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aguniさんのレビュー一覧

投稿者:aguni

128 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本声と話し方のトレーニング

2009/02/26 21:37

声、気にしていますか?

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 日本の政治家とアメリカの政治家を比較して、なんで日本の政治家は話が下手なのか、と思ったことはないだろうか? オバマ氏の演説など、例え英語がわからなくてもうまいなぁ、と感心してしまう。それに引き換え・・・。

 で、実は印象だけで気がついていないのだけれども、本当に違うのはしゃべり方ではない。もっと基本的な部分、発声そのものだということはあまり気づかれていない。

 ガラガラ声、しわがれ声、ぼそぼそと話す。日本の政治家の声のイメージといえば、そんなものではないだろうか。一方で、アメリカの大統領には、スタイリストの他にボイストレーナーもついていることが多いという。声は無意識に働きかけるパワーがあるくせに、自分の声は自分では実はよく理解できていないので、第三者の専門家が必要なのだろう。

 最近、日本でも声のトレーニングを仕事にしている人が多いが、実は、ボイストレーナーにまともな資格があるわけではない。そういう人が声を「治す」という表現を使うのは、実は法律的にはすれすれの世界。では、医学の分野でそういう「治療」の専門家がいないのか、といえば、耳鼻咽喉科の医師と、リハビリとしては、実は、言語聴覚士という専門資格がある。

 この本は、言語聴覚士が普通の人向けの声のトレーニングについて記述した、おそらく一般向けでは初めての本だろう。そして自分の声がよくわからない理由も冒頭に書いてある。自分の声は骨導音と言って、内部の共鳴も聞いてしまうために、外に発している気導音とは音として違う、というのだ。

 この本には、医学から見たときに正しい声の知識と、リハビリ的に見たときに正しい声を良くするためのトレーニングが掲載されている。図もたくさんあってわかりやすい一冊に仕上がっている。

 加齢とともに、声は衰えていくもの。この本のトレーニングでうまく声のアンチエイジングができるだろう。他にも様々な要因で、本来、正しい、もともと持っている、いい声というものが出せなくなっていることに気づく。いい声を取り戻すことができれば、確かに人生は少し豊かになりそうだ。

 どうでもいいことだけれども、声に関する本、というのは、文字で書くのがとても難しい分野なのではないかと思う。それをどうやって説明するのか、という興味で見てみると、声を語るためのたくさんの言葉があるんだなぁ、ということに気づかされる。

 そしてあなたもきっと、声について語りたくなる。そういう一冊です。

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紙の本

失敗から学ぶ−「気合」だけでは組織は勝てません!

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 今時「日本軍」なんて言葉を使うのは右翼やそれに類する団体だけだろうが、この本は決して戦史研究の本でも思想書でもない。引用すると「大東亜戦争における諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗ととらえ直し、これを現代の組織にとっての教訓、あるいは反面教師として活用することが、本書の最も大きなねらいである」(P3)。「組織としての日本軍の失敗」が即ち「現代の組織にとっての教訓」につながるというのは、この本にも書かれているように、日本軍が日本で初めて、官僚制組織を体現化したものであるということもある。さらには満州での実験を経て、日本軍やその官僚組織が戦後の統治体制・経済体制のモデルになったということもあるだろう。何より戦後の日本を支えてきた会社組織にとって、モデルが軍隊しかなかったことも忘れてはならない。

 この本では前半の第1章を具体的な作戦での日本軍の「失敗の事例研究」にあてている。ここでは「ノモンハン事件」「ミッドウェー作戦」「ガダルカナル作戦」「インバール作戦」「レイテ作戦」「沖縄戦」の6つの事例を取り上げている。読んでいくうちにだんだん悲しくなるとともに怒りが込み上げてくる。忘れてはならないことは、これら作戦の失敗の裏には亡くなった兵士達がおり、その家族がいたのだ。もちろん戦争は悪であるし、勝てば成功、という種のものではないが、あまりにずさんで考えなしのトップマネジメントのせいで、必要のない悲劇が起こったと実感するからだ。

 第2章では第1章で分析した6つの事例について、「戦略」「組織」の2つの観点から、その失敗の本質を探っている。(この本をビジネス書として読むなら、この第2章がメインになるだろう。)「失敗の本質」をまとめている部分から拾ってみると、戦略については以下のようになる。

1.作戦目的があいまいで多義性を持っていたこと
2.戦略志向は短期決戦型
3.戦略策定の方法論が独特の主観的インクリメンタリズムであった
4.戦略オプションが狭く統合性に欠けていた
5.技術体系が一点豪華主義でバランスに欠けていた

 また、組織については、

1.官僚組織の中に集団主義を混在させていた
2.属人的統合が支配的
3.学習が既存の枠組の中での強化であり固定的であった
4.業績評価は結果よりもプロセスや動機が重視された

 などを指摘した上で、日本軍は環境に適応しすぎたために環境の変化に適応できず、失敗したのではないか、とこの本は指摘している。なるほど、と思ったのは、個人個人に対して反復や根性・気合といった要素で個人の技を高める努力を奨励し続けたのが日本軍という組織だったらしい。その結果、神業のような技術を身につける者も数多くいたという。言ってみれば、個人技に持ち込めば間違いなく強い、それが日本軍であった。しかし、その個々人の能力を纏め上げたり、あるいは活かしたりする方の、マネジメントという発想は日本にはあまりなかった。それどころか、負けるよりは自害を奨励するとか、敵前逃亡は死刑とか、あまり失敗を組織のものとして蓄積・分析・継承していくという発想もなかった。

