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シネマ・ハント ハリウッドがつまらなくなった101の理由 みんなのレビュー
- 柳下 毅一郎 (著)
- 税込価格:1,760円(16pt)
- 出版社:エスクァイアマガジンジャパン
- 発行年月:2007.12
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紙の本
ほんとうに面白い映画とは
2008/01/27 21:23
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:KOMSA - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハリウッドがつまらなくなった、
101の理由とは何か。
柳下毅一郎の「シネマ・ハント」は、
『エスクァイア日本版』に最長連載を誇る、
映画批評を単行本化したものである。
10年以上にわたる連載の中で、
批評は映画界の定点観測となる。
そして、映画監督の盛衰もさることながら、
映画の作り方がどう変わってきたかの記録でもある。
コンピュータ・グラフィックスがいかにアメリカ映画を浸食したか、
9.11テロがニューヨークの映画人の想像にどこまで影響を与えたか。
巻末に掲載されている筆者と樋口泰人の対談は興味深い。
サム・ライミは個人的妄失を超大作に落とし込み、
スピルバーグはCG時代のスペクタクルをいちばん考えている。
柳下毅一郎の批評が感動的なのは、
映画における監督以外の意志を積極的に取り上げ、
映画が生まれる下部構造に目を向けているからだ。
本当に映画はつまらなくなったのか。
その答えは本書の行間に密やかに紛れ込んでいる。
紙の本
著者にはこのまま映画にムチを打ち続けてもらいたい
2008/02/02 10:41
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
時に品位なきまでに辛らつな言辞を繰り出しつつ、それが映画に対する深い愛情ゆえのムチであることを強く感じさせる合評集「ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判」シリーズを私は愛読してきました。昨2007年にその「ファビュラス」シリーズの完結が宣言されてしまって以来、あの爽快な評論がもう読めないのかと哀しい思いをしていました。
しかし合評こそ終結したとはいえ、柳下毅一郎が(そしておそらく共著者であった町山 智浩も)映画への愛ある鞭打ちをやめたわけではなかったようです。本書「シネマ・ハント」は「ハリウッドがつまらなくなった101の理由」という副題の指し示すところを、相変わらずの辛口で指摘しています。
「シックス・デイ」の論評の核は主演俳優シュワルツェネッガーの「実存的不安との戦い」です。
「トータル・リコール」や「ラスト・アクション・ヒーロー」、「トゥルー・ライズ」など、シュワルツェネッガーはクローン/オリジナル、シミュラークル/シミュレーションという「P.K.ディック的」テーマを好んで選んできたことを踏まえ、「人生がうつろな偽者に思われ、本当の自分がどこかにいるように感じている」と、シュワルツェネッガーの居場所のなさを愛惜を込めるかのように記します。
「アイデンティティ」と「閉ざされた森」をあわせて論じた章も秀逸です。「どんでん返しにつぐどんでん返しは、たしかに観客を驚かす。だが、本来どんでん返しとは張りめぐらせた伏線をすべて回収して唯一無二の『真相』を見せるからこそ意味があるのではなかったか」。
私自身も昨今のハリウッド映画の「驚かし」には、一義的には楽しめているとはいえ、どこか不具合を感じないではいませんでした。しかし柳下のようにその不具合感のきたるところを明確/的確に指摘する言葉を持ち合わせていませんでした。
彼の論を読むと、映画の奥行きがずっと増す気がします。
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