紙の本
手遅れになる前に
2008/01/24 17:53
12人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:青砥の愛煙家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
先日、高校時代の恩師と話す機会があった。
「最近の子は、どう?」と聞くと
「おまえらのときより、ひどいね」と言われた。
私の学年は、「過去10年で最低」と言われていた。
とりわけ私のいたクラスは、学業面やメンタリティといった
複数の項目を総合して、こう呼ばれた。
「吹き溜まり」
さらに聞いた。「おれらよりひどいって、どんな?」。
「たとえばさあ、授業中にケータイならすヤツがいたりな…」
確かにそれはひどいねと返すと、恩師はこう応じた。
「おまえらの時代にはケータイがなかったからな(笑)」。
学級崩壊を「いまの親は」とか「いまの子どもは」と
批判することができないのは、自分にも多少は身に覚えがあるから。
熱に浮かされたような時代のまっただなかで
実はこの国が静かに沈んでいくことに、
自分たちは荷担していたのではないか。
戦後、日本が復興できた原因には様々な要因があるが、
優秀な「高卒の労働者」というのは、
かなり大きかったのではないだろうか。
進学しなくとも(できなくても)高い学習能力と意欲があったため、
それが「Made in Japan」の評価につながった。
ブルース・スプリングスティーンの歌詞に出てくる
我が子を膝の上にのせ「これがおまえのホームタウンだよ」
と語りかける父親の代わりに、
よりよい「あした」のために額に汗する「おとうちゃん」がいた。
それももう、過去の話になろうとしている。
病める超大国、アメリカ。その教育現場の最底辺。
実態に驚き、呆れるのは簡単だ。
でも、聞こえてこないだろうか。
我が国にも「その日」が訪れる足音が。
紙の本
アメリカの教育実態がよくわかる一冊!
2016/03/14 10:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカと言えば、「教育的に進んだ国」という一般的なイメージがありますが、それは一部のアメリカ人エリートに対してあてはまることで、大多数のアメリカ人には全く当てはまりません。こうしたアメリカの現状を克明に描き出したのが本書です。私たちの間違ったアメリカ教育のイメージを払しょくするためにも、ぜひ、ご一読いただければと思います。
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昔からアメリカの日本でいう小学〜高校までの教育体制について興味があったので、新書を新刊でジャケ買い。正直、学者視点でかいてるのかと勝手に思い込んでたんだが、本職のライターさんが日本文化の授業の臨時職員となり、日本とはがらりと異なる生徒たちに囲まれ奮闘していく姿が書かれる。そして、その経験から新たな可能性を見いだしてく著者の姿がとてもキラキラしていておもしろかった。
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2008/1
アメリカにわたり下層的な位置づけにある高校で実際に教鞭を取った著者が、その経験談を綴っている。
アメリカ社会の問題に触れているのだが、それ以上に教育論としてなかなかいい本だと感じる。
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ネバダの地方都市が舞台。学校教育・社会からドロップアウトしてしまう子どもたちに体ごとぶつかってリトライに目覚めさせることを試みる日本人客員教師の体験談。BigBrohter&Sisterと呼ばれる教師とLittleBro&Srと呼ばれる生徒たち。目線対等・イコールパートナーであることが条件。英語をクラス中で2割しか理解していない移住民族中心のコミニティなども登場する。人生最初のチャンスである教育の現場で格差が生まれているのを、上から天下国家論じるような姿勢でなく、渦中に飛び込んでのリポート。著者のスポーツライターという経歴から来るアスリート的な感覚とあいまって、文章は心地よく響いてくる。
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在米10年のフリーライターによる、底辺高での臨時教員のルポ。
情熱的で、正義感のある著者の、体当たり的体験が熱く描かれている。一生懸命さが伝わってくる、いい内容の新書だと思います。
ただ、1年足らずの体験談で、ここまで書ききっていいのだろうか、とも思う。また、いうことを聞かない高校生に対し、殴ることができれば、、と思ってるあたりが、やや空恐ろしく感じました。
もちろんきれいごとではない部分もいろいろ見てきた上での、心のコエだとは思いますが。。
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いやぁこれ本当に名著だわ。新書読んで感動した事なんて初めてかもしれない。
著者が実際にアメリカの底辺校で教壇に立った経験を基に書かれた、すごく良質なノンフィクション。
新書という媒体で発表されたのは、やはり本書のメッセージを理解するためには多少の教養が必要だ(と出版社に判断された)からだろうか。下層にいる人を含むもっと色んな人に読んでもらいたいが、やっぱ読む人間を選ぶのは事実。そんな我が国の現状が悲しい。
777円。
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アメリカ下層教育現場のルポタージュ、ではある。それ以上でもそれ以下でもない。
比較的簡単に私設の学校が設置できるアメリカでは、多様な子供たちに対応して様々な設置主体が学校を設置している。その現状を一部抜粋的な感覚で読んだ。
教育学というよりは教授法ではないのかなぁ・・・と感じる次第。
