紙の本
テキストを通しての「つながり」
2008/12/14 01:06
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
石井ゆかりさんは、
「星占い等テキストコンテンツサイト筋トレ」の主宰ですが、
この本は、タイトルにもあるように、「星占い」ではありません。
この本のテキストの大部分は、
ブログ「石井NP日記」を大幅改稿したものです。
著者は、占いのテキストも長めだけれども、
ブログに紡ぎ出すテキストも、やはり長いのです。
そして、それにまた大量のコメントがつくのです。
著者は、この本のタイトルに「ラブレター」という言葉を使ったわけを、
あとがきに書いています。
占いを書いてきた経験から、読み手と書き手が
1対1になるような手紙のような感覚が
そのままブログにも浸透していたといいます。
たくさんのコメントやメールがついたのも
それを読者が感じ取ったからだろうと。
日記という名前の書簡集が「石井NP日記」という気がすると。
『星なしでラブレターを』は、
51本のテキストと番外編で構成されています。
石井さんの書くものは、大量のテキストです。
サイト上の占いは、それのみでどんどん展開されていきますが、
本になるときは、イラストや写真と組み合わされていることが多いです。
今回の相田諒二さんの写真との組み合わせも
不思議な世界を作り出しています。
テキストと写真がそれぞれ独立しているけれど、
組み合わせてできた世界でもあるというような。
占いのテキストを読むときも同じなのですが、
彼女のテキストは、どこかがまるで心臓をつかむように
すっと入ってくるときがあります。
それはおそらく、私もどこかで思っていたり、
感じていたり、願っていたりするようなことが、
深く切実な言葉でテキストになっているという感覚に近いです。
「きっかけがあって、それを受け取って育てて、結果が作られる。
ふとした出会いがあって、それを育てて、つながりや絆ができあがる。
つながりや絆ができたとき、人々は最初の「ふとした出会い」の
何気なさを思い起こして、「縁」という言葉を使う。
だけど、出会っても、そこを何度も往復しなければ、
それは「つながり」にはならない。
そして、最初から「往復することが決まっている」道など、多分、ない。
往復を重ねるかどうかは、その人が選択するのだ。」
「縁 (p.24)」より
これは、本を通しての、著者と読者の交流も含まれていると思うのです。
ということで、この著者と私はつながりがあるのだと、
勝手に言ってしまうことにします。
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占い師の石井ゆかりさんと写真家の相田 諒二さんのコラボ作品。
写真1枚につき、1つの短いエッセイというか、お話がのっています。
私自身、占いを信じてるかといわれれば「わらかない」けれども、石井ゆかりさんの言葉は、彼女自身が思考して、ぐるぐるした結果生み出された言葉なんだろうなと思う。とても向き合っている感の強い思いが出ている。
印象に残ったのは「世の中には果たされた約束と、果たされなかった約束がある」(少しうろ覚え)というもの。
自分自身が果たそうと思っていたとしても、相手にとっては果たされなかった約束はたくさんあるんだろうなぁと思う。
また読み直したいなぁ。
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51のエッセイ。
世の中の誰かにむけて書くんじゃなくて、特定のあの人にむけて書いた方が、多くの人に届くのかもしれない。
今の自分に届いたラブレターは、「約束」「心配」「才能」「集中」「おかえりなさい」。違う日に見れば、また違うラブレターを受け取るに違いない。
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深いところに優しさとあたたかさを感じるけれども、甘くはないエッセイ。
この本を読みながら、心の中で感じていた状況に言葉が与えられていくような感覚を味わいました。
「「理解できない」というのは、コミュニケーションの断絶である」とか、
「人の心の中には、その人なりの「正しさ」が存在する」とか、
「怖さを抱えたままその怖い場所に踏み出したときだけ、怖さがなくなる」とか。
書きとめたい言葉が多すぎて、書ききれなくて、何回も何回も、読み返していく本になりそうです。
時には自戒も込めて。
人の可能性を信じること、人を応援していくことの深さを感じました。
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タイミングが本人の予想通り、期待以上にかちかち噛み合っている時は「限界超え」は起こらない。
自分の手で自分の限界を広げることが必要なとき、
すべてのタイミングは、ずれるのだ。
そのタイミングのズレこそが、タイミング、なんだろう。
すごくドキリとした。
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いちいち痛くて身につまされてたまらないわけです。
きちんの腹に落ちない部分もあるんだけど、これは近くに置いて寝かせてまた読みたいなぁと思った。
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一つ目に収録の「孤独」の文章にズドン!胸を射抜かれました。
「恐怖心と闘うのは至難の業だけど、それをして、思い切り手を伸ばすとき、なにかはわからないけど、なにかが掴めるんだ。
掴めるものは、望んだものではないかもしれないけど、でも少なくとも、恐怖心の中でイメージしたみたいに、伸ばした手首をばっさり切り落とされたりは、しないんだ。」