 個々人は優秀だが、組織になると大局が見えず、敗北する。この本の指摘は刊行から20年以上経った今でも、決して古びていない。この書評ではこまかく触れないが、会社組織に身を置く人なら誰でも、この本で語られる「失敗の本質」を自社にあてはめ、どきっとしてしまうことだろう。戦争はもちろん二度と起こしてはならない。しかし、過去の戦争から学ぶことは重要な意味がある。この本は刊行から4半世紀を経過して、まだまだ読まれるべき名著である。

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紙の本

紙の本本田宗一郎夢を力に

2003/03/08 10:16

異色の自動車メーカー、世界のHONDAはこうして生まれた。

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 HONDAという会社はヘンな会社である。バイクメーカーでありながら自動車メーカーとなり、最近ではロボットを作ったりしている。ときどき爆発するように売れるFitなどの車を作り、かといえばスーパーカブは新聞屋さん、おそば屋さんのシンボルともなっている。そのデザインもエンジン音も私の記憶している限り、ずーっと変わっていない。

 この本は日経新聞に連載の名物コラム、私の履歴書をまとめたものである。しかしこの本の構成は、そうした出自を持つ書籍のなかでも異色であろう。この本の前半は、本田宗一郎が昭和37年8月に連載したものをまとめている。そして後半は本田宗一郎と、彼を創業当時から支え、世界のHONDAを生み出した最強の裏方、藤澤武夫の経営思想と行動を明らかにする。この2つの部分があって初めて、HONDAの原点が理解できる。この本の作りそのものがHONDAである、と言っても良い。

 本田宗一郎の名を知る者は多い。しかし、経営の天才、藤澤武夫のことを知るものは少ない。本田を認め、モノ作りに専念させる傍ら、資金繰りに奔放し、本田にスーパーカブを作らせ、会社が軌道に乗ってからは、人創りの仕組みを重要視し、本田のDNAをきちんと後継者に移行させた。

 この本を読むと、経営というものは結局、人間力なのだということがわかる。ヒトの想像もできない努力と意志があって初めて、世界は広がっていく。ともかく本田の夢は巨大で楽しい。このワクワクがHONDAを世界のHONDAにしたのだ。

 それは欧米型の経営手法とは違う、極めて人臭い、「町工場」的なモデルかもしれない。しかし、会社が人の集まりである以上、MBAや経営工学では決して「学ぶ」ことができない、「人」による経営がイチバン大事なのだ、そう考えさせる1冊である。

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紙の本

紙の本徹底抗戦

2009/03/29 10:26

ホリエモン帝国崩壊記

13人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 書評の前に立場を明確にしておこう。私は個人的には堀江さんのキャラは好きだし、技術者から腕一本で会社を興し、大きくしたことは評価している。しかし、そのクリエイティブな才能をマーケティングに使い始めたときから迷走していると感じていた。しかし、ブログも読んだことはない。だからファンというほどでもない。

 しかし、小泉さん同様、既成概念の破壊者として、イノベーターとしては尊敬していた。仕事術の本もとても面白かったし、今でも参考になっている。旧来の常識を壊し、新しいものを打ちたてようというのも、どちらかというと若者側からすれば、とても気持ちの良いことだ。

 株式100分割による東証のパンクなどは、これはあまりの日本の株式市場、ひいては金融市場のシステム的な脆弱さと革新のなさにメスを入れる結果になった。これは違法ではないが、思わず政府を敵に回すことになった。頭の良さが仇になったわけだ。

 投資組合を使ったスキームによって得た利益を売り上げに計上し、好業績を見せかけてそれが逮捕の理由となった。逮捕されてからはマスコミのバッシング。旧来の側の人が天下を取ったかのような批判。なんていうか、幼稚な国で、これによってホリエモン批判以外のことは言いにくくなり、物事の本質は隠されてしまった。

 物事の本質を読み解くために、この本を手に取った。先の時代を予測した天才クリエイターは、どこでどのようにして道を踏み外したのか?

 読んでわかった。ホリエモンは孤独なのだ。そしてそれを自覚していないし、今も変わっていない。この本には、感謝すべき人への感謝の言葉もない。(まあ、徹底抗戦なんだから当たり前だが。。。

 経営者は孤独な存在だ。しかし、孤独な人は経営者に向かない。そして、孤独な人は他の人が何を考え、どういう行動をするのかについて無頓着だ。それは結果として、周りの人をうまく扱えず、最後には裏切られることになる。

 ホリエモンにはビジョンがあった。それもかなり大きなビジョンである。きっとそれは実現可能なもののように思えただろう。それは彼の周りの人間が、彼を祭り上げる形で会社を大きくしてきたのだろうから。彼には悪いところは何も見せず、よいことだけを吹き込み、アイデアを出させてそれを実現させる。要は、会社を大きくしていたのはホリエモンではなく、彼を利用しようと考えた回りの「大人」だったのだ。

 もしかしたらはじめからその構図だったのかもしれない。自分ができることを他の人にやらせる。この発想では組織は本来、大きくならない。しかし大きくなってしまった。オン・ザ・エッジというホームページ製作会社だった頃には問題はなかったのかもしれない。しかし、その秀才性のコインの表裏にある圧倒的なマネジメント能力の低さは、結局、側近達の裏切り(宮内氏は多額の横領をしていたことが明らかになっている)という形でまずは現れ、マスコミのバッシングという形で現れた。

 彼はこの本の最後で「人を信じるということについて、改めて考えてみなければならない」と言っている。普通は学生時代にチーム活動を通して、ある社会に出て、失敗を重ねて学ぶこういうことを、大学生のときに起業し、時流に乗って成功してしまった彼には学ぶ機会がなかったのかもしれない。それは幸せなことだったのかもしれないが、日本にとって、若い経営者の失敗の舞台は、少々、大きすぎたのかもしれない。

