紙の本
なんて哀しい、というか、遣る瀬ない話だなと思います。自分のことしか考えられないカリスマ作家の余りの愚かさと、彼を信じ続ける一人の女性、やっぱ復帰第一弾は、こっちかな?
2008/08/05 18:30
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
出版社はウソを書いてもいいんでしょうか。カバーを見ながらそう思いました。だってそこには堂々と
復帰第一作!
史上最強にパンクでピュアな
ラブストーリー
と書いてあります。この本が出版されたのは2008年の4月。でも、2007年12月に角川書店から出された『幻想小品集』には
復帰第一弾
「幻想の極限に!」
ごしんぱいをおかけしました。
と書いてあります。復帰「第一作」と、復帰「第一弾」では意味が違うのでしょうか。無論、細かいことを言えば『幻想小品集』には逮捕以前に書かれた話ばかりで、だから「第一弾」かもしれませんが、一応書き下し作品が入っているので、それが「第一作」ではないか、と思ってしまいます。こういうのを虚偽の広告とは言わないのでしょうか。釈然としません。
ただ、復帰第一作、というかあの事件を利用しているという点では、タイトルも含めて『タイマ』に軍配があがります。表紙写真 宮下マキ(人物)、カバー写真 西村千春(小物)に、使用記事 読売新聞2007年9月3日 夕刊というカバーデザインは、まさに実録風、アサヒ芸能のノリ、そんな装丁は松田行正+日向麻梨子です。逆転の発想といっていいでしょう。
ついでですから出版社のHPから内容紹介をコピペしておきます。
大麻所持で逮捕された僕と彼女の運命の恋
ある日、新宿をひとりで歩いていた小説家の「僕」は警官に呼び止められ、大麻所持の現行犯で逮捕される。それから執拗な尋問、家宅捜索、過酷な留置所での生活が始まった。しかし、僕にとって何よりも辛かったのは、最愛の恋人・あいとの連絡が全くとれなくなってしまったことだった。ストリップ嬢のあいと僕は運命的に出会い、お互いの唯一の理解者として、純粋な愛を育んでいた。だが、ようやく釈放された僕があいと再会すると、なんと彼女は僕の真似をして、ドラッグに手を出していた。薬物がいけない理由は「愛する人を傷つけてしまうから」だ――嶽本氏が作家としての答えをはっきりと表明した、悲しいほどに一途なラブストーリー。
です。主人公は「僕」、嶽本のばららしき人物です。年齢はよくわかりませんが、決して若くはありません。30代後半といってもいいでしょう。性格的には自己中。他人を思いやるとか、周囲と自分との距離を測る、とかそういうことはできません。このお話では、いかにも他人、というか恋人のことを思いやっているようですが、実際はそうではない、その理由や結果が巻末のほうで明かされます。
周囲のことがわからない、だから逮捕された理由はわかっても、本質的にそれが悪いとは思っていない。だから警察官から反感を買います。ま、そういう意味も含めて、いわゆる優等生ではありません。ただワルかというと、それだけの強さ、なにより肉体的、精神的なそれを持っているわけではなく、どちらかというと頭の悪さと反抗心が目立つ軟弱者でしょうか。
主人公以外で言えば、「僕」が庇い続ける女性が二人います。一人はデリヘル嬢で、源氏名はアユミ、美女です。二人は服の趣味こそ違いますが、気が合う。だから、客という関係を超えた付き合いをします。とはいえ、それは恋愛とも違う。大麻とセックスを媒体とした緩やかな連帯というか・・・
それともう一人が、あい、です。ストリッパーで19歳。美女かどうかはよくわかりませんが、アユミとはちがって、あいと主人公は服装の趣味、音楽の好み、ものの考え方など様々な面で共通点があり、年齢的なことからも女が男に甘える、みたいな構図はありますが、まさに熱狂的な恋情が二人の間には通っています。
逮捕が本人だけに影響を与えるに留まるならば、ある意味、自業自得ですみます。それが家族に及んだとしても、親なんだから、で周囲は納得します。でも、それが仕事の関係者を巻き込み、何も知らない友人知人に別の人生を歩ませるとしたら・・・。出版社は実際に野ばらが起こした事件と結びつけ「薬物がいけない理由は」なんて書いていますが、実は「犯罪がいけない理由は」でしょう。
むしろ薬物に限定してしまうことが、かえって嶽本の、出版社の意識の低さをうかがわせてしまいます。周囲に、他人に思いが及ばないということの悲しさを感じるがゆえに、読者は「僕」の愚かさに怒りを覚えるのです。そういう意味で、この作品は、一部不満はあるものの『幻想小品集』には持ち得ないメッセージ性がある、本当の「復帰第一作」といえるのではないでしょうか。
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一体どうしたのか。
