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4編の犯罪小説(あえてミステリとは書かない)からなる短編集。どれも屈折した精神に貫かれた犯罪小説であり、面白い。特に「私」は、ミステリに慣れた者なら見破るのがやさしいトリックではあるが、書かれた時期からして、驚嘆せざるを得ない傑作である。
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おもしろかった・・!
「柳湯の事件」「途上」「私」「白昼鬼語」
全部読み応えがありました
特に「私」と「白昼鬼語」がすき
谷崎潤一郎、もっと読みたい
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谷崎の多面性が分かり、人に薦めたくなること間違いなしの一冊。
カバーが魅力的だったので手に取った。谷崎がこんな本を書いているとは知りませんでした。
江戸川乱歩もこの犯罪小説には耽溺したという。
谷崎がポーの作品に早々目をつけてそれを昇華させたのだそう。
「恐ろしい薬だから綺麗なんだわ。悪魔は神様と同じように美しいッて云うじゃないの」(白昼鬼語)に象徴される、悪魔的美しさをはらむ小説ばかり。精神病を描いている点にも興味深かった。
「柳湯の事件」
妻を多情と疑いサディズム的な行為を繰り返す夫。
夫が柳湯で踏んだものは、生きているはずの妻だった――。
「途上」
ある日突然現れた興信所の男。
話を聞くうちにどうやら調べているのは私と妻との関係。
なぜ何年も前に病死した妻の話を聞くのか。
”殺人”と、”病死”の境い目はどこに?
「私」
寮で頻発する盗難。
わたしは「平田」から執拗な疑いをかけられていた。
だがその男は人間として信頼ができる男であった。
結末をみれば納得(笑)
「白昼鬼語」
久しぶりに連絡がきた「園村」。精神異常かにみえた彼は、
「これから殺人を見に行こう」と誘う。
これがたまらなく刺激的だった。
最後がなあ。どんでん返しを楽しむのもいいが、
私は最後まで変質的な美しさで終わって惜しかった。意表をついていたが。
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良かった。すごく、すごく良かった。谷崎は、学生のころに少将滋幹の母と春琴抄、刺青を読んだくらいだけれど、ほかも読まなければ。
1話目はさすが谷崎、変態だと思ったくらいだったが読むにつれて引き込まれた。これはたしかに推理小説ではない。犯罪小説だ。うん、ほんとに良かった。
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谷崎作品の耽美な恋愛観から入るより、夏休みの読書感想文で何となく手に取り、はまってくれたらなぁって、この夏のイチオシ。サディズムとか、フェチシズムとか。
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仏陀の死せる夜、ディアナの死する時、ネプチューンの北に一片の鱗あり-
オシャレですね。
単純に読んでみたいと思いました。
いちばん気に入ったのはもちろん白昼鬼語です。
どんな結末になるのかなあとわくわくどきどきしながら読みました。
面白かったけれど、なーんだ、というかぎりぎり想像の範疇でそういうことかあとしか思わなかった・・・。
もっと えっ・・そうきたか・・・! みたいな驚きを期待していたのですが。
途上も気に入っています。
偶然と偶然を必然的に重ねて必然にしてしまう。
知能犯ですね。手荒だけど。
りんごあめを持った女の子が虚ろな目でたたずみ「谷崎潤一郎 犯罪小説集」とあればどきっとしますね。
一体この子はどんな深い闇を抱えているのだろう?!みたいな。
りんごあめに隠された口元はどんな災いを湛えているのでしょうね。
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谷崎潤一郎の作品はほとんど初めてだったが予想以上に良かった。個人的には柳湯が不気味で好きだった。解説にもあるように乱歩が大きく影響を受けたのがわかる。
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「読む」という行為に仕掛けられたトリック(!)
欺かれたのは、他ならぬ『僕』である。そうまざまざと実感させられた作品集です。
犯罪というストーリーの構成もさることながら、視覚や触覚、嗅覚にも訴えかける著者の筆力も特筆すべき点です。
あの江戸川乱歩をして、「谷崎氏が探偵小説家にならなくて良かった」と言わしめた質の高さは、誰もが納得することでしょう。
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比較的読みやすくってそこそこ楽しめたと思う。
ほとんどが犯人側からの視点で、
とどのつまり思考回路がちょっと違う人たちの話なので
(「途上」はまだ現代にもありそうな話。言い方がまだるっこしいけど)
絶対理解できないけど、こういう理屈もあるんだなーとか思いつつ読んだ。
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白昼鬼語が一番面白かった。
最後は予期せぬ展開でミステリーとして十分に楽しめるし、谷崎潤一郎らしいマゾヒスティックで倒錯した雰囲気もある短編だった。
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私の生まれる100年前に谷崎潤一郎は生まれている。
そんな時代に書かれたものだとはちょっと思えない。単なる推理小説とは言い難い、犯罪小説集。そこでは、マゾヒズムと精神病と犯罪心理が絡み合う。
潤一郎ってこんな人だったのかー!と。
ある意味すごい変態です。笑
寝苦しい夏の夜に読むにはちょうどいいかもしれません。
文体も難しくなく、昔の言葉遣いが面白すぎです。
(タクシー⇒乗合自動車/ポケット⇒ポッケット等々)
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甘美な悪夢を観ているような、狐に、いや狸親爺に化かされているような『犯罪小説集』
卓越した文章で触覚その他、人間のあらゆる感覚に訴えかけてくる『柳湯の事件』など全四編どれも圧巻。
解説によれば、ある一編のある趣向はミステリ史的にみても世界に先駆けた試みをしているそうで、その事実に驚き。
個人的には『柳湯の事件』と『白昼鬼語(はくちゅうきご)』がお気に入り。悪の魅力に取り憑かれそうである。
坂口安吾をはじめ意外に文豪はミステリがお好きな様で、文豪が書いたミステリは他にもまだまだあるらしい。是非読んでみたい。
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今まで読んでいなかったことが不思議なくらいに、
どの話も、心地よく世界に浸ることができました。
犯罪小説というカテゴリーの枠を軽々飛び越える、
変幻自在なスタイルに弄ばれる快感がありました。
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谷崎潤一郎が江戸川乱歩、夢野久作に影響を与えたときき読んだ。犯罪小説集とあるが、あんまり血みどろ的な犯罪はテーマになっていなく、白昼鬼語はどっちかというと少し喜劇的な印象を受けた。気に行った話は途上と白昼鬼語。途上は理詰めで推理し、犯人を追い詰めていくところで、江戸川乱歩んの心理試験を思い出した。というか乱歩が影響を受けたのかなと思った。
白昼鬼語のラストまでの探偵チックな感じと耽美の組み合わせは最高だった。
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まさに犯罪小説。
「私」での私の内省がただの叙述トリック小説にさせない。執拗な描写で露になる私…そういうところが谷崎潤一郎のうまさかと思った。
「白昼鬼語」で感じるのが、女性美の描写の素晴らしさ。生々しくっていやらしい美人が行う殺人を〈覗き見〉する。覗きの場面ではやたらと胸がどきどきした。