 やはり彼には同じように成功しつつ失敗した小室哲哉氏が被って見える。お金を稼いだ人にそれなりの人生経験が伴っていないと、すぐに駄目な方向へひっぱる人というのは群がってくるのがこの国だ。お金で買えないものは経験であり、苦労であり、人間的な成長だったのかもしれない。

 苦労や苦難は人を成長させる。ホリエモンの場合には少し大きな舞台での失敗になってしまったが、この失敗をバネにして、人の気持ちを理解できる偉大な革命家になって欲しいなぁ、と思ってしまった。日本にはこういう人材は少ないので、個人的には応援しています。

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紙の本

紙の本いい会社をつくりましょう。

2009/03/22 10:36

いい会社って何だ?

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 かんてん、を御存知だろうか? 海草であるテングサから作られるゼラチンみたいなもので、実は日本で発見され、世界に広がっていったもの。昔は気候の状況に左右されるとても相場が安定しない商品だったそうだ。

 この寒天を安定供給させるという事業を行っているのが伊那食品工業株式会社。最近では、納豆のたれを寒天で固めたものがヒットして話題になった。この寒天を開発したのもこの会社である。

 創業以来、48年間、連続増収増員増益。2002年度中堅・中小企業優秀経営者検証制度最優秀経営者賞受賞。これだけ聞くと前に前に、という感じもするけれども、決してそんなことはない。知られざる優良企業ここにあり、という見本のような会社のようだ。

・日本の株式市場が機能していないから上場はしない。
・決算は三年に一度くらいがちょうどいい。
・急成長をしないことも社会貢献。
・「年功序列」は自然の秩序。

 とまあ、ビジネス書をよく読まれるような方からは、え?というような内容であるが、それがしっかりと信念に基づいて、そして何より実績に基づいて語られている。これがすばらしい。

 この本はどうやら版元でもあり編集者でもある文屋さんが、聞き書きして作られたようだ。だから、とても平易で読みやすく、語りかけてくるような印象になっている。

 ということで、この本は書評した要約したりというよりは、手に取って読んでください、という感じではあるが、それでは意味がないので、できるだけ紹介してみよう。

 この会社の社是は、「いい会社をつくりましょう たくましく そして やさしく」。良い会社、儲かる会社ではなくて、周りの人からいい会社だね、と言われるような会社をつくる。そういう発想からこの会社はスタートしている。

 そしてさらには社員からも、取引先からも「いい会社」と言われるようにする。近隣に住んでいる人からも、もっと大きな地域からも、ということで、先にあげた賞は、いい会社である、と認められた、ということになる。

 もちろん、上場企業がここにあげているようなことを実際にできるとは思えない。それこそ株主にとっても、日本の会社法制度にとっても「いい会社」ではなくなるからだ。

 しかし、「文化軸とトレンド軸を見極める」「この会社で幸せになれる人を雇用する」「末広がりの八の字経営」など、どんな会社の経営者でも参考になる考え方はあるだろう。そういう意味で、つまむように読んでみるのがこの本の読み方だろう。

 最後に、寒天製造メーカーというのは、実は日本には数社しかないという。しかし医療用なども含め、ニーズはたくさんある。相場商品であったとうことは、儲けようと思えば別な形も取れるところに、そういう方法を取らないことで、競争を避けている、とも考えられる。

 そういう事情を知りつつ読むと、この会社の「賢さ」が見えてくる。これこそが、理念に裏打ちされた、戦略なのだと思った。

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紙の本

紙の本できそこないの男たち

2009/03/08 16:27

女性中心社会をデザインしてみる

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「生物と無生物のあいだ」で第29回サントリー学芸賞を受賞した著者が、分子生物学の観点から、男と女を語った一冊。内容は研究者の攻防の話からゴシップネタ、著者の男性観・女性観などが入っていて、真面目な教養本というよりは、雑誌のコラムを読んでいる感じである。そもそもは「本が好き」に連載されたものをまとめたとのことで、なるほど、という感じ。

 読んで知識を得る、というよりは、頭の体操を促す一冊といえるでしょう。

 さて、生物学的には女性がベースであり、男性というのはその亜種として作られ、遺伝子のリスクヘッジのための存在でしかない、ということは、有名な話ですが、これ、意外に知られていない事実のようです。

 確かに世の中を見ると、男性が社会を支配しているように見えます。アメリカ大統領も日本の首相も女性がなったことはないですし、歴史物を見ても、権力を握っているのは男性、ということになっています。

 この本ではその謎が解決されていません。著者は、メスが欲張りすぎたせい、という風に言っていますが、そうでしょうか?

 私はその方がメスにとって都合がいいから、ではないかと思っています。より有利なオスをゲットするためには、オス同士が戦っている環境の方がいいわけです。競争させ、戦わせ、生き残ったオスこそが自らの遺伝子を存続させる可能性が高いわけですから。

 そういう視点からこの社会を見てみると、世の中が違った姿に見えてきます。たとえば、街に出れば、女性の姿ばかりが目に付きます。週刊誌などで女性の裸が晒されているのに、男性の裸はあまりないのはなぜでしょう。

 著者いわく、長生きするためには女性に生まれることだ、と言います。日本人の平均寿命にして7年も差があるのです。なるほど、それはそうかもしれませんね。

 男性は生物学的に女性をカスタマイズしたものだから、不完全で壊れやすい。これが著者の主張です。さらに喫煙・飲酒・ハードワークなど、男性が壊れやすいように(笑、社会はできています。

