紙の本
どう捉えるかは受け取る側次第
2009/04/26 00:09
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
Ph.DはDoctor of Philosophyの略であるが、どの専門分野で取得した博士号であってもこの称号を利用することができる。この理由は、どんな専門分野であっても突き詰めて考えれば哲学的になるからだと思う。ここでいう哲学的とは、物事を主体的に証明することが出来ない状態のことを指している。
どういうことかというと、例えば、橋を架けようとした時に、どんな材料をどのくらい使えば壊れないかという問題は、実際に様々なパターンで橋を造ってみて、どれが壊れないかを確認すれば検証できる。現実には力学的な計算式を用いて算出するのだろうが、その答えが正しいことは実物で確認できるわけだ。(計算式が間違っていれば橋は崩れる)
一方で、光速度やプランク定数が何故その値をとる必要があるのかは、人間がそれらのパラメータを色々変えて実験することはできないので、本当の意味でその答えを知ることはできない。ただ出来るのは、ある一定値をとると仮定して、現実の物理現象が正しく説明できることを証明することのみだ。つまり答えがそうだと誰かが考えて、他の誰もその矛盾を指摘できないという状態を以って、その答えが正しそうだと確認するのである。
さて、ここでこの作品に戻ると、いつものように密室も作られるし、西之園萌絵などおなじみのキャラクターも登場する。そして最後には犯人も指摘される。だが、それを以って事件が解決したと言えるのか。そんな疑問も同時に提出される。
法治国家、特に日本における事件の解決とは、法律に基づいて行われる裁判において検察が有罪を主張し、弁護側がその主張を覆すに足る反証を提示できなかったと裁判官(裁判員)が判断した時になされる。確実に真実を知っている神のごとき存在はいないわけで、ある説明が確からしいと過半数の裁判官が思えばそれが真実になる。
他人を理解するという行為は、実は他人を自分の中にある型にあてはめる行為だと思う。多くの人はその型の数があまり多くはないので、類似した型に当てはまるよう、瑣末だと判断した事象を切り落としてしまう。例え切り落とされたものが重要なことだとしても、ピッタリ嵌ってしまえば納得できるのだ。逆に言うと、嵌らなければ納得できないということでもあるのだが…。
紙の本
Fより格段に短いながらも面白い
2021/01/31 22:37
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投稿者:ライヘン箱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
章の数が S&M シリーズの半分にあたる 5 章と他シリーズに比べ短くなっており,そのためか比較的あっさりとした印象を受けたが,密室トリックは至極単純ながら納得感がある.事件と関連する形で述べられる終盤の鋭い指摘は,『φ』にとどまらず推理小説へとも,我々の営み全般へとも拡げて解釈でき,特に興味深かった.
前述の通り短いので,『すべてがFになる』の時ほど人物に入り込むことは叶わなかったが,西之園萌絵ら S&M の登場人物との関係性や彼・彼女らの変化について,続く作から知れるのを楽しみにしようと思う.
