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紙の本
電○や博○堂だけが広告代理店ではない
2008/04/21 20:05
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ベニスの商人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
テレビなどで題材として取り上げられる“広告業界”は、ほとんどがクリエイターサイド。だが、広告代理店がクリエイターと発注者とを結び付けなければ、いい広告は生まれない。したがって、テレビドラマの主役になる“コピーライター”の陰には、十年一日の如く泥沼を這いずり回っている、多くの営業マンが存在している。
本書は著者の略歴からして、ほぼ自伝と思っていいのだろう。関西の私立大学を卒業して、いくつか試験に落ちた末に、小さな広告代理店に就職する。漠然とマスコミ志望だったから、広告代理店はまんざら無縁でもないと決めた。というより、そこしかなかった。
しかし、広告代理店は所詮マスコミではなかった。普通の営業マンは売るべき品物が明確だ。ところが、広告代理店の営業マンは売るものがない。あえて売るものと評するならそれは「広告スペース」である。「これこれのスペースが空いていますけど、何か広告したいものはありますか?」-御用聞きである。それも飛び込みで、なんのコネもない、なんの約束もなしで注文をとれという。
無理だ。いつしか、営業に行くという口実で会社から出かけ、暇つぶしをして戻るのが常態になる。注文が取れないということでは、まじめに飛び込みをやっても、結果は五十歩百歩。客観的に評価すると主人公(著者?)は、ダメな会社員である。会社から見れば月給泥棒といってもいいかもしれない。でも、自分がその立場に置かれれば、けつを割りたくなるかもしれない。
だが、主人公は割らなかった。それは新たな目標ができたから。広告業界にはコピーライターという仕事もあって、彼らは営業マンと違い、服装も自由だし、第一、クリエイティブな仕事だ。そのための勉強をして、いつかは東京に出る。
この中には、失敗談ばかりが書かれているが、後半部分ではいくつかのヘッドハンティング話が出てくるから、実際にはそれほどのダメ社員ではなかったのかもしれない。
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