 女性の社会進出が進み、結果として少子化が進んだ。結果として民族消滅の危機を迎えている。これが日本の現状なわけですが、この本の話から考えれば、そもそも女性の社会進出というところに、誤解と錯覚があったのではないかと思います。

 人事の方や、派遣会社の方とお話していてわかるのは、学問でも仕事でも同じ成熟度であれば女性が優秀である、という事実です。あまり逆の話は聞きません。でも、男性を雇用したいと企業は考えます。理由は、女性はきっと辞めてしまうから、とのこと。優秀であればあるほど、よいオスを捕まえて、生物として目的である娘の創造へとフェイズを移してしまいます。女性はこの社会で自由な存在なのであり、社会の維持よりも、生物としての自己都合を優先することが許されているのです。

 これは冗談ですが、奥さんがコーチングの勉強をしたい、と言ったら気をつけろ、という話があります。コーチングで自己に目覚めたら、子どもが無事に成長したら、結婚を維持する努力に意味がなくなってしまうことに気づくから、という話です。実際、活躍しているコーチの方で、離婚されている方というのは意外に多いです。

 女性はこの社会で自由。男性は不自由。男性は女性の姿だけでにでもお金を払い貢ぐことに喜びを感じる。女性は男性に競争させることに喜びを感じる。これが生物学的にシンプルな社会の形かもしれません。

 男性しか歴史に登場しないのは、それは逆に、生物学的には、男性の生命に意味がないからかもしれません。生きている意味を求めて何かを残そうとストレスが高い状態で生き急ぐ。男性というのは女性から見れば、そんな可愛い生物なのかもしれません。

 男性社会を女性社会に置き換えてみる。そうすると、これまでの常識とは違ったものが見えてきませんか?

 そこにはこれまでに見えていなかった、ビジネスチャンスやプライベートでの成功のヒントも見えてくるかもしれません。

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紙の本

紙の本星の王子さま 新版

2009/03/08 16:22

ほんとうに大切なものは目に見えない

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ここのところ、企業経営とか働くことの在り方などの話題、あるいはコミュニケーションやマーケティングについて考えたり話したりする機会が多い。そんな中で自分の頭のどこからか、「ほんとうに大切なものは目に見えない」というフレーズが浮かんできました。

 ネットで検索したところ、この言葉は『星の王子さま』の中で、キツネが発言したものだということはわかったのだけれども、はて、どういう話だったのかがさっぱりわからない。実際、周りの大人に聞いてみても、このストーリーを覚えている人というのはなかなか居ません。

 ということで、今回は、この『星の王子さま』をビジネス書として読む、という荒業に挑戦してみることにしました。

 カンタンに言えば、ひとり飛行機に乗っていたパイロットの主人公でアフリカの砂漠に不時着。そこへ、小さな星からやってきたという男の子が現れ、会話を交わす。そして一緒に井戸を見つけ、飛行機の修理が終わると共に別れて、おしまい、という話。

 その中にまぎれて、本当は絵描きになりたかったのにまわりの大人に笑われてしまって断念した主人公、愛すべき花を置き去りにして地球まで来てしまった星の王子さま、自分の価値観でしか物事を見ない天文学者会議の話、王子さまが出会う、王さま、うぬぼれ男、呑み助、実業屋、点燈夫、地理学者のエピソードが挿入されます。そしてこれらの変な人たちがいっぱいいるのが地球、というわけです。地球では、謎めいたことばかり言うヘビ、スイッチマン、丸薬商人、そして、この物語のキーとなる「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」というせりふを言うキツネがいます。

 実はこの物語は、このキツネのせりふからガラリと変わります。つまり、主人公も王子さまもそして読者も、それまでに読んできたもの、見てきたことが表面だけのことであり、目に見えない奥があるということに気づかされるのです。

 後半は前半の明るいムードとは違い、後悔や悲しさで満ちることになります。元の星の、花のところに戻りたい王子さま、生き残ったものの、王子さまを失って悲しむ主人公。ハッピーエンドでありながら、見えない大事なものをおろそかにすると、どんなに後で悲しい思いをするのか、ということを、体験させるような物語になっているのです。

 さて、この物語の著者、サン=テグジュペリは、飛行機に憧れ、何度も死線をくぐり、禁止高度まで飛行機を飛ばす航空大尉となり、最後には地中海の戦線で姿を消したという不思議な人物です。不景気とファシズムによって世界が戦争に突入している1943年に、亡命先のアメリカで、この本は挿絵も自分自身が書いて出版されました。

 おそらくこの物語を読みながら感じるのは、空と死を追いかけ続けた作者の独特の境地です。表面的なストーリーは主人公の事故からの生還ということで、ハッピーエンドなのですが、そこには「本当に大事なものは何なのだろう?」ということを純粋に思い描き、この地球から去ってしまった王子さまとの別れの方が、読者の胸に残ります。

 おそらく事実というものは変わらない。しかし、何をどう見るかによって、物事というのはどういう風にでも見えてしまう。そして、目に見えるものだけを信じたり大事にしてしまうと、本当に大事なものを見失ってしまう。なぜなら、本当に大切なものは目に見えないのだから。

 この本に込められた、何度も死を前にした著者のメッセージ。もしかしたら、金融危機や経済不安に煽られた今だからこそ、大人が大事にして、子どもや若者に伝えるべきメッセージなのかもしれません。

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紙の本

リーダーなき組織を、どう構築できるのか?

