古代ギリシャからバロックが中心の都市計画解説書
2008/08/12 23:22
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
通常の新書の約 2 倍のページをつかって,おもに古代ギリシャからからバロックまでの都市計画を説明している.それ以降から現代の都市計画を日本の例もあげて説明しているが,ちょっとバランスがわるい.世界史なので日本があまりとりあげられないのはやむをえないかもしれないが,もっと近代・現代にページをさいたほうが読者の興味をひいたのではないかとおもえる.
これは難航必至。素人が読むにはあまりに学術的です。
2012/01/29 20:58
4人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Pinch - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みながら思っていたのですが、後書きに予想通り「大学での講義をまとめたもの」とありました。内容、濃すぎます。古代、中世、近代、現代の世界中の都市の起源や形成過程、中世以降の「都市計画」が次から次へと紹介されます。特に表題の通り「都市計画の歴史」の部分は力が入り、欧米ならびに日本(明治以降)の、都市計画理論や実際の(行政としての)都市計画について、比較対照・発展過程の分析などが行われます。紹介された都市も有名どころはともかく、多岐にわたりますし(ただ、共産圏はなかったですね。資料がなかったのでしょう)、登場する都市計画理論の学者先生、多すぎます。何とか、読み終わりました。
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厳密に言えば、地理学とか建築学寄りの内容なのだろうけれども・・・
西洋古代の都市計画という項目に主に注目して購入した本であったのだが、中世・近現代についても興味深いことばかりであった。また、「世界史」というと受験科目の感覚で日本史以外のイメージがあるが、ちゃんと日本の都市計画の歴史についてもしっかり書かれている。全世界比較都市史概説と言ったところだろうか(いわゆる大都市を中心に扱っている)。
都市計画というものがその当時の政治・社会・思想・価値観といったものをかなり反映しているものだということを認識した。街のつくりというものからも当時の社会情勢などもわかってしまうということは歴史を研究しようとしている私にとっては面白く感じた。とはいえ、古代とは地形も街のつくりももう異なっているからなぁ・・・復元図などからそういうことするしかないのだろうか・・・
とにかく自分が住んでいる街がどんな街なのかを振り返るきっかけにもなると思われる。自分が住む街の政治方針などもそういった住環境といったものから見えたりするのでは?
結局、自分たち人間が生きる環境というものを考えることがつまりは自分たちのライフスタイルを考えることにもなっている、とそのように思わせる著作。
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近代都市計画以前、というか、そもそも世界4大文明まで遡って都市の歴史をまとめているところがおもしろい。主なトピックとしては、グリット型都市と城郭型都市のおこりや、両都市の歴史的文脈の差異、現在の状況など、なかなかに興味をそそる一冊。「都市計画の世界史」っていうタイトルも、比較文化的なニュアンスがあっていい。終章の法定都市計画の国際比較は、代表的な事例を歴史的にまとめてあるので、固い話がけっこう面白くよめる。これをざっと読めば「自分の断片的な知識を時間の流れのもとに整理できたような錯覚!」を味わえます。
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世界史の知識が背景にいる気がした。
なんで、ちょっとわからないことが
あったので、これもまた読もうと思う。
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(Amazonの自分のレビューを引用)
新書ですが350ページ超にもおよび、教科書ほどのボリュームです。
都市計画というと実践的な内容に触れる機会が多いと思いますが、本書では都市計画の手順ではなく、現代の都市計画が確立するまでの系譜を丁寧に説明しています。
歴史的に様々な側面から都市が捉えられてきたことが説明されています。特に興味深かったのは、コミュニティといった社会学的側面に焦点をあてて説明している節です。都市計画の枠組みでのコミュニティの説明は、自分にとって初めてだったので新鮮でした。
これだけの内容を新書1000円というのはお買い得だと思います。
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間違いなく良書。素敵な本です。
都市計画理論の大御所日端康雄さんが書かれた本。日笠先生の弟子らしいです。
世界都市計画史ならこの一冊だけで十分。教科書にしてもいいくらいのボリュームですし、内容もすごく分かりやすく解説されています。本当にうまくまとまってると思います。
ところどころ抜けているところもあるのが残念ですが。(ソリア・イ・マタ「線形都市」等…。)
