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翻訳家・岸本佐知子さんのファンなので、書店でみかけ迷わず購入。
「恋愛」ではなく「変愛」。どこか風変わりな短編集。
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「変」ってなんだろうね? 不思議な触感だけどそれがいやなものじゃないってことははっきりしてる、でも確かに感じる違和感がいい。どの短篇もよかったな。
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恋愛・・・変愛・・・変態?小説短編集。
なかでも圧倒的なインパクトを放つのは、ジュリア・スラヴィン「まる呑み」。題名からして、何やら嫌な予感はしていたけど、キスしてそのまま呑み込むな、おい。あきらかに、おかしな世界観。
レイ・ヴィクサヴィッチ「セーター」は、恋人同士の二人のやり取りが滑稽でおかしくて、でもどこか可愛らしくて好感。どんだけ小さいセーター作ったんだ。主人公の必死さに笑った。
A・M・ホームズ「リアルドール」も、印象的。主人公の少年が妹の持つバービー人形に恋するっていう設定がいい。純粋な恋物語というよりは生々しくて妙にリアルで痛々しい。でも決して目を背けられない感じ。ラストもゾクり。
ジュディ・バドニッツ「母たちの島」は、もうちょっと長く読んでいたかった。もっと深く掘り下げた、続きが読みたい。無人島・女つながりで「東京島」を思い出したのだけど、こういう時ってやっぱり女が強いのかな。精神的にというか、あらゆる面で。
編訳者のあとがきも、興味深く、「恋愛」ではなく「変愛」も私自身好きだなと、実感。
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ああ、岸本佐知子!
その変なモノを探り当てる嗅覚には、ただただ脱帽です。
しかも、平積みのタイトルを見たとき「なっ!何故に岸本佐知子が『恋愛』小説集なぞを?!」とぎょっとさせられたけれど、見事にやられた、という感じ。
柴田さんの「紙の空から」でもそうだったけれど、こういうアンソロジーでは知らない作家に出会う楽しみがある。そして今回もレイ・ヴクゥヴィッチにはかなりやられた。けれども、実は逆に既に知っている作家の本物さ加減にぐうとなっている。ニコルソン・ベイカーとジュディ・バドニッツである。但し本物さというのは自分がやはりその作家のことを気に入っていたんだなあという感慨のことである。
ベイカーといえば岸本さんであり、実は自分にとっては岸本さんといえばベイカーである。彼女の翻訳を抜きにはベイカーとの出会いも無いわけだけれど、未訳の作品も米国に居る頃には手に取ったものだ。そうやって不完全な英文読解を通してさえ、ベイカーを読んで感じる面白さは、岸本さんの日本語を通して感じたものと驚くほど変わらなくて、自分にとって本物だなあと思ったのだ。
バドニッツは柴田さんのアンソロジーから原書へ辿り着いて面白さを発見したのだけれど、その後、岸本さんの翻訳を読んで逆に岸本さんの天才翻訳家ぶりにへどもどしながらも、やっぱり印象が全く変わらなくて、その本物さぶりを深く認識した作家だ。空中スキップのような本を岸本佐知子という翻訳家で読めることは本当に幸福だと自分は思う。
そんな二人をアンソロジーの最後に並べているのは、岸本さんの趣味もあるだろうけれど、やはりこの二人の作品が他から抜きん出たような存在であるからだろうと自分は思う。特にベイカーの小品は、中二階からフェルマータへ向かうベイカーではなくて、むしろ中二階に留まろうとするベイカーのような趣を感じて安心できる。こういう作品は作家のひだの多さというか懐の深さがないと、雰囲気が醸しだせない作品だと思う。
一方バドニッツ。原書で読んだ印象よりも色彩を感じるのは岸本さんの翻訳のお陰だけれども、このブラックユーモアぶりはひょっとしたら翻訳するのは困難ではないかなあ、と実は思っていたりした。さすが岸本佐知子。しかも、原書で読んでいた時はどこか地中海の孤島をイメージしていたのだけれど、翻訳を読みながらこれはカリブ海の話なのかも、という思いが湧いてきた。そうこうする内にやっぱりヨーロッパ圏だろうか、とか、ひょっとしてアフリカ?などと思いは巡ったけれど、いずれにせよ、その同レベルの逸話がいつの間にかはっきりとした上下関係の逸話に摩り替わる感じに気づいて、バドニッツのブラックさの奥深いことにどきりとした。
ああ、やっぱり岸本さんにはベイカーとバドニッツをどんどん翻訳してもらいたいなあと思う。
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一番はまったのは、バービーの話です。 とても面白い本です。 岸本さんセレクトということで、岸本さんを形作っているものがわかる気がします。
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2009.01.05. 大好きな岸本さんが選んで翻訳した、変なピュアな恋愛集。すごい変だけど、ある意味すごくまじりっけのない恋愛かも・・・と思うよ。木に恋をする「五月」が1番好き。これが1番純粋な恋心だと思う。人間には抱けないような、愛おしい気持ち。他にもインパクトの強すぎる恋愛、いや、変な愛がつまってる。素敵すぎる。
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異常な愛をテーマにしたアンソロジーというと「ゴーサム・カフェで昼食を」を思い出すけれども、こちらの方が幻想小説寄り。「僕らが天王星に〜」「柿右衛門の器」「母たちの島」が好き。「お母さん攻略法」は思わずニヤリとしてしまう女子が多いのでは。
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2012/03/11/Sun.購入。
2012/06/11/Mon.〜10/10/Wed.
