紙の本
美しい文章
2022/03/07 10:01
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投稿者:さるけろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
やはり美しい文章に安心する。状況や心情が
丁寧に描かれ、伝わってくる。現代のも通じる心構えのようなものを感じとることができた。
紙の本
文豪の娘なのに悲惨な生活
2019/01/27 21:16
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家・幸田文はもちろん明治の文豪、幸田露伴の娘である。彼女が描写する父は、広津和郎がその父柳浪に向けていたと同く畏敬がある。しかし文と和郎という二世作家の置かれている環境は大きく違っている。幸田露伴が戦後亡くなるまでずっと、文豪として文壇に君臨していたにもかかわらず、柳浪はとうの昔に過去の人になってしまっていた。さて、この短編集であるが、いかにも向田邦子氏の「父の詫び状」のごとく上質のエッセイのものかと思っていると、豈図らんや、文は強姦されそうになっているのに目の前の主人は止めようともせず「よせよ、おい、よせよ」とブツブツいうだけだったり「姦声」、飲みすぎるとくたばるメチルを父や来客に飲ましてしまったり「段」と、とにかく強烈でおもしろい
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最後の解説を見て、自分もエッセイ/私小説のつもりで
読んでいたので、自作自演の虚構だったと知って愕然とした。
縞の着物、こま結びの腰紐、雛人形、喪服、闇市。
父露伴の口を借りて語られる、言葉の秀逸さ。
「人には与えられる複文というものがあるが、私にはこれには限りがあるとおもう。」
「驕りとはものの多寡ではなく使い方だ。」
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幸田文さんの文体が大好きです。お酒に対する姿勢に時代背景が見えます。戦後の日本酒が出てきます。料理する心についても呼んで欲しいな。
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美しい日本語が読みたくて買いました。
幸田文のことは「露伴の娘」で「随筆家」「着物の人」
くらいのイメージしかなくて・・・
でも、この本読んでひっくり返った!
なんて雄々しい小説を書く人だろう。
その雄々しさは明治女の雄々しさです。
キリキリと働く。いちぶの隙もないくらい完璧を目指す。
最高の仕事(家庭のこと)をして、
手柄はそっと一人あるいは女同士で噛みしめる。
そんな生き様の、なんて美しいことか。
「私」の一人称で大作家の「父」のことを書いたりするから、
私小説かと思うけど、どうやらフィクションらしい。
そのへんの曖昧さも、幸田文の力量ってことなんでしょう。
「姦声」と「段」はフィクションってわかっていても、
本当にゾッとします。恐ろしいほど巧みな筆致です。
巻末の出久根さんの解説も見事なので、
ぜひ併せて読んでください。
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幸田文自身が主人公の小説なので、ひょっと読んでいると、エッセイと間違いそうになります。
私が初めて幸田文の文章を読んだ『段』が入っています。戦後の混乱期に闇市で海老を買う話です。客をもてなすため、少しでもいい材料が欲しい私と闇市場商人とのかけひきを描きます。
ネタバレはこちら→ http://d.hatena.ne.jp/ha3kaijohon/20120224/1330050720
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幸田露伴も読んだことないのに、初めて読みました。読めない漢字を多くて往生しました。面白い表現がたくさんありました。
ただ、庭でかってるレグホンが一年に300個卵を産む、とあったのはちょっとどうかと。現在のゲージで完全管理下での飼育でやっと300個なので、放し飼いで300個は無理だと思います。ま、どうでもいい事ですが。
かなり遅くからの作家デビューなのに、巻末の年表を見ると書きまくってる感じがしました。全集がすごいボリュームであった事も納得しました。
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図書館の本 読了
内容(「BOOK」データベースより)
「葬式の時だけ男と女が出会う、これも日本の女の一時代を語るものと云うのだろうか」―十六歳から中年に到る主人公・千代の半生を、喪服に託し哀感を込めて綴る「黒い裾」。向嶋蝸牛庵と周りに住む人々を、明るく生き生きと弾みのある筆致で描き出し、端然とした人間の営みを伝える「糞土の墻」他、「勲章」「姦声」「雛」など、人生の機微を清新な文体で描く幸田文学の味わい深い佳品八篇を収録した第一創作集。
私小説ではありませんのようにと願ってしまう「姦声」
あんな亭主はいらない。
「雛」ではお雛様の顔と滞りなく行うことを考えさせられた。
この人の描く社会通念がしっくりくるのはなぜか。日本人ってこうだったと思う作品。そう、かたわはかたわとしてそこにいた。