分析はただしいのですが、その後の結論がね、要するに男への媚びなわけ。戦争賛成も、権力へのゴマすり。なんでそうなるかな、そんなに右翼や自民党のおじさんたちに可愛がられたい?
2008/04/14 20:04
10人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学にはなんとか入れたものの、小学校以来彼氏いない暦10年を楽に越える我が家の長女のために用意した本です。勿論、私が読み終わってすぐに彼女に廻しましたが「かーさん、あれ、面白い」というのが第一声。そうか、このレベルのお話がアンタには面白いのか、とは思いましたが、世の中の新しい見方を知ったことは彼女にとってマイナスであるはずもありません。
ただし、私は言いたい!要するに、赤坂の考え方は徹底的に保守。世の中がどちらに動いて行くかには殆ど関心が無くて、ただそのなかで自分の最も有利な立ち位置を求める、それだけじゃないか、って思います。ただし、そうであるだけに現状分析は正しい。私と全く異なるのは、それを元にしたベクトルの向きなんです。
実は、この本、タイトルこそ面白いものの、最初は途惑います。赤坂の戦争に対する考え方から始まるからで、それが結論付けられないままに、唐突に現代における女性論(ま、女性論というよりは女の価値論、みたいなものですが)に入って行きます。この戦争に対する前振りは、最後に「終章 戦争とアメリカと私」で一応、まとまりはするんですが、正直、水と油を飲まされたような違和感がぬぐえません。
私はこう見えても政治や世界のことを考えているのよ、といったポーズではないのか、なんて思ったりします。だって本文と全く関係ないもの。それに、本文では冷静だった男と女にたいする見方が、この戦争の扱い方をめぐる話になると、殆ど体制側、というか旧権力というか、現在も日本を支配する男性至上主義、暴力肯定、権力主義に媚びてしまい、未来への展望を見失うからです。
ま、こう書いてばかりいると何を言っているのか分からないでしょうから、その部分を引用します。
「社会が戦争を「考えてもいけない」禁止原理主義をとれば、男の価値は下落していく。古今東西、男の価値を究極的に担保してきたのは戦争だったからだ。いい悪いではない。そういうものだ。男の共同体における価値はそこから発生したものである。」
「損得でいったら、トータルには地球規模の浪費だけれど、いつだって誰かが得をするから戦争がある。だから、その根拠を戦争反対に使うのはむずかしい。環境破壊だって同じことだ。自分が得をする立場だったらどうなのか?現に、戦後のどん底から、隣国の戦争がもたらした特別需要で復興のきっかけをつかんだ日本人が、本当は「戦争は絶対悪」であるなんて言えるはずがない。極端に言えば、格差を生み出すために戦争はある。格差でもうける人のために戦争はある。」
「戦争は絶対悪であるという無意識まで浸透した考え方は、妙な禁忌にまで発展して人を抑えつける。もともと戦争には「閉塞の打破」という側面があって、日本が太平洋戦争に向ったのも、それが大衆に支持されたのも、それを感じさせたからだ。
そこを封じると、人間は、安全だけど危険な状態になっていく。」
「語られるべきは、何が起きたかではなく、本質はなんだったかという問題だと思う。でなければ本質的に同じことは繰り返される。「戦争」をやらないだけで、そのかわり他のすべてに戦争が漏れ出す。軍隊式教育を血肉にしみこませながら、私たちはもう一つの極に愛した。」
他にもありますが、このヘンでやめておきます。経済、スポーツなど勝つ為に最も効果的なのは一点集中主義とは真理です。何も赤坂が指摘するまでもありません。それは受験戦争、就職戦線、企業戦士のどれにも当てはまる、これまた御尤も。その組織のモデルは結局、軍隊である、という指摘も正しい。繰り返しますが、ごく当たり前の認識です。
軍隊を否定しておきながら、それと同じ組織を利用して勝ち残りを達成してきたという現代日本の矛盾を指摘し、故に軍隊を否定するのはおかしいと赤坂は言います。軍隊と同じ組織を様々な面で利用しながら、何が軍隊反対だ、というのが彼女の意見です。それなら野球を見るな、警察官に頼るな、儲けるのやめろ、と言いたいらしい。
でも、私は軍隊を否定するし、勿論高校野球も大嫌いだし、警察糞食らえだし、企業はそこそこの利益で我慢すべきで一人勝ちしなくてもいい、と思う。そういう人は自民党が嫌いだし、皇室にだって疑問を抱いているし、アホなアメリカ人が嫌でたまらないはず。要は数の問題なんでしょうが、私たちってけっこう矛盾した行動してないんです。