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[ 内容 ]
人類が都市にこめた思想と知恵に迫る。
古代エジプト、メソポタミアの都市から現代の巨大都市まで。
「自然は神が創り、都市は人間が造った」。
人類が都市に注ぎ込んできた思想と技術の軌跡を見直し、現代に生かせる知恵を探る。
[ 目次 ]
第1章 城壁の都市
第2章 都市施設と都市住居
第3章 格子割の都市
第4章 バロックの都市
第5章 社会改良主義の都市
第6章 近代都市計画制度の都市
第7章 メトロポリスとメガロポリス
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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読み始めると、なんだか大学の講義の教科書みたい。
なかなか進まないんだけど、内容はおもしろいので、ちょっとずつでもいいか。
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“自然は神が創り、都市は人間が造った。” 古代帝国時代、封建社会、産業革命時期など、歴史の背景とその時代の地図を合わせて読むと、街がなんと面白く見える事か。 建築・都市開発の知識が無くても読み易く、史跡巡りの旅に行きたくなる一冊。
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タイトルにある都市計画というよりは、都市の在り方などもっと広いものを扱っている。時代は古代から近現代まで。新書にしては、やや網羅的なきらいがあった。
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教科書的、都市計画の世界史が時系列に連連と書かれている。
少しかたい、図や写真があればもう少し理解しやすかった。
P54 ルネッサンス理想都市の特徴
①空間が人間的スケールであること
②城壁に囲われることで、空間の領域、境界がはっきり決められ、人々の意識に地域性の感覚が植え付けられていること=「場の感覚(場所性)」
③都市の中心には必ず広場があって、そこで人々は交流し、心からくつろぐことができること
P191 バロックの都市デザインの特徴
①建築的閉鎖型広場(中世:建物の壁で囲まれていた)→開放型広場
→中世広場には独特の囲み感があっ感覚を生み出すモジュールが存在することが研究され、広場の設計に応用された
②直線的な広い大通
①から伸びる、①に集約
③壁面建築
②に面する建物のファサードの連続
④都市公園とランドスケープデザイン
城壁からの解放→緑やオープンスペースが都市へ
P197 バロック都市のデザイン要素
要約①都市軸②ノード③多焦点放射状パターン④ブールヴァール
原理⑤遠近法的景観(長いヴィスタ)と絵画的美観⑥幾何学的造形の応用
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四大河川流域の都市から始めているところがよい。
四大文明を都市との関係で捉えると,1000年,2000年単位で物が考えられるようになる。
アメリカのような新興国とは違い,
印度,中国は何千年の歴史がある。
印度,中国から学ぶことは多いはず。
水が大きな意味を持っていることがわかる。
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メソポタミアから近代までの都市がどのように作られていったのかを俯瞰している。大学の講義を元にしたものなので、前提となる建築や歴史に関する知識の解説はほとんど無いので少々読みづらいが、図を追っていくだけでもどのような変遷をたどっていったのかを窺い知ることができる。
古代においては生活圏の確保、あるいは宗教的な価値観を基にした都市設計がなされていたのに対し、中世以降は文化、デザイン性が求められ、さらに近代では思想がその基になっていたり、田園都市のような社会実験の側面を持ち始めるのが面白い。生存がある程度保証されたからこそ都市計画に文化や思想が求められるようになっていったのであろうということが、マズローの欲求5段階説とも一致を見せており興味深い。
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2008年刊。著者は慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授。
タイトルのまゝ。
人類は生活・技術面で種々の革命的変化を生み出してきたが(農業革命、大型火器利用、産業革命、大量生産大量消費革命等)、その度に「都市」が生まれ、変貌を遂げていった。
本書は古今東西の都市(それこそ四大文明からギリシア・ローマ、中世西欧、古代中国から日本、そして近代へと広範)を題材に、その変異の具体的様相を解説する。
正直細かすぎて付いていけない点も多かったものの、その地を旅していれば一層感得できる要素が多いと感じさせるくらいに具体的な叙述に溢れる。
戦時における防衛という目的が、城壁と非条坊制を帰結した。しかし、当該目的が減じるにつれ(戦争の少ない日本と城壁が意味をなさなくなるほどの大砲技術の進展など)、城壁はなくなっていき、計画都市と発展の余力を秘めた条坊制へと移行していった。というのはなるほどと感じる点。