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スポーツをメインに活動しているノンフィクションライター林壮一氏が初めて立った教壇は、アメリカのチャータースクール。そこは格差や貧困、家庭の崩壊などの影響もあり、高校生ながらも学力もそうだが、なにより本来身についていていいはずの倫理観や常識すら身についてはいない生徒たちの学校だった。ドラマなどといったフィクションではない、現実の体当たり奮闘記。そのなかで、今の日本の学校が向かっている先、そして学校というものの意義などについても深く考えさせられるのではないでしょうか。なにより自分自身、大切なものを思い返してみるのに読んでいただきたい1冊。
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著者のWeb連載を読んで興味を持った。
劣悪な家庭環境だから教育を受けられない。教育を受けていないから、不利な職業を強制される。そして、自身も劣悪な家庭環境しか築けない。
そんな負のスパイラルに入りこんだアメリカ社会の底辺の人々の話。
著者の心配は、日本も将来的に同じようになりそうだということ。
それなら高校無料化にも少しは意味があるのかも。
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まぁまぁかなー。
アメリカの公立高校に通ったことあるけど、そこはかなり治安の良いところだったしなー。
黒人の子なんて1000人以上いる生徒の中に2人しかいなかったし。
勉強して、教養を身につけるって、本当に大切だよね。
アメリカなんて本当に学歴社会だし。
筆者の方、なんかすごいチャレンジ精神あるよなー。凄い。
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社会学関連の学術書だと思い込んでたら、熱血教師の体験記ふうで、ちょっと期待はずれ。この手のノンフィクションなら、アメリカの著者がすでに多く書いているので。教育現場の崩壊とか、政策の不備とか、もっと深いところに突っ込んでくれているとよかった。
とはいえ、日本人でこのような経験をされる方はそういないし、それを日本人向けに日本語で伝えてくれる書物も皆無なので、そういう意味では非常に興味深い。自身や生徒たちをかなり美化しているのでは?と思われる部分もないことはないが、私自分もホームレスの人たちと接するボランティアをやっていたので、まったく異質の自分に彼らが心を開いてくれる瞬間のあの感激、というのは、共感できる。
普通、日本人には二つのタイプがある。1つは上流クラスに根付いた移民の子孫や企業から派遣された人、留学生など。彼らは「優秀な国民」という日本人のイメージにうまく乗っかり、仕事や学業に精出し、アメリカの抱える社会問題には無頓着である場合が多い。もう1つのタイプはわざわざ自分を「マイノリティーJap」と位置づけて、被差別者グループとアイデンティティを分かち合おうとする。著者は後者の傾向が強いかな。
ただ、どちらにしても、日本人というのは特殊な位置にいて、完全にグループに混ざることはできない。上流階級の日本人も、白人に混じるとコンプレックスを感じるし、マイノリティと混ざろうとする日本人も、ぎりぎりのところで相手がまったく違う世界に住んでいることを思い知らされ、壁の存在を認識する。
著者が、生徒たちを少しでも変えてやりたい、と思うのはすばらしいことだし、思うような結果が得られず逆恨みするのも理解できる。ただ、やはりどこかで線を引いて、相手のテリトリーを尊重しないと、お互いに傷つくことになるのでは?という疑問も残った。
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タイトルから、もっとハードな内容を想像していたけれど、分かりやすく、アメリカの教育現場の一断面を伝えている本だった。いや、登場する地域や子供達をめぐる状況は十分ハードなんだけど、著者の大上段に振りかぶらない視点と筆致のせいかな。学校、その後のボランティア活動の話も興味深かった。日本でもアメリカでも子供を見守る大人の温かい目が必要なんだと考えさせられた。
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アメリカはこう、だから日本ではどうすべきなのか?
日本も近い将来こうなるんだろうな。
愛に飢えた行き場のない子はどこへ行けばいいんだろうね。
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[ 内容 ]
アメリカ在住ノンフィクションライターである著者は、恩師に頼み込まれ、高校の教壇に立つことになった。
担当科目は「JAPANESE CULTURE(日本文化)」。
前任者は、生徒たちのあまりのレベルの低さに愕然とし、1カ月も経たないうちに逃げ出していた。
そこは、市内で最も学力の低い子供たちが集まる学校だった。
赴任第1日目、著者が目にした光景は、予想を遙かに超えていた。
貧困、崩壊家庭と、絶望的環境のなかで希望を見出せない子供たちに、著者は全力で向かい合っていくが…。
子を持つ全ての親、教育関係者必読のノンフィクション。
[ 目次 ]
第1章 体当たり(最初の授業 ジョージ・フォアマンの言葉 浦島太郎 相撲 集中力はもって50分 殴れたらどんなに楽か…… 振り出し しゃぼんだまと丙牛)
第2章 壁(白人の校長 トラビス 中間テスト 実の両親と共に生活している生徒は19名中1名 どうしても伝えたい内容 ヘスース)
第3章 チャレンジ(時間がない ジャップ ある強盗殺人事件 授業は“生き物” アメリカの教育格差 銃 えひめ丸 国家 マービン・ハグラーの台詞 さらば教壇 8カ月後の再会―半数の生徒が退学)
第4章 ユース・メンターリング(教壇に立った経験を活かしたい BIG BROT HER&BIG SISTER 20種類の誉め方 ヒスパニックの少年 苛めや暴力を防ぐ効果)
第5章 突然の別れ(転校 トレイナー・ミドルスクール 英語が母語の生徒は24名中4名)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]