紙の本
数学的歴史書
2008/02/28 03:53
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
21世紀初頭、100年間解けなかった数学上の難問「ポアンカレ予想」が証明された。証明した人物は、ロシア人数学者のベリルマンであった。当然のようにフィールズ賞が彼に贈られる事になる。しかし、彼は受賞を固辞し、そのまま身を隠してしまった。本書は、世の数学者がポアンカレ予想に挑み、敗れ去った数学的歴史物語であった。ベリルマンに至るまで、この難問に取り組んで来た数々の数学者の知の歴史の厚い事を本書で初めて知ったし、トポロジーという数学的思想が世に出た意義等、非常に専門的な事柄を、分かったような気持ちにさせてくれる意味で面白かったと思う。ただ、ベルリマンがポアンカレ予想を証明した、その内容の説明等、私が一番知りたかった事に言及されていなかった事が少し残念であった。
本書は、数学的歴史書としては、面白い書であった。
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2010年3月、クレイ数学協会からペレリマン博士に100万ドルの賞金が出るとか。ペレリマン博士は2002~03年に証明し、06年「フィールズ賞」を辞退している。
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評価4.5
数学のノンフィクションはなぜかくも面白いのだろうか?
天才達の話は本当に引き込まれる。こんな才能と人生を送ることを夢見ていた時代もあったな〜〜
今は普通のサラリーマンil||li _| ̄|○ il||li
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すっきりまとまった構成、歴史的エピソードの豊富さ、妥当な例を頻繁に挙げながら一般読者の理解を越えないように噛み砕いた解説など、数学ノンフィクションとしてはほぼ完璧な本と思う。
しかし、リーマンやフェルマーに比べると証明の過程や、証明の持つ重大性が地味に感じられてしまうのは、たぶん自分がトポロジーを理解していないからなのだろう。それでもこの領域の面白さ、知的刺激の大きさは大いに感じられたので、引き続きコレ系の本も読んでいきたい。
しかしどんなにたくさん読んだとしても、「正十二面体の向い合った六組の面同士すべて(!!)を、72度ずつねじって結合させた『ポアンカレのホモロジー球面』」は死ぬまで想像すらできない自信がある。
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ドーナッツ型と呼ばれているものを、本書では、ベーグルとして紹介している。
タイやのチューブのような形である。
それに対して、プレッツェルは、ドーナッツを3つ横につないだような形である。
これらを、トポロジーという学問で取り扱っていることの紹介から話しが始まる。
ポアンカレ予想は、
予想そのものの内容、
予想の証明、
証明した人の謎。
の3つの謎を含む。
arXivに投稿された論文に対して、
モーガンとティエンが「リッチフローとポアンカレ予想」とうい本を、 クライナーとロットが、「ベレルマンの論文の注釈」という本を出すという。
ツァオとチュウの論文が巻き起こした紛争についても記載している。
ベレルマンの証明の確認を、ハミルトンが宣言した。
ベレルマンがなぜ、数学界から隠遁しようとしたかが推測できる。
壮大な話に、どんどんひきこまれてしまう。
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ペレルマンによってポアンカレ予想が証明されるまでを描いた本。ドナル・オシアの本よりは分かりやすいが、こちらも歴史的な流れの記載がメインで、トポロジーについてはさわりのみ。ポアンカレ予想についても「ある多様体のすべてのループが一点に収縮されるなら、その多様体は球面である」と一般的な記述になっている。・「予想」については証明したと思ったら間違いを指摘されることの繰り返しが100年も続いたが、高次元での証明は比較的簡単で、五次元以上の証明が先にされた。これはコインを裏返すには二次元の中では絶対に無理だが、三次元空間内では簡単にできるように、高い次元の方が自由度が大きいことによる。・三次元多様体の基本となる幾何構造は8種類しかない。というサーストンの幾何化予想が立てられ、この証明がポアンカレ予想の証明になることが示された、など「予想」をめぐる流れについても整理されているように思った。
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NHKで以前放送したペレルマンの話かなと思っていたら、数学の歴史の話であった。ポアンカレ予想の内容もペレルマンの証明もほとんどなくがっかりした。最後に何処でもやってくれる中国人による盗用事件だけが面白かった。
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ポアンカレ予想が解かれてゆく過程が大河ドラマのように描かれている。一見簡単に見える問題が、何十人もの超優秀な数学者たちによって考え抜かれ、脈々と受け継がれていく様がとても興味深かった。
数式が書かれていないと分かった気がしないが、照明の全容はつかめたような気がする。
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ポアンカレ予想についての本。ただ、僕も読むまではそもそもそれがなんなのかがわかっていなかったので、最初は少し大変でした。(図形を点になるまで縮小させるという言葉の意味がわからなかった。)
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[関連リンク]
ポアンカレ予想 - 池田信夫 blog(旧館): http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/a9e6fe1dda628eae01fb5080f284f228
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基本的にはポアンカレ予想関連の歴史の話。思っていたのとは違った。ドロドロとした人間ドラマが読みたくてこの本を手に取る人は、ほとんどいないだろうと思うけれど……。どのように失敗して、どのような壁があったかの流れを概略だけでもわかったのが良かった。
ポアンカレ予想の内容については、初学者向け過ぎる部分と、専門的すぎる部分が入り交じっているように感じる。そのため、退屈だったり難しすぎたり。ほんとに概略だけ読んで、気になった部分は後から調べるつもりで読んでた。穴が空いた物体をドーナツでなくベーグルって言ってるのが新鮮で好き。
読んでも数学者の印象があまり掴めない……。自分の周りにいる教員は運営業務や授業に追われているように見えるし、研究って言っても古い論文読んだり、思考実験しているイメージばかり。コンピュータ等を用いた数値計算以外に、何にお金を使っているのか本当によくわからないイメージ……。本読んでも変わらなかった……。