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山本周五郎探偵小説全集 3 怪奇探偵小説 みんなのレビュー

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紙の本

第二巻『シャーロック・ホームズ異聞』よりも探偵小説としては骨格がしっかりしているのではないでしょうか。そのせいか戦争色が薄いのもうれしいです。

2008/03/27 21:05

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

毎月楽しみにしている山本周五郎探偵小説全集ですが、今回は怪奇探偵小説集。それにちなんだタイトルの下のトカゲがなんとも洒落ています。そんな装幀は小川惟久。タイトルが完全に怪奇していて、先日もNHKで選ばれた作品が再放送された「怪奇大作戦」を髣髴とさせてワクワクします。

読後の印象ですが、冒頭の「南方十字星」だけが、怪奇色皆無愛国色どっぷりの冒険小説というか滑稽小説というかなのを除けば、残りはまさに怪奇探偵小説、そのレトロな感覚と雰囲気がたまりません。発表は1938年前後ですが、基本的に戦争の足音があまり感じられなくて好ましいです。

むしろ第二巻『シャーロック・ホームズ異聞』よりも探偵小説としては骨格がしっかりしているのではないでしょうか。無論、それには愛国が前面にでてこない、という健全さが大きく影響しています。空虚な忠君愛国ほど人間を愚かにするものはないので、理知を旨とするミステリと相容れるはずもない。

早速、全九篇について簡単な内容紹介と初出です。

・南方十字星 (「少年少女譚海」1935年1月~12月):17歳の大河内士郎が、時代錯誤の愚か者としかいいようのない伯父で日露開戦の英雄といわれる忠地伯爵と宝探しをする、それに同じ宝を狙う某国の人間や秘密兵器、怪獣が絡んで・・・

・甦える死骸 (「新少年」1937年8月):死者を蘇らせる、そんな現場に立ち会うことになった新科学画報社の記者・兼松春夫。甦った犯罪者に、研究者が次々に倒されて・・・

・化け広告人形 (「新少年」1937年12月):東京堂百貨店に展示された、人間のように喋り表情をする人形が夜歩く、そんな噂に夜勤者もその階の巡回を渋って・・・

・美人像真ッ二つ (「少年少女譚海」1938年1月):雑誌「新東美術」の記者・佐治五郎が企画した新古典派の彫刻の展示会。なぜか若手の彫刻家の作品が会期前にすべて売れてしまい・・・

・骨牌会の惨劇 (「少年少女譚海」1938年2月):資産家の二世・安敦は女性と見れば結婚を申し込み、断られてばかり。そんな男が馬来に帰国する。お別れパーティに招かれた精一と節子、会場には節子に思いを寄せる謙三まで現れて・・・

・殺人仮装行列 (「少年少女譚海」1938年4月):濃霧でも先が見えるという特殊レンズの研究を進めている世田谷の帝国光学研究所。最近、その秘密情報が外部に漏れだした。犯人を捕まえようと立ち上がった助手の柚木三吉は・・・

・謎の紅独楽 (「少年少女譚海」1938年6月):桂子が見知らぬ男に郭王子に渡してほしいと渡されたものは紅色の独楽。それを見た王子は恐怖の表情を浮かべて・・・

・荒野の怪獣 (「少年少女譚海」1939年1月):山中庄三郎のまえに現れた人夫頭の熊田は、相次ぐ犬殺しの犯人は怪獣だといい、その証拠に巨大な足跡のことをいうが・・・

・新戦場の怪 (「少年少女譚海」1939年10月):中国人の捕虜が地下の牢獄で次々に殺されていく。蛇のような生き物に襲われたという男たちの声に、中村青年は・・・

・恐怖のQ (「少年少女譚海」1939年11月~12月):霊魂をの実験に立ち会ってほしい、と恩師に声をかけられた籾山幹夫と平林宗吉だが、目の前で起きる不思議を奇術と罵った平林に恩師は怒りの目を向けて・・・

「南方十字星」を除けば、今でも楽しめる話ばかりです。驚いたのは「新戦場の怪」です。これは乱歩の「芋虫」ではないか、そう思いたくなります。山田風太郎が書いたといっても肯いてしまう。もしこれが日本人だったら、きっと発禁処分だったか、伏字だらけでの発表となったのではないでしょうか。

個人的には「化け広告人形」「殺人仮装行列」「謎の紅独楽」が好きです。意外な展開を楽しめます。ま「化け広告人形」のラストには感心しませんし、これが末國善己のいうような「後年の人情小説に繋がる」とはとても思えません。犯罪者は同じ過ちを死ぬまで繰り返す、それが現在の日本の事件を見ればはっきりと証明されているわけですから。

そういう意味で、自分を侮辱された男の怒りを描く「恐怖のQ」ですが、これも真実だなあと思います。現在の起きている事件がらみで、いかに侮辱に過剰反応した結果のものが多いことか。プライド、っていうのは諸刃の剣ではあります。

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2011/09/22 21:43

投稿元:ブクログ

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