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山本周五郎探偵小説全集 別巻 時代伝奇小説 みんなのレビュー

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紙の本

最も楽しかった「悪龍窟秘譚」について、未完であることを編者の末國は、これは周五郎の意図通りで、ここで終るのが正しい、としていますが、その証拠が「伝奇小説は未完が多い」というだけなのはあまりに乱暴でしょう

2008/08/16 17:53

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

今回の別巻を入れれば、全7巻となる山本周五郎探偵小説全集が出揃いました。単行本未収録作品を中心に編まれていますので、他の全集に収められ、文庫本でも入手容易な『寝ぼけ署長』などは入っていません。ということで若き周五郎が「少年少女譚海」に発表したままになっていた児童小説が中心となり、それはこの『時代伝奇小説』でも変わりません。

ただし、巻末の末國善己の編者解説を読むと、この巻に限っては、1970年代に雑誌「幻影城」に再録、その後『山本周五郎全集未収録作品集』『山本周五郎 慕情物語選』などに収められたといった作品が多く、単行本初収録というのは「斬奸必殺陣」「南海日本城」の二篇のみということになります。

とはいえ、私が知る周五郎作品とは趣が異なるため、楽しみましたし、なにより小川惟久の装幀が素敵でした。何度か書きましたが、数ある作品社の本の中でも最上のブックデザインではないか、そう思っています。それと出版予告がきちっと守られていたのも嬉しい限り。読書予定がきちんと立ちました。

で、もっとも楽しんだ作品はといえば「悪龍窟秘譚」です。一読、だれもが『南総里見八犬伝』を思い浮かべる筈ですが、それだけではありません。さあ、これからドーナル、といったところで終っているのは、なんとも残念至極です。編者の末國は、これは周五郎の意図通りで、未完ではなく、ここで終るのが正しい、としていますが、正直、そういった記録でもない限り、あまりにテキトーな発言ではないでしょうか。

伝奇小説の多くが壮大な展開のために収拾がつかなくなり、未完のものが多いことは事実ですし、物語が小さくまとまるよりは想像力を書きたてたままの作品に傑作が多い、とは半村良も言っているところ。とはいえ、最初からまとめる気がなく話を書き始めるというのはプロではないわけで、やはり理由が合って書き継ぐのを止めたとするほうが素直でしょう。

読みながら何度も疑問が湧き、最後に話が解決しても釈然としないのが「歔欷く仁王像」でしょう。なにが、とは書きませんが末國がなぜそれに言及しないのか、フシギでなりません。是非、ご自分で読んで確認してみてください。ま、そういう展開にしなければ、話にならないのは事実ですが、逆にそういう展開にしたから話にならなくなったともいえて、もっとうまくまとめて欲しかったと思います。

そういう意味では「南海日本城」に登場する「百合っぺ」も哀れです。確かに、結ばれるべき人は他にいる、というのは分らないではありませんが、じゃあ晋策がどれほどのものかといえば、人間的にも未熟。女の色香にフラフラするところも、可愛いというよりは愚かなわけで、総じて「海の狼」の存在感が際立っていた、といえそうです。

◆小法師の勝ちだ(「少年少女譚海」1930年2月):徳川家茂将軍宣下の祝賀のために米国総領事ハルリスから献上された宝石が、何者かによって奪われた。宝を預かっていた伊井掃部頭直弼は・・・

◆怪異生首の辻(「少年少女譚海」1930年6月):生首の辻でまたまた殺人が。殺された男が残した「一つ眼の生首が・・・」という言葉。岡引の息子・ばか弥太は・・・

◆斬奸必殺陣(「少年少女譚海」1932年3~4月):安永三年三月三日、京橋にある剣道指南・櫛淵弥兵衛方を襲う狼藉者。父から託された手箱を片沼公に渡すため弥十郎と早苗の二人は・・・

◆誉の競矢(「少年少女譚海」1935年12月):若き伊達政宗の前で競われる弓、次郎七に挑むのは父親の汚名をそそごうとする娘・小菊。父親敗退の真相は・・・

◆鳥刺おくめ(「少女倶楽部」1937年5月):国家老・池田三左衛門のもとに、殿様のご落胤と称する若者が証拠の品を携えて現れた。男勝りの少女・鳥刺おくめは三左衛門に十日待ってというが・・・

◆歔欷く仁王像(「少女倶楽部」1938年6月):隠れん坊をしている最中、頭の打ち所が悪かったのか清吉は口も満足に利けない身に。責任を感じるお通だが、骨董商の父親の身の上にはもっと大きな災難が・・・

◆和蘭人形(「少女倶楽部」1938年10月増刊号):寛文十一年、危篤の床にある金森飛騨守頼宗は、遺言書を板倉内膳に届けることを高村数馬に命じる。使命の重大さを感じた数馬は妹の千草の部屋を訪れ・・・

◆身代り金之助(「少女倶楽部」1939年2月):主人の慶太郎の嫉妬を交えた仕打ちにひたすら耐える金之助だが、ついに我慢が出来ずに一人京都に旅立つ。その途上、馬上の武士の言葉を聞いて・・・

◆悪龍窟秘譚(「少年少女譚海」1932年6月~1933年2月):武田勝頼死す。お家再興の鍵を握る褐姫に秘物を届けることをいいつかった鬼之とらい介、そして武田家由来の若者たち、彼らの前に立ちふさがる魔物・・・

◆南海日本城(「少年少女譚海」1937年9月~12月):左沼家を放逐された秋津晋策は、主家の改易を知る。老中・阿部飛騨守を誘拐した海賊「海の狼」の船に乗ることになった晋介は、そこで左沼の野望を知るが・・・

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