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軽いのりで読める。話の展開がスピーディで飽きさせない。仕事も考え方もまじめで家族おもいでもある主人公の人生が、読み進めていくうち、どんどん暗転していく流れは、著者独特のストーリー構成か。
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マイホームと地域コミュニティを重視してきた会社員の男が、結局は娘からも妻からも、取り残されていってしまう・・という、日本の平均的なサラリーマンが陥りそうな在り得る話。
地域にこだわる故に、会社のコースからはずれ、格差社会の最貧層ともいえる扱いを受けることになる。
日本の現状、会社社会、地域の問題を鋭く描く社会派小説。
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この人の作品も見つけるたびにゲットしております。
今回の『砂漠の船』は家族小説です。
マイホームを大事にするダンナと、ダンナの世話を黙々とするけど、でも実際は仕事をやりたい奥さんと、自分の才能を発揮出来ないで悶々としている娘。
悶々とする娘がいろいろな事件を起こすけれど、主人公のお父さんは全く娘を分からず、自分のイメージする型に押し込めようとするけど、娘はそこからはみ出していく。
でも、基本的に非常に良い娘だとは思うんだけど…。
でも、自分の形を後生大事にしていて、家族からも会社からもコミュニティーからも見捨てられてしまう主人公が、かなり可哀相かなぁ、と思いました。
娘も自分の才能を武器に社会に戦いに出るし、お母さんも自分なりに世界を作っていく。
でも、お父さんは、自分の両親の秘話を知って茫然とするところで物語はお終い。
お父さんが勘違いしたり右往左往するところまでは良いんだけど、最後の最後にお父さんに救いが欲しかったです。
ヒントとなっていたのは、お父さんの職場の同僚のプロの整備士が、本当のやりがいを求めてタイに移住する、ってところなんだけど…。
プロではない人間は果たして何が出来るんだろうか?
そこまでは作者も回答が出せなかったのかな?と思ってしまいました。
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2011-65 男はこれでもかというぐらい情けない。甘えている。男であることに甘えているし言い訳にしている。自分では気付かないぐらい根深いジェンダー差別主義者。卑怯でずるい。器が小さい。小市民的小役人的平和を守るため家族を犠牲にしている。勇気がなく生活力がない。対して女性は皆逞しい。この本を読むと世の妻達は自分の夫をイメージするだろうし、私たちは身につまされる。
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主人公の男に苛立ちすら覚える。奥さんの仕事のチャンスを、家庭優先と言う名目で諦めさせ、向上心の強い娘には「人生は学歴ではない。人との触れ合いを大事にした、福祉関係のは仕事に就くのが理想」との勝手な理想を押し付け、青春時代を暗いものとした。
目の前の家族の求めるものを理解しようともせず、本人は家族優先主義のつもりでいる。ラストは当然の帰結かも。
本人も、最後に過ちに気付いても、それを家族に伝える言葉も持たないのまま終わる。
こういう人と結婚してなくて、本当に良かった‼
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5月21日 読み始め。
主人公は幹郎、これが幹部に見えて読みづらい。
5月25日 読了。
娘の茜が微妙に絡むホームレスの事故死。幹郎は運送会社に勤めるが、会社は赤字部門を独立させ幹郎はそちらに配属、その後再度別会社にいわば左遷。
その間、茜は著作権法違反で書類送検。が、それがきっかけで大手ゲームメーカーの眼に留まり就職する事になる。
妻の由美子は子育て中やむを得ずやりたかった仕事を断るが、茜の独り立ち後自分の仕事を見つける。
これらが主人公幹郎の両親の過去、故郷の習慣などと絡まりながら物語りはすすむ。
ミステリーではなさそうだったので、結末なしの尻切れトンボは嫌だと思っていたがきちんと纏めてくれた。
この物語のような夫婦が今後増えるのではないかと思う。