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 副題に「21世紀はリーダーなき組織が勝つ」とある。そしてそれに対比されているのが、普通の組織、分権型・階層型組織である。

 この本でその象徴とされているのが、ヒトデである。ヒトデは例えば真っ二つに切断したとすると、その2つの切片それぞれがヒトデとして活動を始める。

 そもそもアメリカでインターネットが開発された背景には、本部が核攻撃を受けても、他の基地が反撃することができるようにするためだったと言われている。これはまさにヒトデだ。

 だからこの本の中でも、インターネット上のサービスが多数、登場するのも理解できる。例えば、Wikipeida。ボランティア参加によるインターネット上の百科事典だ。あるいはSkipe。無料のソフトウェアを使う無料のIP電話である。あるいは数々のフリーウェアのソフト達。

 これらに参加している人は利用者であり、営業マンであり、開発者でもあったりする。開発まではできなくとも、意見を言ったり改善要求をしたりする。しかも、どこまで関わるかはその人次第。あくまで自主性に任されている。

 では、現実世界で同様の組織が作れるのか、というポイントである。

 一応、組織の例としてあげられているものはある。アパッチ族とアルカイダである。しかし、これらの取り上げられ方も微妙だ。

 結局、結論としては、ヒトデ型組織の要素を旧来の分権型組織にはめ込んだ「ハイブリッド組織」の提案で、この本は終わっている。

 残念なのが、この本の著者達が専門外であるために触れられていない点である。たとえば、アルカイダの前提となるイスラムの組織はどうなのか? また、世界最大にして最古のボランティアネットワークである、カトリックはどうなのか? あるいは、離散を経て国家を建設したユダヤの組織はどうなっていたのか?

 中央集中型の組織にはどうしても規模の限界…つまりは、管理コストの増大による効率の悪さによる競争力の低下、あるいは管理漏れによる組織の崩壊という問題を抱えている。ローマ帝国がキリスト教に負けたのも、同じ理屈である。

 この本に「歴史的視点」が欠けているのは残念だが、GEやIBMなど、分散型組織を取り入れた企業が成功している、という事例は、企業の組織戦略について悩める日本の会社にとっても参考になるだろう。分散型組織は管理コストが少ない。ということは、人が少なくなっても、人が欠けても動き続ける組織であるということだ。

 最後の章にはそのためのキーワードが語られている。

 組織規模を小さくする、ネットワーク効果を利用する、無秩序状態を受け入れる、組織の端に最高の知識や情報があることを理解する、誰もが貢献できるようにする、触媒を用意する、イデオロギーを用意する、フラットにする・・・。

 これらはそんなに難しいことではない。産業革命前までは、実際、人類にとって非常に当たり前な組織の作り方だった。

 しかし、今、現代に生きる我々にとっては、その区別が非常に難しい。なぜなら、この種の組織の作り方を忘れ、読み取る力を失ってしまったからだ。そして人は思う。この組織があやしい、とか、怖いとか、宗教みたい、という風に。しかし、それは単に、リテラシーの不足なのである。

 そういう意味でも、この本を読むことをお勧めする。ある組織を見るときに、その組織がどういう形態になっているのかを理解できるようになるだろう。(2007.12.2. bizbook.tv)

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紙の本

まあ、そんなことだとは思っていたけど。。。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 以下の項目にあてはまる人はいますか?

□一戸建ては親が子どもに残せる財産だと思う
□海外ブランドが好きだ
□インターネットは世界から貧困や不平等をなくすと思う
□チャリティ・コンサートなどを介してアフリカに寄付をした
□低脂肪表示の食品を好んで食べている
□セレブな生活にあこがれている
□政治がもっと良くなれば、生活が豊かになると思っている
□空港でのチェックが厳しいのは仕方がないと思う

はい。一個でもチェックがついた人はこの本を読まない方がいいかもです。ショックが強すぎて、こんな本読めるかー!ってなるかもしれません。

さて、前回に引き続き、世界を俯瞰してみましょう、という本です。今回の著者はイタリア人。名前がナポレオー二ってことは、ナポレオンの女性形でしょうか? すごい名前ですね。相応しい名前です。経済学者であり、この本はイタリアでベストセラーになったようです。

経済の暴力が政治を無視して展開している。簡単に言うと、彼女はこれを、ならず者経済(rogue economics)と呼んでいるわけですが、この結果、どういうことが起きているのか、ということがよくわかります。

ロシアの財閥が売春で稼いだり、アフリカへの資金援助が弾薬に化けたり、海賊やマフィアがグローバル化したり、中国とイスラムがそれぞれの形で発展してきている、ということがよくわかります。

特に中国。孫子や易経まで引き合いに出してくるあたり、著者の引き出しの多さにも驚きます。ここまで言い切っていいのか?という部分がないわけでもありませんが、まあ、これは著者のキャラクターなのでしょう。

そんなことより、ここで語られている個々の現象が、日本の私達の生活や暮らしにも、確かに影響しているな、と思える点です。21世紀になって増えている奴隷達が作ったものが冷蔵庫にあったり、スタバがコーヒー豆を搾取したりとか、あるいは日本でなぜワーキングプアが出現しているのか、食べ物にいろんな物が混入するのか、そういうことにいちいち心当たりがあって、ヒットしてしまい、一気に読んでしまいました。

グローバル経済が進展すると、領土を超えたところで、政治が機能しなくなる。そこでならず者経済が勢いづく、というけです。これはちょうど警察の管轄を超えた捜査がやりにくいというのに良く似ていますね。