裏返せば赤坂は戦争賛成、軍隊賛成、野球大好き、横綱審議会の言うことは正しくて、公安警察はあるべきだし、経済は他国のそれを潰してでも日本は一人勝ちをすべし、と思っているわけです。それは本文を読んでもビンビン伝わって来ます。オヤジギャルじゃなくてオバン?まいいですけどね、娘だけにはこの手の権力に媚びる大人になって欲しいとは思いません。
途中から内容が本論から離れて行き、読者を不安にする本。
2012/01/29 16:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:S-1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
英字名称でちょっと大判で表紙にモデルさんが写っている「女性誌」って年代とか職業とか様々な個別のターゲットがあることがわかりましたが、中身って「夢」とか「妄想」に近いのですね。だとすると男性にとってのエロ本と同じではないでしょうか。そういった話だったのが、最終章で突然著者が「自分史」を「日本人の戦後精神史」に重ねて語り始めたので、「どうしたのか??」と思いました。目次を見ると乱丁でもないし。どこかに書きたかったのかなあ。それまでのタイトルに沿った内容との乖離が激しく、何が起こったのか、理解できませんでした。
投稿元:
レビューを見る
〜抜粋
女が最も達成感を感じるとき
「女の喜び・・・、グループの中で自分が一番多くの異性目を集めながら、最高の(自分の意中の)一人から(ステディあるいは結婚の)プロポーズをもらえること、自分は餌を撒き(体のラインを強調してみせたり胸の谷間をほのめかしたりする、など)、獲物を待つ。そして目当ての獲物が引っかかったとき、そして言わせたいひと言を「相手の意思で」言わせた時の喜び・・・。これが女性がもっとも達成感を感じるゲームのストーリー、女の全能感のシナリオである。ああ、受け身の攻撃性。」
投稿元:
レビューを見る
常々、女性誌の「コーディネート1週間劇場」に添えられた小芝居とコメントに違和感を感じていたのですが、ベースには韓流ドラマとシンデレラストーリーがあったのですね。私は、キャラ設定に限りなく近い経歴の方々をよーくよーく存じ上げていますが、はっきり言います。「そんなやつぁ、いねーよ!!」もしかして編集者のコンプレックスの裏返しなのでは???
2008.02.05-10
投稿元:
レビューを見る
一般的に男性が弱くなった理由や女性誌への考察は興味深かった。ちょっと1ヶ月着回しにこだわりすぎるような気がするが。
それにしてもちょっとまとまりがないんじゃないだろうか。いきなりアメリカと戦争をもちださないでくれ。それは別の機会でもいいじゃないか。
投稿元:
レビューを見る
爆笑、そして痛快。
社会を観る筆者の観点が、痒いところに手が届く感じ。
なんだか自分まで頭がよくなった気がするのは、豪儀な論のためでしょう。
宇宙のような、女の子の頭の中。
女はわからん、という男の子が一度読んでみるといいんじゃないかしら。
一番響いたセリフは、男が戦争に行くときの覚悟の話。
「“父親が戦争に行くと、男は、よし次は自分の番だ、と思うのさ”
これを聞いて男とは何て愛しい存在なのかと思った。」
みたいなくだり。
投稿元:
レビューを見る
この手の本はいろいろ出ているが、もっとも冷静で鋭い気がする。巷に溢れる女性誌論の部分はいたく共感・・・。私もあの手のもの、すべて疲れる今日この頃。
投稿元:
レビューを見る
女性誌へのウォッチャー的視点に超共感。
最近の女子の「モテ」への執着心は、スゴイよね。嫌いじゃないけど。
そういう女子とオタクが、実は物凄く似ているのかもしれない、という部分も共感。
ところどころ、著者の思いのたけが熱すぎて?、ついていけない部分もあったけど…
買って良かった新書。
投稿元:
レビューを見る
女性は他者からの価値観で自分の価値観を確立する、そのために恋愛が用いられており、モテたい女の子は本当の意味での恋愛ではなく、自己価値観を高めるために恋愛を――。
――的な趣旨の本になる予定だったのでしょうか。序盤は確かにそんな雰囲気なのですが、後半に従って焦点が拡散して何が言いたいのかわかんなくなりました。主張が弱い、根拠が弱い、考察が甘い。言いたいことをフィーリングだけで書いても説得力はありません。まるで私の書いた卒業論文です(ぇ