電子書籍
海月くん謎過ぎ
2015/03/26 08:49
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る
『すべてがFになる』と比べるとシリーズ物の最初にしてはインパクトがないかな。海月くんが謎すぎるので次作からの活躍を静かに期待。
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期待の新シリーズ。謎解き自体はあっさりとしたものでしたが、文章は何時も通りの面白さ。所でGって学生からとったのかな?>間違えました、ギリシャだ(後日)。
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2007/11/17 Amazonにて購入。
2010/11/3~11/6
森さんのGシリーズの一作目。萌絵とC大学生達が中心の新シリーズ。
N芸大の同級生町田のアパートを訪ねた戸川優と白金瑞穂。鍵がかかっており、管理人に鍵をあけてもらって入ると、Yの字型に吊られた死体を発見する。その一部始終を記録したビデオは「φは壊れたね」というタイトルがつけられていた。果たしてこの密室殺人は誰がどのように行ったのか。萌絵は山吹らと事件解明に挑む。
いつもの森節が健在。海月くんが良い味だしている。
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主役に天才が多かった今までの森作品から比べるとやや異質だろうか。劇的な場面展開もなく、あっさりだったのはちょっと意外。でも、トリックそのものにはエネルギーを感じるのは共通。これからどう展開していくのだろう。
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おなじみ西之園萌絵ちゃんが、おねーさんとなって登場。彼女の後輩たち(国枝センセーの教え子たち、というあたりがまたvv)がおそるおそる活躍しはじめる新シリーズの文庫化。印象としては、やはりS&Mなどと比べると軽い。本も薄いし、トリックもお手軽で中身も薄っぺらではあるが、それだけで切ってしまうと後で痛い目を見るかもしれない…だって森だから(笑)今後どう化けるか期待しつつ、展開をワクワク見守ってます。犀川センセが一瞬出て嬉しかったよvv
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Gシリーズ一冊目。
山吹が犀川先生タイプなのかと思いきや、海月が犀川先生タイプ。
今の段階での印象は、山吹がポスト萌絵ちゃんor小鳥遊君。加賀部がポスト紫子さん。
登場人物の顔見せのような感じが強くて、森ファンが長い人には新鮮な驚きはないかも?
トリックや動機の不鮮明さは森節炸裂。
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久しぶりに森作品を手に取りました。
以前に比べ読みやすくなってはいますが、なんだか物足りない感じが・・・
キャラも以前に比べ物足く感じてしまいました。
まだ、シリーズの始まりなのでこれからどうなっていくのか期待します。
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異様にデコレーションされた死体。それを見つけたのは萌絵の後輩の山吹だった…。GシリーズはS&Mの数年後。トリックはまだしも動機がさっぱり理解不能だった。森博嗣炸裂な感じ。国枝先生がいい味を出し、海月がどっしり重石になってる気が・・・。テンション的には他のシリーズよりも軽い。
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待ちに待った「Gシリーズ」第一作目。登場人物一覧に犀川と萌絵の名前があったので犀川先生の活躍に期待したのだけど。あれ? いやいや、でも事件は早々に起こったし、それによって萌絵も出ずっぱりだったので「S&Mシリーズ」以来のファンとしては嬉しいところですが。今シリーズは犀川や萌絵のような「1%の人間」が謎を解くのではなく、ごく一般的な「99%の人間」が推論を戦わせていくような…シリーズなのかな?
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S&Mシリーズを読み終わって、次のシリーズに手を出すのを尻込みしていた中、Gシリーズ1作目が文庫化という事で購入。心揺さぶるタイトル。相変わらずの森テキスト。さくっと読ませる(さくっとし過ぎか?)テクスチャ。内容としては、1作目にふさわしい華のある密室殺人事件をベースに、西之園や国枝先生などの既存キャラも露出させつつ、Gシリーズの主軸キャラとなるであろう3人の大学生山吹・加部谷・海月をお披露目させた感じ。森さんの引退まであと1年、新作はあと15作。ゆっくり噛み締めて読んでいこう。
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良くも悪くも森せんせえの本だなぁという印象。言葉遊びはだいぶ少なくなって、全体的にさらっと読める感じは増していますけど、その分物足りなさも残るかな〜。今後キャラがどう立ってくるのかが楽しみです。そしてやっぱり犀川先生が一番ときめく…!笑
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こんなのもありなのかしら。
ラストはそんなのあり?作者ズルくない?と思ったのでちょっと評価低めで。
たまに、森さんの作品って逃げ方がすごくズルいときがある。
そりゃないよーって感じ。
なんか持ち上げておいてなぁ。
ちょっとあとは読者の想像にお任せ♪って思っているなら投げやりすぎると思うわ。
結局主人公って誰よ。
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ずっと待ってたGシリーズの文庫化!嬉しい!!スタンダードな密室もので、さらっと短めに、文句のつけようのないしっかりとしたトリックで安心して読めた。キャラクタにまだ慣れてないけれど、これからが楽しみ。