紙の本
埋もれるにはそれなりの理由があるんだなあ、なんて思いました。あるジャンルで大量の作品を書く、っていうのも必要な条件かな、なんて思ったりして。ちなみに、私は読んでいませんが蘭光生としての式を評価します。
2008/10/14 19:59
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
懐かしい名前を見たなあ、って思いました。つい先日も、実家から本を移動しながら、あれ、この作家はいつ消えてしまったんだろう、なんて思っていたので、感慨ひとしおです。しかも、『カンタン刑』、我が家のどこかに単行本が眠っていることは確実です。内容は全く覚えていませんが、忘れませんよ、式貴士という名前も『カンタン刑』というタイトルも・・・。
昔懐かしいイメージのカバーイラストは日月沙絵、カバーデザインは光文社本を多く手がける泉沢光雄、そして光文社独自と言っていい表記、カバー印刷は萩原印刷です。
カバー後の案内は
カンタン刑 式貴士怪奇小説コレクション*式貴志
八人を惨殺した残酷非道な殺人鬼が、判決を聞
き、恐怖のあまり言葉を失った。死刑よりも遙
かに重い刑罰「カンタン刑」とは?(表題作)
念じた物を石に変える能力を持つ男が、邪悪な
欲望を次々と遂げてゆく…(「おれの人形」)。
複数の筆名で多彩な仕事を残した異才による、
悪夢のような十二篇と、幻の劇画原作作品(上村
一夫画)を収録。〈巻末エッセイ・平山夢明〉
となっています。で、巻末の解説と解題を読んで愕然としたことがあるので、先に書いておきましょう。まず、式は1991年に亡くなっているということが一つ。もう一つが、間羊太郎名でミステリ評論や児童向け読み物を書いていたということ。だって、私の家にあるんです、間の『ミステリ百科』が。私が大切にしていた本です。知りませんでした、式が間だったとは・・・
しかもです、式は蘭光生でもあったんだそうです。ま、これは我が家にはありません。逆さにしても出てこない。でも、書店の奥のほうの怪しげな文庫コーナーでは本当によく見かけた名前です。官能小説の世界では大物ではないでしょうか。いやはや、知りませんでした。もしかして覆面作家として出ていたのかしらん?なんて思います。
早速、各話の内容紹介です。
◆カンタン刑:八人を惨殺した残酷非道な殺人鬼が、判決を聞き、恐怖のあまり言葉を失った。死刑よりも遙かに重い刑罰「カンタン刑」とは?
◆首吊り三味線:日本、イギリス、アメリカ、正式な首吊りのやり方は・・・
◆涸いた子宮:妻に逃げられた一軒家に暮らす男の前にあらわれた不思議な女、始った二人の暮らしは・・・
◆ヘッド・ワイフ:新婚二年目の妻は、胴体も、四肢も、乳房も子宮もない、首だけの新妻・・・
◆おれの人形:念じた物を石に変える能力を持つ男が、邪悪な欲望を次々と遂げてゆく・・・
◆マイ・アドニス:芸術関係の大学で彫刻家を志していた私が出会った舞木純は中学三年の美少年・・・
◆血の海:入院中の妻と冗談で言った「きっと神様が血の雨を降らせてくれるかも・・・・・」が実現して・・・
◆アイス・ベイビー:会社勤めにも慣れて余裕が出来た俺が欲しくなったのは、当たり外れはあるものの自分で自由に育てられるアイス・ベイビー・・・
◆メニエール蝉:週刊誌のライターをしている俺が取り憑かれたのは、蝉の耳鳴りがするメニエール病・・・
◆塵もつもれば:友人の小野が買ってきてくれたのは個人の死期を予測できるデータバンク・・・
◆鉄輪の舞:結婚して五年、遠慮深く思ったことも口に出来ない夫婦の仲に亀裂が・・・
◆東城線見聞録:人生最後にたどりついた黄金の島、チパング。男が語る塔京の東城線各駅の様子・・・
◆仕置猫(上村一夫画):毎夜母のもとにやってきては交わる男と、それを見つめる猫。母の狂態に少年は・・・
破壊されて嬉しかった日 平山夢明
解題 五所光太郎
たしかに、埋もれる可能はあります。異色ではあっても深みはない。キラキラした才能は感じません。でも、凡百かといえば、そこから抜けてはいます。ただ、読みながら、今の若い人には受けないかな、だって乙一や西尾維新がいるもの、なんて思ったりします。そういう意味で、平山夢明のあとがきは、褒めすぎでしょ、なんて思います。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに読んだ…懐かしいというか、こんなにも、うひゃーな話だったかなあ。当時はそんなに厳しい話だと思わなかったんだけど、あれから年取って、いろいろ理性とか常識とか身にまとってしまったのだろうか。でもマジキツかったです。面白いというか、刺激が強いというか、特別な印象強い作品集だけど、人にはオススメしません…つーか、怖くて勧められないよ(笑)特にGB嫌いの人には吐き気を催すこと請け合いなので、絶対に手に取られませんよう。
投稿元:
レビューを見る
平山夢明が推薦していたので購入。
短編集なんだけども、一つ一つのオチが弱いような気がしないでもない。エログロナンセンスが苦手な人にはお薦めしません。