彼の熱狂的ファンでもなく、作品やロリータ意識に同調することはないけれど、
文学的な言葉回しなどを好んでいたので新刊も読んでみた。
どうやら自分自身に溺れていっているようで違和感。
段々と露悪になっている気がする。
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野ばらさん本人を知らないで野ばらさん作品を読んでいたので、現実なのか空想なのかよくわかんないな…。ラストもあんまり好みじゃない。
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どん底ぶった中に散見される、ねっとりした自己愛、自己弁護。
逮捕されても何があっても、野ばらは野ばら。太宰治にはなれないんだよなぁ。だって野ばらちゃんはおセレブだから。
なんだかんだいっても最後は奇麗かつ都合よく赦されちゃって、エエーーーマジで???っていう。
これがロックなのか?この、辻褄合わせの所信表明が?
と思うのは、私が野ばら的にアウェーの人間なのだからなのであって、本来この人の小説っていうのは、彼とごく限られた人々との閉じた世界を形成する繭なんだよね。(「下妻物語」の成功があって、それが一時的に外の世界に面白おかしく(時には真摯に)開かれたっていうだけで)
だから、これを読んで「薬物ダメ、ゼッタイ!」って思う乙女がいるなら、この小説をなにも否定できないし、私にその資格はない。
ロリータのお洋服は大好きなんだけど、私にはロリータの魂が備わってないみたい。
いろんな意味で、転んでもただでは起きない、という心意気は伝わりました。まだまだ大丈夫そうで、よかった。
今後とも繭作りがんばってください。救われてる人がたくさんいるようなので。
★
「解ったの。私達はこの世界のあらゆるものを、誰かが編集した状態でしか観ていないってことが」
BABY,THE STARS SHINE BRIGHTのお洋服は、無敵に可愛いだろ。可愛さの魂が、本質が、そこには宿っているからね。うさくみゃのリュックは、バカげていたって、役に立たなくったって、存在価値を、ちゃんと持っているだろ。愛おしさの信念が、一切合切が、そこには詰め込まれているのだからね。大勢にとっては非常識、無価値なものであっても、僕達に必要ならば、それは紛うことなき正義なんだ。なくてはならない尊いものなんだ。
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どうしよう。本の内容がよい悪いの判断でなく、読後感悪いです。
ラストのラストも、え?そこが落としどころだったの!?という感じです。
うー。妙にリアルなところと、そうでないところがあって、
余計リアルです。タイマ・・・。
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自らの大麻所持で逮捕された体験を元にしたシリアスな作品…とおもいきや、どうも本筋のニルヴァーナにあわせて踊るストリッパーの彼女(そんなんおるかっ!というつっこみはさておいて)とのドラマのパートになるやとんでもない展開になるので、どう評価していいのか難しいところ。最初からどたばたを狙って書いていたならそれもアリだと思うが、それにしては、前半の作者自身をモデルにした主人公のキャラクターの描き方に戯画化がたりない。たとえば「乙女のカリスマ」を気取るカッコつけたチビの嫌味な作家というような描き方がもっときちんとされていれば、たとえば過去に失った女性たちを小説の題材にすることで食い物にしてきたと主人公が後悔するシーンなんかにも、それなりのリアリティと悲痛さが主人公の卑小さとつりあった形ではっきりし、ラストの展開ももっと馬鹿ばかしく感動できるものとして受け入れられたのではないか。
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カートの事について触れられてた部分に泣きそうになってしまった。
私の好きな某ギタリストがいつか「ヴィジュアルも終わり」と言ってた意味と同じ気がする。
…しかし、大麻はいけません(笑)
なにはともあれ、野ばらさんが戻ってきてくれた事が嬉しかった私。
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前半のテンポの良さが最後まで続かなかった印象をうけた。
完全にノンフィクションだったほうがおもしろかったかな。
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いやぁー
こんなに野ばらちゃんがNIRVANA好きとは思わんかった。
これは実話だと思って読んだけど、彼女は恐ろしくパンク。
実在して欲しいけどほんまにこんな子いるのでしょうかー?
