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大昔に一大センセーションを巻き起こしたらしい麻雀小説。
ばくち打ちには、たまらない一冊やと思います。
ちなみに、You Tubeで検索すると、若かりし頃の真田広之を観ることができます。
だけど、僕は色川武大名義の小説が好きやなー。
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第一巻青春編では、まだ子供子供していた哲が、いよいよカタギでない世界にどっぷりはまって、ヒロポン中毒で死にかけるところから話は始まります。
当時の世相がきっちり反映されているのも、このシリーズの読みどころですが、第二巻では、混沌の巷であった東京に、やや復興の兆しがみえる様子が、巧みに織り込まれています。
その一つがいわゆる「筋モン」の組織の復活。
空襲や何やで、終戦直後はやっちゃんたちも散り散りになっていたんですね。その代わりといってはなんですが、GHQが表も裏も仕切っていた。
だから第一巻では、アウトローの世界を描きながら、不思議とその種の人たちは登場しません。
ところが、第二巻では、ぼつぼつ陰の世界の仕切り屋たちが姿を現します。
まだ強大ではありませんが、ヒロポン、今で言うところの覚醒剤なんかを捌いて、徐々に力を蓄えつつある様子が描かれます。哲ちゃんも、まんまとそれにひっかかっているわけです。
やがて哲が流れていく関西でも、「組織」の影がちらつきます。
また、当時の在日の人たちの独特の雰囲気、小さくかたまって、互いを守りあう特異な世界の様子も活写しています。
博打列車も、博打寺も、混沌期の社会にはありそうな話です。
特に博打寺。戦争で困窮したうえに、檀家も窮乏したり離散したりで、威儀を保つためにやむを得ず、カジノまがいの副業に手を出したところも実際にあったのではないでしょうか。
第二巻は、第一巻よりは娯楽小説の雰囲気で、おかしな博打坊主やおきゃんな娘ドタ子など、マンガ的にデフォルメされた登場人物たちの活躍が目立ちます。立ち回りもあります。
ブウ麻雀という、展開の速い一回勝負のルールが中心となるため、第一巻の「積み込み」のように、目の覚めるような頭脳戦は見られず、少々セコイ小技がもっぱらですが、読み物としては楽しくできています。
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青春篇よりも博打うちとしての戦いがメインとなっている。
関西の麻雀ルールによる戦い方の違いや、寺での麻雀等はやはり面白い。
文章力よりも設定やキャラで読ませる作品だ。
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阿佐田哲也『麻雀放浪記 2風雲篇』(文春文庫、2007)
青春麻雀小説の大阪編。東京のバラック時代、麻雀仲間の死。
ヒロポン中毒ですべてを失った主人公「坊や哲」はきっかけをつかみ大阪へ。
西のルールに戸惑い、地元の打ち子たちに騙されながらも持ち前の勝負勘で取り戻していく坊や哲。
負けが込んで上着に家に商売道具に女房にと、仲間にすべてを巻き上げられる大阪の打ち子、それも勝負のうちといっそすがすがしい生き様が描かれます。
【本文より】
◯「奴は皆のツキと勘とを計算してよく見てるんだ。一番アツくて一番勘が鈍ってる奴等の逆目へ張っていく。それも奴等の額に合わしてだ。決して自分の勘などを使っちゃないない。自然の理を生かす、ってさっきいってたが、それがそういうことなんだろう」
◯「西村、まだいくらもあるやろ。靴一足かてええ、米一升かてやったる。どうせ朝までまだ大分あるんや」
「取り返す気にならんかい、西村」
「西村、どうせ朝まで帰れやせんのや。声を出せ」
「やったかて同じや。ええもう、みんなくれてけっかるわ」
「それでええよ、それでもともとや。梅田の地下道で寝とったときを考えてみィ。穴のあいとらん服つけとるだけでもましやないか」
◯「金なくたってええのや」
「でも大阪はまだ来たばかりで、何にもないんだ」
「身体張ったらええやんけ。お前、麻雀打ちやろうが」
「身体 ―?」
「おう、小指とか、薬指とか、頭の毛とか、足の指とか、いらんものは仰山あるわ」
◯「玄人同士が打ち合うなんて、阿呆らしいことさ。名誉を賭けて打つわけじゃなし、博打てえものは、弱いやつから確実に勝っていくものだ。素人を狙え、弱いところを潰していけ、それが本当の玄人というものだ」
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こいつは旅の巻といった風情だけれども、びゃっと開けた風景なんてものもないわけで、あいもかわら卓を囲んでじんわり黴くさい。それのどこが旅かと言われりゃ、必要もない他人とのすれ違いが、それゆえに因縁じみてたりするってことが、よくよくある。モビリティの社会なんていったのはこういう旅打ちのことを言うんじゃないのかね。
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ドテ子はいい子だよねぇ〜。
女性から見たらどういう女なんだろう。
それにしても、トータルでは坊やの勝率がそんなに高くないのがリアル。ヒーロー不在。
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ヒロポン中毒からの大阪行き。神戸の洋館、京都の古寺での麻雀対決。クソ丸・ドテ子の強烈なキャラも登場。かなり痛快。