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鬼はどこにいるのか?
2021/03/31 14:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみしま - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮部作品が電子化されて本当に嬉しく、さらに電子特典もついている一冊。
宮部さんは、怪談やホラーを多く書かれていますが、一貫しているのは、ただ、訳もなく怖ろしい
のではなく、怖ろしい結末であっても、読者に一緒に考えさせるような趣があります。
本作も怖ろしいのは、人のこころの持ちようということが、ちりばめられています。
人は生きていれば楽しいことも、つらいことも、意地悪をされることも、することもあって初めて生きているということだと、「安達家の鬼」の姑が話すシーンがあります。
まさに、どんな人もこのようなこころの動きはあり、誰もが清濁を身の内に持つのだけれど、
それでも、懸命に生きていれば、「鬼」になることはないという宮部さんの想いが伝わってきます。
人を陥れず、羨まず、驕らず、ただひたすらに働いていくことが身を立てることになり、懸命に生きることで「鬼」にはなることはない。その部分にとても共感しました。このことは、自分への励ましとも、戒めとも感じられました。
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宮部作品はやっぱり面白いですね。短編集ですが、後半に向かうほどどんどん面白くなっていきました。お気に入りは『安達家の鬼』と『時雨鬼』。次は何を読もうかな?
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単行本は2000年、この文庫は2003年発行。
宮部さんの時代物短編集。
タイトル通り、あやしい話…
「居眠り心中」「安達屋の鬼」など、うまさに舌を巻く。
哀しい過去や残酷な事件もちらつくが、ほわっと救いもあります。
表紙は今市子さん〜たしかに、ふと今さんの世界を思い出すような内容。
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江戸時代を舞台としたホラー短編集。
よかったです。「怪談」というふだんなじみのない分野でしたが、ひきこまれました。さすが宮部さん。
ホラーとしてこわいというよりもしみじみと「死」というものについて考えさせられる感じ。
一番じんときたのは「女の首」。お江戸を流れる人情をほっこりと感じさせてくれます。
全体として商家で一生懸命「奉公」する人々を描いていて、好感をもてました。宮部ワールドはよいなー。
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表紙に偽りなし。
タイトルに偽りなし。
色々語っても落ちてしまうだけなので、まずは一編だけでも読んでみれば、後はもうとんとんと、ね。
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江戸の町、そして何らかの商売をする店の女中や奉公人を中心に据えて語られるホラー短編集である。
「生霊」や「亡霊」、「鬼」が、存在するものという前提を登場人物たちが自然に受け入れている様は、いかにも江戸時代の混沌とした怪異文化をそこに見ることができる。
その怪異は時には、それを見る者の心に巣くっている。そのような鬼を飼うに至った者の心の動きなどが描かれ、説明づけられて行く。読んでいる方も、それによって怪異をありえそうなものとして受け入れていく。怪異と人の心は同じものなのかもしれない。
江戸の下町の雰囲気がよく描かれ、非常に入っていきやすい。しかし、まったく説明のつかない「謎」が「謎」のまま残ってしまっているお話がいくつかあり、実際にこの時代にはそんなものだ、と言ってしまえば終わりだが、何らかの「解答」がほしいと思ってしまう私には多少消化不良気味。ホラーなのでそこらへんは妥協すべきなのか。
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江戸時代を背景としたホラー短編集。
とっつきにくさもなく、読みやすい。
祟りというものは、本当に存在するものなのだろうか。
内容の怖さよりも、「死」そのものについて、
恐怖を煽られたような気がする。
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9編からなる短編小説。通勤帰りの電車の中で読むのに向いていると思う。
適度に短く、起承転結がしっかりしていて全編通して、なんとなく不気味な雰囲気がそこはかなく漂う。。そんな作品。
意識しない悪意…そんなどろどろしたものにスポットを当て、
本当に怖いものとは何なのだ?と考えさせる作品。
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俗に言う『人情ホラー』な今作。表紙絵が素敵(笑)
1話が約40ページの短編集なので、一寸時間が空いたときなどに最適である。
中でも『安達家の鬼』が秀作。特に情景描写が素晴らしい。夕焼けのシーンが非情に印象的であった。思わずホロリとさせられる。
『女の首』では宮部みゆきらしい中性的少年・太郎が登場する。正直他の作品の「少年」は好感が持てなかったのだが、今回はその人物描写が功を奏しているように思った。
そして。思わずクスリとする結びの文が秀逸だった。
多くの作品が詰め込まれた本作。平均して4点ではあるが、中には文句無しの満点な作品もある。
背筋は寒く、心は温かく・・・
そんな冬の怪談もまた、一興かと。
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怪談ものなんだけど、あったかいかんじがする。
やるせないとか、救いのない結末ではなくてほんのり哀しさが残る感じ。ホラーというより人情の方が上回っているせいかあまり怖いとは感じませんでした。
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【再読】
女の首が印象的。しゃべらない男の子とかぼちゃの話。
灰神楽に日暮らしの政五郎が出てた。
全ての話が不思議ですねぇ・・って感じで終わってて、考えさせられるラスト。
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「時雨鬼」は『終日犯罪』という文庫で読んでいた。「女の首」は読んだ後、心が温かくなる話。怖いだけではない宮部さんのホラー話。
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すでに単行本を図書館で借りて読んでいたのだけれど、うっかり忘れて購入。でも、買ってよかった。持ってて損は無い本でした。恐ろしかったのは「布団部屋」で、怖いけれど、しみじみしたのは「安達家の鬼」。怖がらせるだけで、心に残るものがない本が多い中、怖いけれど、どこか心あたたまるお話が多かったように思います。
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交流あるブロガーさんが記事で「宮部みゆき」の時代モノはとってもイイ。というので借りてみました。
(記事で紹介している本は予約待ち。人気あるんですねェ)
短編集。鬼やらあやかしやら・・・夜中、娘が寝てから読みふけってから寝たら、不思議な夢を観て困りました(苦笑。
ホラー・・・怖いというより、哀しい。
とってもイイ短編集でした。
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自分は気づかなかったけど、題名どおり、あやかし、を扱った短編集。あやかしが前面に出てくるようなものもあるけど、じんわり出てくるような感じで、珍しい書き方をしていると思う。個人的には、ダイレクトな形で書いてくれているほうが好きなので、この形式はいまいちかな、と思いました。ダイレクトな書き方ではないので、ホラー文庫?、という印象が残ります。