- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
10 件中 1 件~ 10 件を表示 |
紙の本
「芸」と化した「貧しさ」
2008/05/23 10:56
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
中原昌也の小説は「貧しい」。
しかも、すでに=つねに「貧しい」。
それは、たとえ『ニートピア2010』が314ページに及ぶ短編集であっても、徹頭徹尾「貧しい」。
そのようなことは、ここで改めていうまでもなく、繰り返し繰り返しいわれてきたし、その「貧しさ」を、ある種の批評として顕揚する発言もまた、繰り返し繰り返し立ち現れてきた。中原昌也は、自他共に認めるように、「金のためにしょうがなく小説を書いている」。そこに、現代文学の「正しい」現状認識と、それに基づく振る舞いが見出せるというわけだ。そうした、辛うじての「貧しさ」ゆえの批評性に、誰もが目をつぶり続けてきたその堪忍袋の緒が、切れだしたのはここ1,2年だろうか。人びとがもはや、素直にあきれだし、率直に「下手なだけ」といいはじめたころ、小説を書かなければ生活していけないと繰り返し繰り返しその小説で訴える中原昌也は、出版ラッシュを迎え、『ニートピア2010』もその一翼を担う。その徹底した「貧しさ」とその人に基づく振る舞いは、三浦雅士が全国紙でとりあげるほどのものであり、それはマイナスのカードがそろって、ついにはプラスになってしまったかのような感を、ここにきて一挙に呈しているようにみえる。どういうことか。
中原昌也は、その骨張った、物語もなく、もちろん感動を誘うこともない、徹頭徹尾「貧しい」小説において、繰り返し繰り返し、作中で自作に自己言及し、そのくだらなさを喧伝し「金のためにしょうがなく小説を書いている」旨、言明するのだが、それが、ともすると「芸」にすらなってきている。つまり、カブキの名台詞よろしく、そうした一節が来ると「待ってました!」と声をかけたくなってしまうのだ。
このことは、おそらく中原昌也にとって両刃の剣である。というのも、それが「芸」として、ある種のエンターテイメント性をもたらすものならば、「貧しさ」ゆえの批評性は失われかねないからだ。いずれにしても、その小説を読み、ジャッジする読者を、相変わらず悩ませ続ける作家であることに変わりなく、『ニートピア2010』はそれに拍車をかけた短編集だという他ない。
紙の本
世の中に背を向ける
2020/01/02 22:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
今の時代の閉塞感が、鋭く反映されています。全てを諦めたかのような語り口と、読者を突き放したかのような幕切れに呆気にとられてしまいました。
10 件中 1 件~ 10 件を表示 |