飛び飛びで読んでて、しかも途中でジョジョ文庫版に浮気してたから、読了までに時間かかっちゃった(笑
収録作品の中で特に気に入ったのは、
●アリ・スミス「五月」
●レイ・ヴクサヴィッチ「僕らが天王星に着くころ」
●スコット・スナイダー「ブルー・ヨーデル」
●ジュディ・バドニッツ「母たちの島」
全作品、設定は変態度高くてブッ飛んでるけど、後味悪い話はないよね。
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人間以外のものに本気で恋をするって、ちょっとわかるような気がする
変愛の素質があるのだろうか・・・
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エッセイがとてもおもしろい、岸本佐知子さん。
その方が選んだ「変」愛小説集なのですから、おもしろくないわけがありません。
しかし、こんなに不思議で変な話を、よくここまで集めたなぁ、と思いました。
妹のバービーちゃんに恋をする兄の話、が好きでした。
バービーちゃんが、ボーイフレンドのケンのことをどうして好きではないのか、その理由がおもしろい。
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恋人が木に恋をする「五月」/アリ・スミス
皮膚が宇宙服になる流行病「僕らが天王星に着くころ」/レイ・ヴクサヴィッチ
若い庭師を人妻が飲み込む「まる呑み」/ジュリア・スラヴィン
妻の自殺を手伝う「最後の夜」/ジェーム・ソルター
お母さんと恋愛するための「お母さん攻略法」/イアン・フレイジャー
バービーと男の子がつきあう「リアル・ドール」/A.M.ホームズ
教会で未知の生物と出会う「獣」/モーリーン・F・マクヒュー
別れた彼女が乗った飛行船を追いかける「ブルー・ヨーデル」/スコット・スナイダー
大伯母さんの影響で器職人となる「柿右衛門の器」/ニコルソン・ベイカー
父親が1人もいない「母たちの島」/ジュディ・バドニッツ
装画:金氏徹平 装丁:名久井直子
よくぞここまで集めたなあという感じのとにかく変な短編集。
なんとなくロマンチックな感じの「僕らが天王星に着くころ」が
一番好きです。岸本さんの翻訳は読みやすい。
最も変なのは「まる呑み」この人は他にも変な話が多いらしい。
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いつ読もういつ読もうと楽しみにとっておいた一冊、期待通りでした。どれもすごく変、しかも愛という普遍的なテーマ。木にどうしようもなく恋してしまう『五月』の純情さとエゴイスティックさの落差、コミカルかつエロくちょっと切ない『まる呑み』、変態・・・だよね?でも油断すると主人公を応援しそうになる『リアル・ドール』、哀れすぎる『ブルー・ヨーデル』、格調高くそれでいてほの妖しい『柿右衛門の器』が好み。『母たちの島』はこの短編集ではいい意味で異色。短編ながら重厚な物語でした。
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翻訳小説のススメ第1段
愛する年下の恋人を丸のみにしてしまう
皮膚が宇宙服に変わっていく病気
女しかいない島
人形を愛する少年
木を愛する人妻
設定がとっぴ過ぎて頭が混乱すること多々
しかし
美しく流れるような文体に酔える部分も多々
だからぶっとんだ設定も
客観視すぎることなくリアルに伝わってくるんやと思う
面白い
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アリ・スミス「五月」
レイ・ヴクサヴィッチ「僕らが天王星に着くころ」「セーター」
ジュリア・スラヴィン「まる呑み」
ジェームズ・ソルター「最後の夜」
イアン・フレイジャー「お母さん攻略法」
リアル・ドール「A・M・ホームズ」
モーリン・F・マクヒュー「獣」
スコット・スナイダー「ブルー・ヨーデル」
ニコルソン・ベイカー「柿右衛門の器」
ジュディ・バドニッツ「母たちの島」
が読めます。
レイ・ヴクサヴィッチという人の書いたものが一番自分にしっくり来ました。
これらはもう、「変愛小説集」というより「変態小説集」です。
結構エグかったりグロかったりしまして、ゾワゾワするのもあります。
どれも異空間に放り投げられたような心もとなさとともに、新しい世界の見方や世界の飛び越え方みたいなのを教えてくれます。
「本」がどこか違う世界へ連れて行ってくれるなら、この本はまさにそんな本です。
どうやらパート2も出ているらしいですね。
気になります。
NHKの深夜枠とかで、アニメーションシリーズとかになればいいのに。
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バリエーション豊かで楽しい短編集。
以下気に入った書き手の人。
アリ・スミス「五月」
「あのね、私木に恋してしまった。もうどうしようもなかったの」この本のド頭です。これでがっちりつかまれてしまいました。
1人称で饒舌にドライブしていく感じが好き。
ジェームズ・ソルター「最後の夜」
岸本佐知子さんの言葉を借りれば「激苦」な短編。
夫婦のダークサイドを異常な緊張感で描いていて、良し。
全部変だけど、愛についての話です。
故にカッティングエッジかつポップ。ドープかつキャッチー。
素晴らしいと思います。
ガイブン読まない人にもおすすめできるのではないかと。