憎まれ役 みんなのレビュー

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投稿者：良泉　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

特段、野村克也や野中広務が好きなわけではない。特に野中広務に対しては、その著書を読み、納得できない思いをしたこともある
しかし、野村克也と対比して描かれることが多い長嶋茂雄の造花的な華やかさは、昔からどうしても好きになれなかったし、野中広務の敵対者として活動してきた小沢一郎や小泉純一郎の行ってきたことは、この国に害するものとしか思えず、常に嫌悪する気持ちを持ってきた。
「敵の敵は味方」の論理でいけば、野村克也や野中広務は「味方」と呼べる。
実際、この二人の生き方には結構惹かれるところがある。
人が人を惹きつける魅力とはどこにあるのだろう。
野中広務は明確に物を言う。
圧倒的多数の賛成により沖縄米軍用地特別措置法改正案が委員会採決された時、
「この法律が沖縄県民を軍靴で踏みにじるような、そんな結果にならないように。そして古い苦しい時代を生きてきた人間として、今回の審議がどうぞ再び大政翼賛会のような形にならないように、若い皆さんにお願いをしたい。」
と発言した。国会の場で久々に聞く魂のこもった発言であった。
本書においても、神戸空港や静岡空港を無駄な公共事業としてこき下ろす。利権目当てに、デッチアゲ資料を片手に事業必要性を訴え、誘致に走り回った人たちとは明らかに違う。
野村克也の発言にもオブラートは無い。決して多弁ではないが言うべきことは言う。
日本球界における巨人“軍”の、まさに軍隊式の唯我独尊わがまま自分勝手独りよがり的行動に対し、球界の中からはっきり批判の言を発する人間はそうそう居ない。
自分の置かれた立場で、自分の利益にとらわれることなく、誰に媚びるでもなく、自分の保身など考えず、言わなければならないことを言い続ける。
このような人が今は少ない。