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  • みんなの評価 5つ星のうち 4 164件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2008.10
  • 出版社: 光文社
  • レーベル: 光文社新書
  • サイズ:18cm/285p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-334-03474-0
新書

紙の本

できそこないの男たち (光文社新書)

著者 福岡 伸一 (著)

分子生物学が明らかにした、男を男たらしめる「秘密の鍵」。SRY遺伝子の発見をめぐる、研究者たちの白熱したレースと駆け引きの息吹を伝えながら「女と男」の「本当の関係」に迫る...

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できそこないの男たち (光文社新書)

税込 902 8pt

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商品説明

分子生物学が明らかにした、男を男たらしめる「秘密の鍵」。SRY遺伝子の発見をめぐる、研究者たちの白熱したレースと駆け引きの息吹を伝えながら「女と男」の「本当の関係」に迫る、あざやかな考察。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

福岡 伸一

略歴
〈福岡伸一〉1959年東京都生まれ。京都大学卒業。青山学院大学理工学部化学・生命科学科教授。「生物と無生物のあいだ」でサントリー学芸賞受賞。2006年、第1回科学ジャーナリスト賞受賞。

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みんなのレビュー164件

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評価内訳

紙の本

タイトルからなにについて書かれている本かは

2008/11/08 17:10

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る

タイトルからなにについて書かれている本かは、わかりずらいと思います。

本書は、生物学の見地から見た男性・女性の違いを解説している本です。男性と女性、それを分ける染色体やDNAなど最新科学に基づいたものを、初心者でもわかるように丁寧に解説しています。

女性と男性、でどちらが優れているか?

また、どちらが生物的に基本形なのか?

古今、いろいろな議論が交わされてきました。たとえば、「アダムとイブ」。女性であるイブは、男性であるアダムの肋骨からつくられたとされています。

しかし、本書では生物の基本形は女性であると結論付けています。

では、男性は??

男性は女性の基本形の一部をかえたかたち。そして、その役割は、遺伝子にバリエーションを与えるためだけの存在なのです。

「女性は自らのために男性を創った」
男性は、女性のための使い走りでしかないのです。そして、女性より与えられた寿命も短い・・・。本書のこの表現は、現実的な感覚として「なるほど、もっともだ」と思うのは私だけではないはず。

本書は、11章で構成されておりますが、最後の11章で生物学的な見地を若干はなれ、現実世界の男の悲哀について書いています。

この最後の章がそれまでの章の帰結として描かれているのは、読み物としても完結されています。

ちょっと悲しいけれど、男性におすすめ本・・・

龍.

http://ameblo.jp/12484/

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紙の本

「男とはどういうものか?」というよく書かれた小説。

2009/02/21 21:51

9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 人間の一部に「できそこないの男」がいるというタイトルか、とまず思ったのだが、人間の男そのものが「できそこない」だという話。この本は、表題からしてなかなか読み取るのが難しい。

 話題になった「生物と無生物のあいだ」と同じように、著者の研究生活の思い出から始まる。結局は遺伝子の話につながるのだが、回顧調の部分あり、詩の引用あり、でこれが結構長い。
 続く第一章からは人間の「性」、生物の「性」を教科書的にではなく説明しましょうということで、染色体の話、性を決定する遺伝子の話など、研究で解明された性決定機構について詳しく書かれていく。「精子をはじめて見た」レーウェンフックや、「性染色体をはじめて記述した」スティーブンスの話は知識を進めた先達の話としてなかなか面白かった。最初に見つかった「メスをオスにする遺伝子」が本命ではなかった、という話のところなどは、論文を丁寧に追って解説している。少し理詰めで難しい感じがするが、きっちりと「性の原理」がどう解明されてきたが、が説明されている。