投稿元:
レビューを見る
うーん。全体的にどの短篇も不完全燃焼な感じ、あるいは寸止めで終わったような感じがなんだか。エログロもそこまででもないし。
投稿元:
レビューを見る
恥ずかしながら、著者のことは、全然知りませんでした。大分前に書かれた作品なのに新しい感じがします。あと何作品か読んでみたいです。
投稿元:
レビューを見る
グロイ…!とにかく最後までエログロナンセンスでした。表紙買いしてみたけど私には刺激が強すぎでした。それでも最後まで読めたからよかったかな。
ホラーはサイコ系が好きです。
投稿元:
レビューを見る
ただひたすら嫌悪。
視覚、触覚、味覚、嗅覚。あらゆる感覚に訴えて嫌悪感を催す怪作。
言葉にここまで犯されるとは。
うかつにも電車内で読んでしまえば嘔吐の危険あり。
もしくは電車の窓に頭を突っ込みたくなるやも。
とにかく、お気をつけあれ。
式 貴士(しき たかし)
東京都出身の作家。SF作家、官能小説家、占星術師。
式貴士でSF、間 羊太郎で推理小説評論や子供向きの生活雑学やクイズ本、蘭 光生で官能小説、小早川 博で雑学、ウラヌス星風で占星術、と他分野で活躍した奇人。内容の割りにドライな文体が特徴。蘭光生名義では団鬼六、千草忠夫と共に「御三家」と評されていたポルノ界の巨匠。
(収録作品)
カンタン刑
首吊り三味線
かわいた子宮
ヘッド・ワイフ
おれの人形
マイ・アドニス
血の海
アイス・ベイビー
メニエール蝉
塵もつもれば
鉄輪(かなわ)の舞
東上線見聞録
仕置猫
投稿元:
レビューを見る
久し振りのドハズレ。
読み進めるうち嫌な予感がしたけどその通りやった・・・。
アイデア全てが中高生並。話の展開もオチもイラッとしました。
こういう類のしょうもなさは山田悠介以来。
読む価値無し。
09.04.28
投稿元:
レビューを見る
表紙と題名に惹かれて衝動買い。
解説を見たら結構昔の人だった。
「カンタン刑」は以前、世にも奇妙な物語で似たような話を見たことがあったので最後の××落ちが途中でわかってしまった。
あと、「ヘッドワイフ」も以前マンガで見たはず。
全体では最近にはない怪奇小説でおもしろかったです。
投稿元:
レビューを見る
ジャンルとしてはSFなのだと思うけれど、ホラー色のかなり強い短編集。
一番恐ろしいと思えたのは「鉄輪の舞」。「自分がこんな目に遭わされたら」で怖いのは、なんといっても「カンタン刑」ですけどね。「鉄輪の舞」で描かれる心理面の恐ろしさ、ってのは格別です。
別の意味で怖いのは「アイス・ベイビー」。こういうの、いつかは実現されてしまうんじゃないか、と危惧する気持ちがほんの少しありますよ……まさかとは思うけれどね。未来には何が起こるか分かりませんから。
投稿元:
レビューを見る
表題作で描かれる刑の凄まじさもさることながら、「鉄輪の舞」の結末の惨たらしさたるや。もし4、5年前に読んでいたら恐らく狂喜乱舞して「傑作だ×3」と連呼していただろう。
惜しむらくは、現在の自分ではこの猟奇、淫虐、残酷、変態―そういったもの全てが、刺激が過ぎるようになってしまったこと。
投稿元:
レビューを見る
著者自身が呼んだ、グロテスクロマン短編が不思議な読後感でよかった。
グロ、少年愛、猟奇、サディスティック様々。
何十年も前に書かれたと思えない。
投稿元:
レビューを見る
死刑より怖いカンタン刑。
カンタン刑って何だかふざけた名前だな、とか思って読んでいたら一気に引きこまれてしまった。
もともとはSM作家として活動していたそうで、内容的はちょっとエロい。そしてちょいグロな短篇集。
著者が既に他界されているのが残念でしょうがない。
投稿元:
レビューを見る
横溝正史よりは江戸川乱歩よりの、あるいは耽美派の川端文学の香りのある恐怖小説というべきか。
式貴士という名前に聞き覚えはなかったが間羊太郎という名前で以前犯罪アンソロジーを読んだ事があり、それでタイトルの面白さも相まって手にした一冊。カンタン刑というユニークなネーミングだけれど、内容はかなりグロ。しかも全編に流れるトーンがちょっと古い文学の香り十分。人を選ぶので万人向けではないけれど、乱歩以外にも例えば、平山夢明氏などが好きな人にははまりの一冊だと思われる。
投稿元:
レビューを見る
かなり前に発売されたものですが、別段それほど違和感もなく。
そういう落ちなのか、という短編ばかりでした。
題名になっている短編は、世にも不思議な~で
似たような物語を見た気がします。
元ネタはここなのか、というのをちょっと知りたかったです。
が、もしもこれが元ネタでも、映像化される分
まだ良心的な刑罰だった気も…。
想像だけはしてはいけません、な話でした。
そういう落ちあり!? と思うのは、バックシート・ドライバー。
散々してきた挙句、目的が『そこ』とは…。
それよりも、加担していたのが赤ん坊もなのか、を
かなり知りたいです。
見た目は子供、頭脳は大人、なのでしょうか??