石井さんの占いは、占いということ以上に文章のセンスに惹かれて楽しみにしてる。センスというか、愛情にあふれた文章を書く方だなと。誰も触れなかった自分の内側にそっと触れてくる文章。占い抜きでも、心を楽に、というか、変な緊張を解いてくれる効果があります。
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非難 という題のページは、私もそんな時期があったし、あのこも…といえる内容だった。石井ゆかりさんの書く文章はすごく感覚的なものを文字にしてるからか、自分の中にストンと入ってくる。
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石井ゆかりさんの、人間肯定感(っていうのかな)の力強さっていいな。限りなく繊細なんだけど、同時にどっかりとした大きな山のよう。時に、ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」がそういう内容の歌だったとは初めて知りました。
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厚いのでちょっともったり感があります。内容は濃くて面白い部分もありますが、個人的に興味のない話題もあったため後半みるのが辛かったです。
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石井さんの星占いはあなたは運がいいとか悪いとかではなく心の持ちようを教えてくれる。このエッセイも変に説教くさいアドバイスではなく、人の心について考えさせてくれました。写真も素晴らしくてすごく心地いい本でした。
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人は、自分の仕事、あるいは趣味としてやっていることを説明するときに、何かの言葉を使いたがる。
ライター、教育者、通訳、などなど。
どんな言葉で自分を説明づけたらいいのだろうと、迷う人も、きっと少なくない。
ライターとしてちゃんとしなきゃ、教育者として、通訳として。
石井ゆかりさんは、違う。
占星術師と呼ぶ人、ライターと呼ぶ人、などなど、いるかもしれない。便宜的に。でも、ゆかりさんはそういったものを、さらりと超えてします。石井ゆかりである、ということさえ、さらりと、通り抜けていく。
透明にする力を持っているのが、ゆかりさんなのだ。
何になるでもなく、他の誰でもない私という個性の主張でもなく。
そんなゆかりさんの魅力の片鱗を知る、おすすめの一冊。
星なしでかいた、とても特別な、最初の一冊だから。
もし、石井ゆかりさんのこと、気になって、知りたくなったら、是非、是非、触れて欲しい一冊だと思う。
本のカバーを外したさきに記された、秘密のメッセージも含めて。
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悲しいことが、なんなのか、
読んでいるうちに輪郭を現してくれます。
今回は”石井ゆかり推し”で」と言いながら、
尾崎さん(札幌ブックコーディネート)がダンボールを抱えて、入ってきたときの「???」な心境ったら。
星占いのカリスマ、石井ゆかり。
「根性論」派としては、「占い」とほとんど
無縁な生活なため、初めて耳にするお名前でした。
その後、仕事関係で、必要に迫られて数冊読んだものの、
これといって、心に波風は立ちませんでした。
でもこれは、圧倒的に別格。
軽んじてました、石井ゆかりさんを。
江國香織さんの空気感と
桜井和寿さんの混沌表現が合わさった感じ。
そして、言葉のセレクトがパーフェクト。
伝わりますかね、この説明で。
特段、励ましてくれてる内容でもないし、
落ちまくってるときに読んだら、かなり強烈で
さめざめと泣いちゃうに決まってる。
なんでしょう、この寄り添ってくれてる感。
ちょっと肌寒くなってくる、秋の読書にピッタリですよ。
星なしで、ラブレターを/石井ゆかり
*札幌ブックコーディネート 尾崎実帆子さんの本棚より
ー
たしかにあったはずのものが失われる、ということは、
とても苦しい。手の中にあるものを「失うかもしれない」と想像するだけでも、充分苦しい。
人は飽きるし、嘘をつくし、心を変えるし、忘れるし、
矛盾した感情を同時に持ち、考えはあやふやで、命は限られていて、環境に揉まれ、まるで安定なんかしない。
「はじめからなにもないから、一切がなくならない」ということもまた、安心なはずなのにそれだけで、人の心を凍傷にする。
恐怖心と闘うのは至難の業だけど、それをして、
思い切り手を伸ばすとき、なにかはわからないけど、なにかが掴めるんだ。
掴めるものは、望んだものではないかもしれないけれど、
でも少なくとも、恐怖心の中でイメージしたみたいに、伸ばした手首をばっさり切り落とされたりは、しないんだ。
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石井ゆかりさんの占いが好きだ。
他の占い師さんなら、ネガティヴに書くようなことも、必ず未来に道を示すような文書になる。
この本を読み始めた時、難しいと感じた。
哲学的だなと。
一瞬、読むのを諦めようかと思ったが、読みススメていくうちに、パズルのピースがはまるように、しっくりくる内容と出会う。
それを理解したら、今まで難しいと感じていたことまでが、「ああ、これのことを言っていたのか」と、ストーンと落ちた。
エッセイ。というよりは、詩に近い印象を受ける。
読み終わった後は、ほんの少しかもしれないけれど、目線が変わる。
もちろん、変われない目線も存在する。
それらをひっくるめて自分なんだと思う。
そんな時間を与えてくれる本。