 しかし、きっちりと「科学の成果」を説明していく本、とはいいきれない。こちらがなまじちょっとだけ「このあたり」の生物学を知っているからかえってよみづらかったというところも、正直ある。それでも、「哺乳類またはヒトのオス=男」に限られている話なのに、「オス全般」でそうであるかのように著者の書き方では読み取れてしまうところなどがいくつか気になるのである。表題は「・・男たち」なのだから、ヒトに限って読めば良い、と言われるかもしれないのだが、紛らわしい。
 たとえばトリなどでは「遺伝子をばらまくためのオス」が「染色体が違っている性」ではない。トリでは「遺伝子を受け取るメス」が「違う染色体」を持つのである。ではトリでは「メスがオス型からつくられ」、「できそこないのメンドリたち」なのか?染色体が変化しているから、ということと「オスであること」はそう直接にはつながらないものなのである。
 社会的なオスの役割についても、著者自身が「推測」と断っているところもあるが、かなり大胆な「仮設」と思われる部分である。研究の証明部分がとても「きっちり」している分、その辺の飛躍や、抒情的な文章などが「ミスマッチ」な印象を残す。いや、このミスマッチが著者の持ち味、と言われればそうかもしれないとも思う。

 それにしても少々工夫をしてみただけなのに、男だけを「できそこない」と言ってしまうのはかわいそうだ。生物は「あるものを工夫し複雑化してできてきた」のだとすれば、その種として既にいろいろな不都合を抱えてもいる。たとえばヒトだったら、食道と気管が交差しているのでいちいち蓋をして飲み込まなくてはいけないとか、直立姿勢は腰に負担が大きいとか。どんな生物も、「程度問題」のできそこないじゃないだろうか。そんなこと、著者は承知でこう表現しているのかもしれない。この「できそこない」という表現も、ひとつの「(女性の)気を引く手段としての言葉」だったのか、とも思えてくる。

 プロローグと同様、各章の「前振り」のたとえ話が長かったり、どういうところに関係するのか、わかりにくい挿入があったりしたのだが、これはきっと著者がものすごく博学で賢い、ということなのだろう。プロローグの現代詩の意味するところはまだしも、エピローグのヤミ族の話がどう関連するのか、著者の自由自在にひきよせてみせるものが、浅学なものにはとまどうところが多かった。
 関連しないような話、大胆な推測の中に理詰めの論文説明もある。書評をどうまとめようかと苦労していたら、オリオンさんの書評が載った。そう、「小説」として読むのがよいのかもしれない。きちんとした性の機構の説明も挿入されている、男性というものを考えた小説として。
 著者様、それは意図とは外れた読み方かもしれませんがお許しください。
 確かに、あちらこちら、思いもよらないような話にも引っ張って行かれ、「めまいのような加速感」を感じる、面白い「お話」です。

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紙の本

女性中心社会をデザインしてみる

2009/03/08 16:27

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:aguni - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「生物と無生物のあいだ」で第29回サントリー学芸賞を受賞した著者が、分子生物学の観点から、男と女を語った一冊。内容は研究者の攻防の話からゴシップネタ、著者の男性観・女性観などが入っていて、真面目な教養本というよりは、雑誌のコラムを読んでいる感じである。そもそもは「本が好き」に連載されたものをまとめたとのことで、なるほど、という感じ。

 読んで知識を得る、というよりは、頭の体操を促す一冊といえるでしょう。

 さて、生物学的には女性がベースであり、男性というのはその亜種として作られ、遺伝子のリスクヘッジのための存在でしかない、ということは、有名な話ですが、これ、意外に知られていない事実のようです。

 確かに世の中を見ると、男性が社会を支配しているように見えます。アメリカ大統領も日本の首相も女性がなったことはないですし、歴史物を見ても、権力を握っているのは男性、ということになっています。

 この本ではその謎が解決されていません。著者は、メスが欲張りすぎたせい、という風に言っていますが、そうでしょうか?

