は、高圧的になることなく相手の変化を導き出す。」p136
私も触媒になりたい。
触媒は人々に、行動しようというやる気を起こさせる存在。モチベーションエンジン!素敵。
ヒトデみたいな組織が肌に合う。クモには関わらないようにしちゃう性分。
そして本の装丁が素晴らしい!
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アパッチ族、アルカイダ、クレイグズリスト、P2P、これらに共通するのが分権型組織。
クモは頭、足など各部位ごとに役割があって頭をつぶせば死んでしまうが、ヒトデは器官がそれぞれの腕に複製されて広がっていて、腕を一本切り離したところ死なない。それどころか半分に切ってもそれぞれで生きつづけるという。
従来のヒエラルキー型組織と、リーダーの存在感しない分権固め組織をそんなクモとヒトデになぞらえて、組織のあり方を分析していく本です。
イーベイ、トヨタなど、部分に分権型組織づくりを取り入れたハイブリッド型の話は、これからの組織の主流になるんでしょうね(もうなってるか)。
もしかして、日本の政府もリーダー不在の分権型組織なのか…?
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・分権型の組織は攻撃を受けると、それまで以上に開かれた状態になり権限をそれ以上分散させる
・グレイグスリスト
・スクレイピンク
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AAの成り立ちを研究した論文を読んでみたい。
それと、nummiに関しては読んでもいいかも。けれど、既にある程度の段階まで進んでいる組織には通用しないメソッドかな?
なによりAA気になる。
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メタファーとして、蜘蛛とヒトデというものを用いた時点でこの著者の勝ちが決まっている。そんな印象を受ける。実際にこのモチーフはすごく印象的だ。
組織形態としてヒトデ型組織というものが存在するという認識は(あるいは従来の概念だとそれは「組織形態」というものですらないかもしれないが)、自分がそれを取るにせよ、あるいは取らないにせよ、少なくとも共有されていたほうが様々な意味でより健康的だろう。
僕の専門は宗教学なので、ヒトデ型組織という形態が宗教という媒体ではどのような実体を持って現れているのかというところにやはり関心が向く。多分島薗進が定義するような「新霊性文化」(個人の消費としてのスピリチュアリズム)と相関する形になると思うが、まだそこから別の発展形が存在するきがする。ちょっと考えを煮詰めてみたい。
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生き物どうしのバトルの本ではありません。中央集権型よりも権限分散型の組織の方が今は強いという内容です。分権の第一法則から第五法則まで、とても良くうなずけました。
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クモ:集権型組織
ヒトデ:分権型組織
になぞらえて、いかに分権型組織が強いかをつらつらと述べていった本。
なんとなく、無理やり当てはめてる気がしないでもなかったけど、普通に読み物として面白かった。
結局、最強なのは、分権型の要素も集権型の要素も併せ持っている、ハイブリッドな組織らしいです。面白くない。^_^