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こんな母親やだなあ。娘が自分の世界を広げていくのが淋しい、私はこのままなのに。なんて、そんなの知らんがな。。。父の伝わらない思いも、何もがちぐはぐで悲しい。
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ニュータウンの密な人間関係は読んでいて嫌気がさしてきた。主人公の考え方もとても閉鎖的で聞く耳持たないのが本当に鬱陶しかった。といって妻や娘にも共感できず。
ただ、一昔前には出稼ぎがあって、縛られた田舎での生活、嫁姑と様々な問題があり個々の立場によって随分と考え方がちがってくるものだと。最後で様々な意見を聞く機会があってそのことを微妙に認めているけれど複雑な立場の主人公。
暗い社会小説なはずなのに
結構なスキャンダラスな事件を織り交ぜる辺りが飽きなく最後まで読むことができた要因かな。
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母親は出稼ぎから帰ってきて自殺した…
出稼ぎ、差別、リストラ、不倫、離婚、
反抗的な娘…
とにかく、ずっと重く暗い感じ…
幹郎さん、真面目で家族を大切に思ってるのは分かるけど、融通のきかない面白みのない人。
由美子さんの「家族とか居場所とか、何かを守るための人生は終わったのよ。別にあなたとの結婚は間違ったとは思ってないけど、もう、一緒にいる必要はないの…」
って言っちゃう気持ちわかるわー
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誰に自分を重ねあわせるか。
この物語は、それによって感じ方は大きく変わるのかもしれない。
幹郎は正しいことを言っているように見える。
たぶん幹郎自身も、「俺は正しいことを言っている」と思っているのだろう。
だけど・・・もしも自分が幹郎の娘だったら・・・と思うと勘弁してもらいたい。
幹郎の見ている世界はとても狭い。
自分の考えが及ばないことはすべて拒絶し切り捨てる。
何故もっと娘に関心を払わないのだろう?
もちろん茜の方にも問題がないとは言わない。
他を見下し、親を否定し、自分だけが正しいと信じているところは幹郎によく似ている。
けれど、それが自分を守るためにしている必死の行動だったとしたら?
著作権違反で捕まったとき、どうしてもっと話し合わなかったのだろう。
頭から叱るのではなく、何故著作権を侵してはいけないのか。
ひとつのキャラクターを作るためにどれほどの時間と労力がいるのか、その権利を守るために著作権があるのだと、きちんと話せばよかったのに・・・と思う。
キャラクターを作り上げ、ストーリーを考える大変さを知っている茜なら、話しようによってはもっと違った会話が出来たかもしれないのに。
幹郎にとって必要だったのは、家庭という名前の空間でしかない。
妻としての由美子が必要だったわけでもなく、娘としての茜でもない。
ただ、幹郎が平和に暮らすための登場人物として由美子や茜が必要だった・・・そんなふうにさえ見えてしまう。
家族って何だろうと思う。
母とは共通の話題があったせいか、会話がまったくない時代なんてなかった。
弟ともそれなりに同じ話題で盛り上がれたし、父親は少し面倒なところもあったけれど毛嫌いするほどではなかった。
当たり前のように話し、当たり前のように喧嘩をし、当たり前のように仲直りをする。
幹郎がどうしても理解できなかった。
というよりも、幹郎のような人が父親だったら息が詰まっていたと思う。
日本社会の歪みというよりも、幹郎という個人の歪みが家庭崩壊につながったのでは?
働く父親に対して、わたしの考え方はあまりにも冷たいだろうか。
仕事に対しても熱意が感じられず、言い訳をしながら流されているようにしか見えない。
一念発起して資格を取ろうとか、積極的に何かに向かっていく気力がないとしか感じない。
最後の最後に、「やり直すチャンス」という言葉が出てきて少しだけホッとした。
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同じような世代が集まる団地。建物の老朽化とともにそこに住む人々も老いていく。同じ場所にいるのもいいのだろうが、変化を受け入れ自らも変化していくことも必要では。