これ読んで、ますます太宰治っぽく思えてきた。
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最初にニュースを見たときまず頭をよぎったのは、「まさか野ばらちゃんが!」ではなく「ああ、みっかっちゃったか」の一言でした。
だって病んでいるもの。
いや、それを肯定するわけでも否定するわけでもなく、ただ単に、真っ向からこの世界に立ち向かえるような人はあんな作品書けないし、憂いが無ければ「乙女」の心を鷲掴みにもしないから。
書籍化された彼の著作は全部拝読して、品名の挙がった服飾なんかは検索かけてみたりして、結果、今回は彼が手に取ったものがたまたま法に触れただけだって、感じました。なんというか、やったら格好いいだろうとか、やったら犯罪だけど興味あるし捕まったら捕まったでいいや、みたいな余計な雑念無く。
だから、ただでさえ誤解受けやすい感じなのに、ここぞとばかりに、ありきたりだけどマスコミなんかに面白おかしく取り上げられるのが嫌だったなぁ。
本の内容としては、逮捕された後とか普段中々触れないリアルが見えて面白かった、ってしておこうかな、とりあえず。どうでもいいけどこれが真実だったとして、発表後にまた警察とかに追及されるようなこと無いのかな?杞憂か?
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拘置所の描写が詳しい…。
なんか生々しいなぁ。
テレビで報道されてたとき、私も「ボーダーの服着てる…これじゃホントに囚人じゃん」と思った。
野ばらんもそう思ってたのね(笑)
真似はしないけど、嶽本野ばらは大好きなので読み続けます。
前は熱狂的に好きだったけど、今は落ち着いて好き。
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嶽本野ばらの本の登場人物って、すごくメルヘンで逃避思考に見えて
実は結構現実であがく道を選んでいるよな、と 何作めかのこの本で初めて気づいた。
取り調べの理不尽さに腹が立つ。実体験をもとにしているのでしょうか。
どれぐらい脚色があるのかが知りたい。
薬物自体がどうこうではなく、「愛する人を悲しませる」から薬物はダメというのが
すごく らしいな、と思いました。
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ある日、新宿をひとりで歩いていた小説家の「僕」は警官に呼び止められ、大麻所持の現行犯で逮捕される。
それから執拗な尋問、家宅捜索、過酷な留置所での生活が始まった。
しかし、僕にとって何よりも辛かったのは、最愛の恋人・あいとの連絡が全くとれなくなってしまったことだった。
ストリップ嬢のあいと僕は運命的に出会い、お互いの唯一の理解者として、純粋な愛を育んでいた。だが、ようやく釈放されて、彼女と再会した僕を待ち受けていたのは、さらなる悲劇だった。
乙女のカリスマ、嶽本野ばらの復帰作。
留置所での描写がすごく鮮明。
「ボーダーの服着てる…これじゃホントに囚人じゃん」 くすくす
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作者の嶽本野ばらさんは大麻所持で逮捕され、大きく報道された。その実際に起きた事件を題材にして書かれた本。このひとの本に出てくるブランド、歌手、街などはほとんどが実在するので、凄く現実的。だけどこの本のお話は自分とは離れた世界だし、共感する部分は少ない。だから面白いのだと思う。自分には有り得ないこと、だけど現実には有り得る。誰かの人生をのぞいている気持ちになる。
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復帰後第1作まさか題がタイマだなんて、野ばらやるなぁと笑ってしまった。
内容は、今までのような切羽詰ってる感じがないような感じがして、あまり好きになれず。
もっと気持ち悪いぐらいが野ばらっぽいのになー