致命的に甘いのが根拠となるデータ。先に読んだ「論理的な話し方が身につく本」の論に従うなら、まず提示するデータが片手落ちに等しい。女の子の動向を見たいなら女の子そのものにも当たるべきで、雑誌の傾向だけで女性達の思考を追えるはずがない――少なくとも、私を納得させるデータにはなっていません。雑誌の傾向が恋愛重視だから、今時の女性達が恋愛偏重だというのは短絡。その雑誌を購入する女性達、雑誌の勧めるファッションを好んで身につける女性達のナマの声くらい欲しかった。その子達が本心から雑誌に掲載されている「恋愛ストーリー」を信じている、と証明しきってはじめて、「雑誌に書かれる恋愛ストーリー」=「今の子の本気で信じる恋愛像」が証明できるのではないでしょうか。
オタク−腐女子をもうちょっと考察して、かつ、モテたい女性達を考察して、そこからはじめて論を組み立てることができるのではないかと思います。生きたサンプルが次々と飛び込んでくる環境ではないのだから、本を書くための情報収集くらいはしなければ。
結論。本の視点、本の主張は理解できたけど、納得、共感には至らないかなぁ……。
身近に、そーゆー「モテたい女性」がいないせいもあるのでしょうが、いまいちピンとこなかったのです。
投稿元:
レビューを見る
赤坂真理さんの名を聞いて3冊ほど注文してみた本のうちの1冊です。女性から見た「モテ」の位置づけ、重要性、などが分析されます。男性にはない視点の本でしたので非常に参考になりました。
投稿元:
レビューを見る
女が最も達成感を感じるとき
女の歓び……。グループの中で自分がいちばん多くの異性の目を集めながら、最高の(自分の意中の)一人から(ステディあるいは結婚の)プロポーズをもらえること。自分は餌をまき(体のラインを強調してみせたり胸の谷間をほのめかしたりする、など)、獲物を待つ。そして目当ての獲物がかかったとき。そして言わせたいひと言を、「相手の意思で」言わせたときの歓び……。これが女性が最も達成感を感じるゲームのヒストリー、女の全能感のシナリオである。ああ、受け身の攻撃性。
だそうです。本文より抜粋しました。
本の内容は上で挙げたように、女の昔から今についての変遷、男の保守(しかし時代が変わっている)についてなど。
でも論点飛びすぎ。徒然なるままに書いている印象。最終的には著者の生い立ちになってしまっている。
それでも前半部はちゃんとタイトル通りのことを書いていて、皮肉たっぷり、痛快に最近の女性の行動や考えを斬りまくる。
素直に読んでいて楽しい本でした。
投稿元:
レビューを見る
男も女も、読むべき。という書評で読んだが、
まさにその通り。男も女も、読むべきだ。
実に鋭い。
その鋭さは、世界を見事に、
特に女と男の世界を包んでいる
虚大な皮をすっぱり斬り捨てて、核をあらわにする。
それだけに、痛みを感じる。
虫歯菌が強固なエナメル質を溶かして、
神経に達したように。
世界は実に、痛い。人間って、痛い。
目から鱗というより、
うすうすわかってた事(けれど誰も言わない事)を
さっぱりと解説してくれている。
ちなみにこの本は、「モテる技術」とか
そういうハウツーセラピー本ではない。
「モテたい」と思う人間の、特に女性の
心理、生理、そして抗えない絶対の不幸を
観察したものだ。
少しばかり、文脈がアヤフヤになるところもあるが、
その荒さやライヴ感も「著者の個性」という言葉で
何となく誤魔化しが効きそうなところが、
男性のわたしからすると、「女性的」な著作だと思ってしまう。
投稿元:
レビューを見る
「モテなきゃ意味ないんだよ!」
自己満足より、見られることを意識する。
…というのがLEONの新鮮さだったらしい。
だんだん「普通の男」(そもそも「普通の男」って何?)が生きづらくなっているんだなあー
投稿元:
レビューを見る
著者が前に日経PLUS1で連載していた「うらやましい悩み」というコーナーが好きだった頃、この本を見つけたので購入。文体が好きです。
女性ファッション誌の熱烈な読者「でない」人、
(それらの中吊り広告を見てなんかちょっと笑える人とか)には面白いかも。
男女問わず。
投稿元:
レビューを見る
総じておもしろいけど、最終章だけ別のテーマのよう?つながっているのかもしれないけど私にはわからない。残念。