一方で政治やメディアは夢のような生活やハッピーを演出するわけです。しかし、なんか気持ちいいと思えることはたいてい、騙されているのです。

これだけ企業環境が厳しくなっているのは、要は、奴隷制と搾取で作られた富と勝負しているわけです。このステージで勝とうと思ったら、同じ事をするしかありません。

ということで、なのかはわかりませんが、日本企業も相当えげつないことをしてるんでしょうね。そういえば、関税ごまかして商社マンが、というような記事もありました。

あちこちのならず者っぷりをこの本で読んでいると、2つの感想が同時に起こってくるのではないでしょうか。混乱期なので俺も一儲け、と考える人、そして、こんな世の中を変えることはできないの?という見方。

たまたま新聞に、文科省を襲うと脅迫して逮捕された東大生の記事が載っていました。教科書で習ったことと現実があまりにも違うので、責任を取らせようと思った、というのが動機らしいです。いや、確かに私達が信じているすばらしい世界の像と現実の世界というのはずいぶん、違うようですね。

では、そういう世界が現実として、どう生きていくのか、というヒントも、実はこの本にはたくさん書かれているように思います。ただし、普通に読むのではなく、書かれていないところに目を向ける必要がありますが。。。

なぜ、マフィアや中国人、あるいは海賊はインターナショナルな組織を作ることができるのか、奴隷はなぜ生み出されるのか、テロ対策の強化こそ、もしかしたらテロの目的だったのではないか、そういうことをひとつひとつ疑いながら読んでいくと、この本の批判的で挑戦的な口調の裏に潜む、著者の作戦が透けてくるように思います。

気づかない間に、あなたが搾取される側にまわらないために。。。

(2008.12.01.bizbook.tv)

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紙の本

これ、社員だけの話ではないかも・・・

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 さて、今、話題の「シュガー社員」本、第二弾です。

 向上心・責任感なし、逃避癖あり、権利だけはしっかり主張。こういう社員を著者は「シュガー社員」と呼び、前著ではその事例を多数、紹介して評判になりました。

 著者の講演を聞いた経営者の言葉が印象的です。これまで若手が辞めていくのは管理者の責任だと思っていた。しかし、こんな社員が現れているとは、気がつかなかった。その発言に担当者は涙した、とか。さもありなん、です。

 日本社会が夢とか希望を若者に与えられなくなって、かなりの年月が過ぎています。その間に大人になってしまった若者にとって、働くことの意味がわからない、と言われていた時代もありました。

 そして世の中は次のステップへ。法律や知識を味方につけ、仕事をしているフリをして楽に生きよう、という若者が出現です。

 楽に生きて何が変わるということもないのですが、主体性がないというか、諦めているというか、自分の人生を生きるのが怖いというか、まあ、困った人たちです。

 で、この本では、外見だけは仕事がデキる人のように見せている彼らを見抜く方法と、シュガー社員化するスイッチを押さない方法を解説しています。

 結局は、やはり会社側も旧来の家族型経営や、サービス残業当たり前の人材マネジメントから脱却して、きちんと法律に則った対応をしましょう、ということです。このあたり、社会保険労務士としての著者の姿勢がきちんとしていて、いいことだと思います。

 しかし、この本を読み終えて、ひとつ思ったことがあります。

 このシュガー社員に迷惑をこうむっているのは、果たして会社側だけだろうか? ということです。

 例えば、シュガー店員、シュガー営業、シュガー隣の人、シュガー通行人。

 こういう自己本位で自分に自信がない、攻撃型の逃避型。こういう人に、社員としてではなく、関わりになる可能性はないだろうか、ということです。

 この本にも実際にあったというレストランの例が出ていましたが、こんなお店、きっともう2度と行かないでしょう。きっとかなり不快な気持ちになるでしょう。

 社員は最悪、切ることができますが、失った時間と評判は戻りません。

 お客も上司もきちんと文句を言ったり、意見を伝えたりする。そういう風に対応していないから、シュガーがシュガーのままでい続けてしまうのかな、そんな風に思います。

 って、シュガーな人たちから言わせれば、たった1年で辞めてしまって、「他人事に聞こえる」と言われて「あなたとは違うんです」と発言した元首相も心強いお仲間なのかもしれませんが・・・。

 フラット化もここまで進行すると、困ったことです。

 ところで、シュガー社員の特徴のひとつに、自分を高めるための読書の習慣がない、ということがあるようです。

 この書評を読んでいる人はもちろん、該当外です。

 ということで、皆さんの周りのシュガーな人たちに溶かされないように、ご用心を。そのためにも、まずは知ることから。そのための一冊です。

(2008.12.14.bizbook.tv)

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紙の本

紙の本ワーキングプア 日本を蝕む病

2009/03/08 16:23

で、不景気っていつからさ?

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 2006年の7月と12月に放送されたNHKスペシャル「ワーキングプア~働いても働いても豊かになれない~」「ワーキングプア2~努力すれば抜け出せますか~」の取材を基に、数多くの実例を紹介するノンフィクションです。今回は今さら読んでいただきたい一冊として取り上げます。

 今、金融危機の影響で派遣切りだのが問題になっていますが、影響がいちばん少ないとか言われていた(もしくは、政治家の皆さんが言っていた)日本には、貧困や下請といった経済の下部の部分にかなり影響が現れているようです。

 しかし、確かに表面化しているのは今かもしれませんが、徐々に崩れていく日本の安心安全な社会というものが、表の社会のすぐ裏にまで忍び寄っていることに、あまり我々は無自覚だったのではないか、と思えます。

 この本によると、2005年の国税庁「民間給与実態調査結果」によると、全給与所得者の5人に1人は年収200万円以下。女性だけに限定すると200万円以下の割合は約4割。年金をもらえない高齢者は約44万4000人。家賃が払えずに漂流する若者。増え続ける児童擁護施設出身の子ども。