 私はその方がメスにとって都合がいいから、ではないかと思っています。より有利なオスをゲットするためには、オス同士が戦っている環境の方がいいわけです。競争させ、戦わせ、生き残ったオスこそが自らの遺伝子を存続させる可能性が高いわけですから。

 そういう視点からこの社会を見てみると、世の中が違った姿に見えてきます。たとえば、街に出れば、女性の姿ばかりが目に付きます。週刊誌などで女性の裸が晒されているのに、男性の裸はあまりないのはなぜでしょう。

 著者いわく、長生きするためには女性に生まれることだ、と言います。日本人の平均寿命にして7年も差があるのです。なるほど、それはそうかもしれませんね。

 男性は生物学的に女性をカスタマイズしたものだから、不完全で壊れやすい。これが著者の主張です。さらに喫煙・飲酒・ハードワークなど、男性が壊れやすいように(笑、社会はできています。

 女性の社会進出が進み、結果として少子化が進んだ。結果として民族消滅の危機を迎えている。これが日本の現状なわけですが、この本の話から考えれば、そもそも女性の社会進出というところに、誤解と錯覚があったのではないかと思います。

 人事の方や、派遣会社の方とお話していてわかるのは、学問でも仕事でも同じ成熟度であれば女性が優秀である、という事実です。あまり逆の話は聞きません。でも、男性を雇用したいと企業は考えます。理由は、女性はきっと辞めてしまうから、とのこと。優秀であればあるほど、よいオスを捕まえて、生物として目的である娘の創造へとフェイズを移してしまいます。女性はこの社会で自由な存在なのであり、社会の維持よりも、生物としての自己都合を優先することが許されているのです。

 これは冗談ですが、奥さんがコーチングの勉強をしたい、と言ったら気をつけろ、という話があります。コーチングで自己に目覚めたら、子どもが無事に成長したら、結婚を維持する努力に意味がなくなってしまうことに気づくから、という話です。実際、活躍しているコーチの方で、離婚されている方というのは意外に多いです。

 女性はこの社会で自由。男性は不自由。男性は女性の姿だけでにでもお金を払い貢ぐことに喜びを感じる。女性は男性に競争させることに喜びを感じる。これが生物学的にシンプルな社会の形かもしれません。

 男性しか歴史に登場しないのは、それは逆に、生物学的には、男性の生命に意味がないからかもしれません。生きている意味を求めて何かを残そうとストレスが高い状態で生き急ぐ。男性というのは女性から見れば、そんな可愛い生物なのかもしれません。

 男性社会を女性社会に置き換えてみる。そうすると、これまでの常識とは違ったものが見えてきませんか?

 そこにはこれまでに見えていなかった、ビジネスチャンスやプライベートでの成功のヒントも見えてくるかもしれません。

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紙の本

楽しみながら再確認

2019/07/05 13:51

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る

福岡伸一『できそこないの男たち』を読みました。
生命科学の本です。
書名は「出来の悪い男」という意味ではなく、「男というのは生物学的には、できそこないである」という意味です。
生物の基本形は女性で、男性は女性をちょこっと改造してできたもの、というのは知識としては知っていたのですが、この筆者の、巧みな比喩とテンポの良い文体によって、楽しみながらそれを再確認しました。
聖書ではアダムからイブが作られたのですが、現代科学の知見ではイブからアダムは作られるのです。
この人の本には研究を生業とする人の苦労や悲哀も描かれていて、ちょっと前のSTAP騒ぎを思い出しました。

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紙の本

男と女の間には。

2008/11/07 11:24

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「男性は、生命の基本仕様である女性を作りかえて出来上がったものである。だから、ところどころに急場しのぎの、不細工な仕上がり具合になっているところがある」

「だから男は、寿命が短く、病気にかかりやすく、精神的にも弱い」

劣化コピーね。種の保存のために、はじめに女性(メス)ありき。というのは、なんとなく知ってはいたが、かくもきっちりと全編にわたって「分子生物学」的に述べられると、一応、男であるぼくは、つい襟を正して読んでしまう。

