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紙の本
今年のオールスターは松井のほうがイチローのほうが票を集めているそうです。ま、理由は色々あるでしょうが、応えの一つはこの本に書いてあります。オープンな人柄が好まれるのは、どうも洋の東西を問わないらしい・・・
2008/06/24 19:47
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロバート・ホワイティング、好きな作家です。ドナルド・キーンのヨイショ日本論などは読む気がしませんが、この人が書いたものなら娘たちにも読ませたい。その最大の理由は、「今」です。過去を振り返るにしても、その視線の先にいつも「今」がある、それがロバート・ホワイティング。ベクトルが過去の中でぐるぐる廻っているのがドナルド・キーン。
ともかく私は「今」が好きです。軽薄、といわれようと、現実に自分が「今」を楽しんでいる以上、それより過去を持ち上げ、現在を安易に否定したくはありません。否定するときも、いつも「今」を見ていたい。だから、私はベストセラーを読むことにさほど躊躇いを覚えないのかもしれません。
さて、『サクラと星条旗』(Cherry Blossoms Over The Stars and Stripes Robert Whiting)ですが、著者自身の30年前の著作『菊とバット』の続編に相応しいタイトルです。こういうセンスも私がホワイティングを評価するところ。装画:村上基浩、装幀:川畑博昭のカバーは、ちょっと映画『ロッキー』を思わせるのが難点ですが、タイトルをよく表してはいます。国旗を扱うと、どれも似てしまうのはいたし方ありません。ちなみに、本の中の豊富な写真提供は、この文章の多くが載った夕刊フジを出している産経新聞です。
一応、カバー折返しの案内文を写しておきましょう。
『菊とバット』の著者が贈る、
メジャー級の痛快エッセイ集。
◎――イチロー、松井などの有力選手が次々
と海を渡り、大リーグを沸かせる昨今。松坂大
輔のボストン・レッドソックスへの移籍で、アメリ
カでの日本人選手に対する関心はますます高
まっている。そんな現象を、長年にわたって太
平洋を挟んだ二つの国で野球を観察してきた
ロバート・ホワイティングはどう見ているのだろ
うか?日本にやってきた外国助っ人選手が直
面する文化摩擦を描いた名作『菊とバット』か
ら三十年。その逆バージョンともいうべき新た
な傑作がここに誕生!王とボンズ、偉大なのは
どちらか?大リーグ一の嫌われ者は誰?乱闘
劇の正しい鑑賞法は?メジャーの知られざるエ
ピソードと日本人大リーガーの真実をユーモ
アたっぷりに描く痛快エッセイ。
となっています。 この本で印象的だったのが、MLBでは、イチローより松井秀喜の評判がいい、ということが一番に上げられます。我が家では野茂、伊良部、イチローという、ある意味、大リーグ入りに際して日本の野球界から難癖をつけられた口下手な選手の評価が高いのは事実です。
彼らが海外に出て行ったときの、日本のスポーツ新聞の冷淡な仕打ちを忘れたことがありません。頭から、ダメと決め付け、罵声を浴びせた日本のマスコミは、今でも自分たちのインタビューに応えてくれる選手を褒め上げることはあっても、プライバシーを大切にする選手には平然と泥をかけます。サッカーの中田英寿もそうしたバッシングにあった一人です。
でも、彼らが偉かったのは、それでも節を曲げず、ともかく海外でしっかりした評価を得たことです。ま、伊良部については評価が分かれるようですが、私は今でも彼の駄々っこのようなところが好きです。それはともかく、海外の人は日本人と違って、ある意味、クールな人間を評価している、そう思っていました。ところがどうも違うらしい。
無論、凄い選手であれば評価しないわけはありませんが、どっちが好きか、となるとやっぱり社交的なほうがいいらしい。それで松井秀喜。ま、彼のスケールの大きさは色々な意味で有名だったので、それについて否やはありませんが、私は実績を評価するアメリカではイチロー、だと決め付けていましたから、彼のMLBでの殿堂入りが必ずしも容易ではないことも含め意外でした。
それから先シーズンにかんしては松坂大輔より岡島秀樹のほうが高く評価されているということも、私が野球音痴であることを別にして驚きです。ただ、斎藤、岡島が鳴り物入りで入ったわけではないのに、向こうで新しい球種を覚え、それを武器に勝利に貢献している、投資効果としてはお釣りが来る、というのは肯けます。
そこは中田英寿がローマ移籍のときの移籍金ゆえにその後の身動きが取れなくなった、その逆といえます。ちなみに、その中田のポジションにいるのが松坂大輔と考えれば、松坂の立つ位置がいかに難しいものであるかわかるでしょう。それと岩村、井口がしっかり仕事をしていることをホワイティングがしっかり見ているのも当然ですが、うれしいものです。
視線の公平さこそが、現在の日米野球界の選手の交流を描くのに不可欠ですが、井川について彼の長所・短所に言及し、今シーズンが正念場だというあたりも冷静です。イチロー、松井についての言及を別にすれば、最も意外なのはホワイティングが桑田真澄を高く評価していることです。私も桑田が嫌いではありませんが、ここまで評価はできません。
他にも、王貞治や金田正二といった選手が世界的に見ても偉大であるという記事があり、日本人の心をくすぐってくれます。何らかの都合で、新聞に発表されていない文章が、かなり単行本化で日の目をみたことも嬉しいものです。新聞連載は今年も続くそうですから、続篇も来年には出るかもしれません。日本の野球は高校野球も含めて嫌いですが、MLBなら話は別、今から待ち遠しいです。
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