 この状況は過去の状況。ということは大人は老いて老人となり、子どもは若者になっていき、若者は大人になっていくのです。事態は進行しつつ、影響は増大していく、ということなのでしょう。

 これはネットで見たある記事ですが、日本の貧困の問題について開かれたシンポジウムにおいて、ある専門家の方に参加者が「余裕がなくてゲーム機を買ってもらえないで仲間はずれにされている子どもの問題も貧困なのか」という問いに対して、それも日本の貧困の問題に入る、と言ったのがショックだった、というのがありました。質問者も回答者も、どちらも貧困の現実的な問題を知らずに随分、のんきなことだなぁ、と思いました。

 貧乏が悪いわけではありません。そこに向けられる差別。あるいは搾取。そういうものが結果として貧乏ではない人たちの生活を支えている。そういう構造こそが問題なのです。

 例えば安い賃金。これで実現しているのは安い労働力による安い商品やサービスです。それを享受しているのは他でもない私達です。こうした構造の中に、日本の貧困の問題は埋没し、見ない振りをされてきたのでしょう。

 ボランティアやセーブ・ジ・アースとか、フェア・トレードとか言いますと、なぜかすぐに海外の貧しい子どもとか、薬が無くて死んでいる事実、というのがまことしやかに宣伝されています。前にこの欄でも紹介した『ヤバイ経済学』にもあったように、なぜ、それらがあなたの目に見えるのかといえば、それで利益を得る人がいるから、なのです。

 一方で、親の貧困の問題で国民健康保険に入っておらず、まともに病院にかかれない子どもがこの国には居るのです。あまりの低賃金に睡眠4時間で生きている女性がいるのです。死ぬまで働き続けなければならない老人がいるのです。しかも、それは彼らがサボっていたからそういう状況になったのではありません。派遣切りの問題でも露呈したように、今の日本の社会システムが、彼らの存在を必要としているのです。

 NHKの番組とこの本によってメジャーになったワーキングプアーという問題。どこか江戸時代の身分制度にも似て、日本社会の闇の深さについて、考えざるを得ない問題です。そう考えると、なぜこの本の副題が「日本を蝕む病」というものなのか、自然とその奥深さに考え込んでしまいます。

 目を背けるのか、考えるのか。日本人のうち、そのどちらの数が多いのかによって、状況は変化する、と信じたいものです。

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紙の本

リーダーシップ論の権威、マクスウェルの古典的名著

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 あとがきによると、著者のマクスウェルは、アメリカでリーダーシップと言えば、知らない人がいないほどの権威。元牧師で文章は愛にあふれています。

 彼によると、これまでマネジメントに関する書籍は山ほどありますが、リーダーシップについての本はなかった、とのこと。確かにこの本は、この後、出版されたリーダーシップ論のすべてが詰まっている一冊と言っても良いでしょう。

 例えば、リーダーシップの5つのレベル、あるいはパレートの法則。問題解決、心構え、人材の育成など、語られるテーマは多岐に渡ります。

 しかも、難しい専門用語や理論はありません。リーダーとはこういう人です、という話がたんたんと続いていきます。

 原題は、Developing the Leader within you (あなたの中にリーダーを開発する)です。この本を少しずつ読み、実践していくだけで、確かにリーダーに生まれ変わることができるかもしれません。

 そしてもうひとつ、おそらくこの本は、リーダーシップを語る上でベースとなる本でしょう。

 この本のスタンスは、まず、リーダーシップとは影響力です。また、誰でもリーダーシップを発揮する場所はあるし、実際に影響を与えています。そして、リーダーシップのレベルを上げていくと、結果として人間力に到達する、ということです。

 今、時代はこれまで当たり前だと思っていたこと、普通であると思っていたことが揺らぎ、再定義をしなければならないフェイズに来ています。こんな時代だからこそ、人々の心の中に必要なこと。それが、積極的に一歩を踏み出すリーダーシップではないか、と思います。

 これまで日本では、教育の現場でこのリーダーシップを教えてきませんでした。結果としてどうでしょう。国を動かす政治家ですらも、リーダーたる資質を疑うような事態になっています。

 この本が語るリーダーシップは、ごく一握りの選ばれたエリートという発想ではありません。誰の中にも眠る、誰にでも必要なリーダーシップを揺り起こし、実際に行動を起こしていく。

 そんな中から、混乱の後の再生が始まるのだと、私は思っています。

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紙の本

オーノー!って叫ばないでください。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 物が売れない時代に入っていますが、広告に意図される効果が本当にあるのかどうか、それをアンケートではなく、fMRIやSSTによる脳診断画像で判断してみたらこんなことがわかった、というお話です。

 まだまだこれからの分野ではありますし、さらに言えば、脳研究はまだまだいくらでもひっくり返る仮説の集まりでもありますので、実験結果以外の説明は最先端のものではない気もします。

 ニューロマーケティングの前提は、どうして事前の消費者調査で好感触だった商品が売れなかったり、なぜペプシがコカコーラに勝てなかったりするのか。そういうことの大前提は、人は論理で動くのではなく、感情で動く、ということで、さらに言えば、自覚していない可能性もある、ということです。

 さらに言えば、人は論理的で合理的な判断をしている、と言いたがるものでもあります。しかし合理的な判断で行動していないことは、行動経済学が証明してしまいました。

 つまりこの本は、行動経済学的マーケティングの本です。で、感情をどうやって図るのか、という手法が、fMRIやSSTだ、というお話です。これによって、例えば、タバコの箱に書かれている警告は逆効果でタバコを吸いたくなってしまう、というような話が展開されています。