たとえば生殖器官。

「基本仕様として備わっていたミュラー管とウォルフ管。男性はミュラー管を敢えて殺し、ウォルフ管を促成して生殖器官とした。-略-かくして尿の通り道が、精液の通り道を借用することになった。ついでに精子を子宮に送り込むための発射台が、放尿のための棹にも使われるようになった」

前述の女性から男性に「作りかえる」ものが、「SRY遺伝子」で、そのしもべが「主要な男性ホルモンであるテストステロン」。「胎児はテストステロンのシャワーを浴びて初めて男になる」。

昔懐かしの保健体育の教科書で読んだ第二次性徴の男の特徴。のどぼとけが出て、ヒゲなど体毛が濃くなる。これもテストステロンの成せるもの。男らしさの素でありながら一方で「目免疫系を傷つけ続けている可能性がある」。ダブルバインドかよ。

「遺伝子の使い走り」である男性がアッシーくんやメッシーくん、ミツグくんなど喜んで「女性に尽くす」のは、「生殖行為」の際に伴う「快感」というご褒美のためなのだろう。
なんだかフロイトの二番煎じみたいだが。

なんだけど、最近では、精子だけ取り出してという人工授精も行われ、このままでは、まるで長旅をして遡上してきたのに、精子をふりかける前に、搾り取られて人工孵化させられてしまうオスのサケのようになってしまいかねないかも。

作者は本の終わりで魚は一生水の中にいるが、それを感じることなく生きているという素敵なフレーズが出て来る。しかし、男はそうはいかない。そう考えてしまうぼくは、たぶんダメなヤツなのだろう。でも元々不具合だものと、開き直ったりして。男性・女性を違った立場から見ることができ、とりわけ男性なら自分のマッチョ度合いをはかるのに好適。おもしろうてやがて哀しき一冊だ。



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紙の本

思わず萎える自虐的な男本。現代の社会構造に「メス」をいれた一冊。

2011/05/12 23:49

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:レントゲンのパパ - この投稿者のレビュー一覧を見る

発刊から2年が経過するも未だ話題をさらう男本。改めて読み返してみても思わず萎えてしまう一冊です。男女平等が叫ばれる現代社会で亭主関白的な態度をとられる殿方にはぜひとも一読していただきたい。また、そんな殿方を選んでしまった奥方には父の日のプレゼントとしてお勧めしたい。

本書ではアリマキ(アブラムシ)の驚くべき生態について紹介しています。アリマキの世界は原則メスだけで成立しており、自らのクローンを生み出すことで驚異的な繁殖力を実現しています。しかし、一年に一度秋の訪れとともに、自身の染色体をひとつ削ったクローン、即ち弱いオスを生み出し交配を行うことで、種の形質に多様性と変化をつくりだし、環境の変化に対応してきたというのです。まさにオスは生き残るための使い走りです。著者はさらに男を追い込みます(著者も男なのに)。この風変わりな繁殖システムは、アリマキのような限られた種の中で行われているのではなく、地球上に生命が誕生してからの10億年ではむしろメジャーな増殖手段だというのです。

話をヒトに戻すとさらに悲しい運命が待っています。ヒトの発生、即ち胎児誕生の過程は女性を基本仕様としており、男性特有の生殖器は女性の仕様をその場しのぎで作り変えたものだというのです。さらに日本人の死亡率統計から見ても、男性はがんに罹患しやすく、ストレスに弱く早死してしまう。男性を決定する遺伝子が作り出す男性ホルモンがヒトの免疫系を邪魔するというのです。