 正直に言って、この本はそれほど内容がある本ではありません。著者の宣伝といった要素が強いですね。原題はBUY・OLOGY。これは著者の会社の社名です。副題は「私達がなぜ買うかについての本当と嘘」とあります。しかしこれを今、流行の脳に結びつけてしまうタイトルをつけてしまったハヤカワさんが巧みですね。

 で、ひとつこの本で思ったことは、本当に、fMRIなどを使わないとそういうことがわからないのだろうか、ということです。そしてもちろん私はそうではない、と考えます。

 優れたデザイン、優れた商品はきっと、何の説明もなしに良いことがそれとわかるものですし、逆に、説明されることによって良さがわかるような商品はその時点で駄目ということです。

 今回の不景気で、消費マインドが縮小した結果、マーケットも6割程度に減ってしまった、という話もあります。このことはつまり、すっかり成熟してしまった私達の消費行動が、実際に生きるのに必要なものの倍以上を購入していた、という事実です。そしてその必要以上の購入分が、世界を豊かにしていたのです。

 こんな時代だからこそ、新しいサービスや新しい商品について、合理性よりも感情、つまりは感覚が大事にされるべきなのでしょう。そして感情や感覚というのは良く考えたら、あなた自身でもわかることなのです。

 いいものだから売れる、のではありません。欲しいと思わせることができるから売れるのです。売れない時代だからこそ、原点に立ち戻る必要があるでしょう。

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紙の本

組織が仕事をすることはない、という真理がわかります。

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 コミュニケーションやリーダーシップを最高に発揮できるためには、何もかもを一人でやってしまう方がいい。しかし、一人でやれることには限界があるから、人が集まって集団・組織になったり、法人になったりする。組織は放っておくと腐って行くから、改革・改善・お掃除する必要がある。でもどうやって? というところで方法論の問題になるわけだ。

 この本の著者沼上 幹氏は言う。「問題を処理するのはヒトであって、組織構造ではない。組織構造は、そのヒトの邪魔をすることはできるが、ヒトのやるべきことを代行してやってくれることはない。」(P76)

 だから会社であれば、組織は構成員がより仕事しやすくなり、無駄がなくなるようにオーダーメイドで創り出す必要がある。コンサルタントのアドバイスに従って肩書きを英語に変えたからといって、仕事がはかどるようになる道理はない。

 組織改革を成功させるには,まず組織を見つめ直すことが重要になる。調査・点検・診察・カウンセリング。言葉はいくらでもあるだろうが、意味するところは同じである。これから組織の改善をしようというメンバーは、所属する構成員が人間であり、それぞれ意志や思い、長所と欠点を持っていることを理解し、そのうえでもっとマシにするにはどうすればいいのか、考える必要があるだろう。

 日本型組織がダメだとか、MBA型組織はなじまないとか、この本はそういった抽象的な批判本ではない。むしろ、具体的に組織を点検しこうという際、示唆に富んだ実用書になるだろう。「決断できないトップ」「組織の中のキツネ」「フリーライダー」「経営改革検討プロジェクトの乱立」…。ただ、新書という制約からか、もっと体系的に多くの事例を知りたかった、という思いは残る。

 もしあなたが経営者ではなく、スタッフなら、もちろん組織を改善・改革することだけが解決法ではないことも事実。「トップが決断できない」「トップ周辺の人々も決断できない」という会社の場合、「これはもうどうにもならない。早々に転職を考えるべきであろう。」(P138)とのこと。

 組織に不満のある皆さん、ご一読を。この本を読むことで、組織のせいなのか、トップのせいなのか、それとも自身の意識の問題なのか、整理されることウケアイである。

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紙の本

この本はとりあえず買っておきましょう。

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 現代マーケティング学界の第一人者、コトラーの最新作である。書店などでこれに合わせてコトラーの著作のフェアをやっているが、巨大で高価で重量級のほかの著作にくらべてこの本は明らかに特徴がある。——つまり、コンパクトで安い。

 原題は、
 Marketing Insights from A to Z
  : 80 Concepts Every Managers Needs to Know となっている。

 つまり、全てのマネージャーが知っておきたい80の概念/マーケティングの見識AからZ、とでも訳しておこうか。

 広告、ブランド、競争優位、顧客満足、デザイン、起業家精神、イノベーション、リーダーシップ、ロイヤルティ、マネジメント、アウトソーシング、パブリック・リレーションズ、戦略、成功と失敗、価値、クチコミ、熱意…。

 コトラーが今日のマーケティングにおいて必要だと思われる80の基本概念について実例をたっぷり降りかけて、時にはユーモアのスパイスも効かせて語ってくれる。

 まずこの本を読み、使えるのはマーケター。そしてBtoBのセールスマン。彼らはその言葉にコトラーの魂を込めることで、自分の売りたい、主張したいものについてより自信をもって発言ができるだろう。いつでも手に取れるところにおいて、付箋紙でも貼って、使えるところは使うと良いだろう。

 マーケティングと無縁に仕事をしている人。この本があれば、マーケターやセールスマンにダマされることはないだろう。1つの言葉は短すぎず長すぎず、極めてコンパクトに説明されているから電車の中でひとつずつ勉強してはいかがだろう。

 もしあなたが自分のビジネスを持っているのであれば、この本はきっと、コトラーの著作の中ではNO.1のバイブルになるだろう(他のコトラーの本はちょっと読むには重過ぎるから)。

 ともかくちょっと商売のことを考えようと思ったことがあれば、一応、買っておいて手元に置いておくことをオススメする。辞書とかキーワード集とかいうものは書棚にあるだけで武器になるものだ。装丁もシンプルで綺麗。これも実はオススメである。

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