著者の生物学的知見から、現代の社会構造に「メス」をいれた一冊です(笑)。

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紙の本

もうひとつのYの悲劇

2009/02/14 22:27

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 保坂和志の小説論がそれ自体小説であったように、福岡伸一の科学啓蒙書は、細胞内の出来事を描写した一篇の小説である。
 本書の前半は、極上のミステリー小説のように綴られた、性決定遺伝子をめぐる科学者たちの物語(書名の候補としては、『もうひとつのYの悲劇』)であり、後半は、性決定へのカスケードを演じる細胞内物質群の物語(同様に、『平衡宇宙』)である。
 朝日新聞(2009年2月14日付け朝刊)に、加藤周一への追悼文が掲載されている。
 「アンリ・ファーブルのような緻密さ、ジュール・ベルヌのような飛躍、あるいは今西錦司のごとき自由な変幻さ」に憧れて大学に進学した著者は、理科系の学問に半ば失望し、ひそかに文系にあこがれていた。そんなとき、“文転”の大先輩が著した『羊の歌』を読んで、著者は衝撃を受けた。
 加藤周一が医を廃して詩に向かったのは、「夥しい本を読み、そして多くを書き、世界中を旅し、少なくない数の女性を愛したのち」のことだったのだ。「私はまだ全く何もなしてはいなかった。」
 こうして著者は、『生物と無生物のあいだ』に描かれた、分子生物学者への長い旅に踏み出し、やがて、ファーブルやベルヌの詩に繋がる水脈に触れることになった。「絶え間ない消長、交換、変化を繰り返しつつ、それでいて一定の平衡が保たれているもの。それは恒常的に見えて、いずれも一回性の現象であること。そしてそれゆえにこそ価値があること。生命現象を、あるいは世界を、そのようなものとして捉えようとようやく気づいた私にとって、加藤周一はいつもはるかに遠い。」
 それにしても、この人はほんとうに文章が上手い。以下に、「できそこないの男たち」に捧げられた福音を抜き書きしておく。

《私たちにとっての媒体[メディアム]とは何か。それは、時間である、と私は思う。時間の流れとは私たち生命の流れであり、生命の流れとは、動的な平衡状態を出入りする分子の流れである。つまり時間とは生命そのもののことである。生命の律動が時間を作り出しているにもかかわらず、私たちは時間の実在を知覚することができない。
 いや、むしろこういうべきだろう。生命は時間という名の媒体にどっぷりと浸されているがゆえに、私たちはふだん自分が生きていることを実感できないのであると。ならば、時間の存在を実感できる一瞬だけ、私たちは私たちを運ぶ媒体の動きを知り、私たち自身が動いていること、つまり生きていることを知覚しうるのではないだろうか。》

《時間の存在を、時間の流れを知るたったひとつの行為がある。時間を追い越せばよい。巡航する時間を一瞬でも、追い越すことができれば、その瞬間、私たちは時間の存在を知ることができる。時間の風圧を感じることができる。それが加速覚に他ならない。
 巡航する時間を追い越すための速度の増加、それが加速度である。加速されたとき初めて私たちは時間の存在を感じる。そしてそれは最上の快感なのだ。なぜならそれが最も直截的な生の実感に他ならないから。
 自然は、加速を感じる知覚、加速覚を生物に与えた。進化とは、言葉のほんとうの意味において、生存の連鎖ということである。生殖行為と快感が結びついたのは進化の必然である。そして、きわめてありていにいえば、できそこないの生き物である男たちの唯一の生の報償として、射精感が加速覚と結合することが選ばれたのである。》

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酔ってるなあ

2019/05/31 19:30

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ROVA - この投稿者のレビュー一覧を見る

生物学的視点からの、男女の「なりたち」の違い。
とても面白いですが、自己陶酔してる感が目に余るところも(笑)
やたらと比喩が多くて逆に分かりにくくしてるような・・・だからこそ面白いのだけれど。
ナダルージナールの話はここまでページを割く意味がよく分かりませんでした。
現代の男女差の問題に関しての見解は目から鱗が落ちます。男女共これは読むべき。

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2008/10/24 01:49

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2009/04/15 20:57

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2008/11/17 08:56

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2008/11/20 22:20

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