紙の本
言葉のシールはあなたのすべてを表すものではない
2008/10/27 00:36
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブライアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
石田衣良さんがR25に連載しているコラムをまとめた新書で、1つ1つのコラムが短いので電車に乗っている間など細切れ時間に読むのに最適です。
内容としては2006~2008年の時事的な話題から石田さんが注視する雇用や格差の問題、そこから派生する人間社会の在り方を描いています。といっても上から目線というよりは働き詰めなR25世代を心配する良き兄貴分みたいな論調で、ときには客観的にR25世代が置かれている立場を俯瞰するような、ときには自身の経験を織り込みながら、読んでいるうちに励まされているような気分になる本です。
個人的に参考になったのが、「究極の難問、先輩後輩」のコラムです。一般的には地位も権力もある先輩寄りになってしまいがちなところを、敢えて後輩の味方をしよう、とR25世代に呼びかける内容で、それこそが“情けは人の為ならず”いずれ自分自身が歩いていく道を造っていくと説いています。
傷つきやすくなった世界は、「格差」や「勝ち組負け組」といった昔はなかった言葉の出現によって、我々の潜在意識にあった劣等感や自意識が顕在化したものと言えます。でもそんな言葉のシールはあなたのすべてを表すものではない、そんな著者の励ましが背中を押してくれる好著です。
I
心まで格差をつけないで
「でも」の年
世界を切り取ろう
迷う力のすばらしさ
ラブ・キャンペーン
「いやらしい」を表現しよう
植物化する男たち
青いランドセル
II
新しい人よ、きたれ
究極の難問、先輩後輩
残業大国ニッポン
残業禁止法、制定
ユニクロの勇気
社長、それはないよ
大転職時代をひかえて
今目の前にある貧困
心のタフネス
III
怒りのネンキン
産む機械、はたらく機械
選挙にGO!
ミステリー辞任、KY辞任
猛暑の星
M氏の過失
靖国参拝に未来はあるか
ケンポー・パッシング
子どもマーケットの奴隷たち
IV
エッセイって、なに
カメラマンデビューの日
日本代表は日本人
牛丼マイウェイ
ハイテク買い物天国、ニッポン
熱狂の日の子どもたち
大人になったら音楽を聞こう
ハイヤーの趣味人
V
ようこそ先輩
大人の真剣な遊び、下北サンデーズ
インタビュワーを、インタビューする
地方発の文学賞
女子アナ的世界
作家と遊ぼう 推協60周年イベント
10年に一度の、作家祭り
今年は「できません」
新しい街、新しい生活
ネットを遠く離れて
VI
絶対おかしい
今年を代表する1字
てのひら返しのアップ&ダウン
知らなくていいこと
ハートをつなごう
いじめられているきみへ
傷つきやすくなった世界で
紙の本
冷たい風が吹き荒れる社会を動かす力はどこにある
2008/08/17 08:40
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:未来自由 - この投稿者のレビュー一覧を見る
石田衣良が格差や貧困問題で発言を続けていることを聞いていたが、これまで著者の本を手に取ることはなかった。はじめて手にした本がこの『傷つきやすくなった世界で』だ。
いま、格差や貧困といっても、本当にその実態に気づき心痛めている人と、言葉ではわかっていてもこれほど酷い状況だとは気づいていない人との「格差」はあまりにも大きい。「格差と貧困」の実態を理解すること自体にさえ「格差」があるという社会というのが、今の現実なのだ。
「『池袋ウエストゲートパーク』の新作を書くために資料を読んでいて、衝撃の事実に出会った。今、ぼくたちの目の前にある貧しさである。ネットカェ難民と呼ばれる若者たちの状況に驚愕したのだ。それは状況などというニュースの言葉より、落とし穴とか罠と呼んだほうが正確な脱出困難で絶望的な生きかただった」
「働く意欲があって、毎日仕事をしているのに、住所不定で健康保険もない希望ゼロの生活を送る。そんな若者が大都市のターミナル駅周辺にはたくさんいる。多くは普通のファッションをした、外見からは難民だとわからないワンコールワーカーだ。これが世界有数の経済大国の姿なのだろうか。ぼくたちの目のまえにある貧困を、もう一度考え直す時期にきたのではないか」
働いても働いても希望が持てない。明日の生活費さえどうなるかわからない。そんな若者がいったいどれくらいいることだろうか。非正規労働者は全労働者の3人に1人、年収200万円以下の労働者は4人に1人なのだ。
そんな実態を知るに付け、心がズキズキと痛んでくる。本書を読んでいてもズキズキ痛む箇所があった。なんとかならないのか。なんとかしたい。そんな強い思いが身体中を駆け巡る。
いま、立ち上がっている人もいる。しかし、それは圧倒的少数だ。本当はすべての労働者・国民がこの現実を直視し、声をあげ、現実をかえるために力を合わせるべきなのだ。しかし、しかし、これだけ社会問題になっても、まだまだ根本的な解決への運動にはなっていない。ぜひ、みんなが声をあげて欲しいと思う。
著者の現実を直視し、エールを送る姿勢は素晴らしいと思う。でも、何かが足りない。本書の帯には「痛みに耐える力が、あなたに湧いてきますように。」とあるが、「痛みに耐える力」でなく、「痛み」の元をなくすことこそ必要なのだ。その力は私たちひとりひとりの力を寄せることだ。ひとりひとりの力は小さくても、まとまれば大きな力になる。いま必要なことはこの力を集め、現実を変えることだ。
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発売日に行ったのに横浜の丸善で見つけられなかったのです。
で、久々に紀伊國屋まで足を延ばして無事購入。
「R25」で石田さんが持っている連載コラムをまとめたもの。
端々に素敵な事が書いてあります♪流石です。
これを読んで沢山勇気と元気と心の余裕を貰いました。
このくらい柔軟に物事を考えられる大人になりたいですね。
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いつだって興味深い視点を提供してくれる。
素晴らしい発想と着眼。
こどもの年齢の変化に
ゆるやかな時の流れを感じた。
うん、おもしろかった。
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石田衣良の作品はあまり読みませんが、テレビ出演時のコメントなどは好きなので、買ってみました。ら、思った以上に素敵な方で、すごく好きになりました。
こういう大人がいてくれるということに、まだまだ日本も捨てたもんじゃないな、と思えます。「自分の思った道が正しい」なんて、普通に言われたら「綺麗事だ」と思ってしまうのに、石田衣良に言われると素直に納得してしまう。笑 迷っていた心が少しだけ、楽になった気がしました。
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「R25」で石田衣良が連載するエッセイ「空は、今日も、青いか?」に掲載されたものに加え、いくつか書き下ろされたエッセイも載せられたエッセイ集。
決して「こうすれば楽になるよ」といった心理的なものではなく、ただ筆者が、現代が抱える様々な問題に意見を述べたり、こう考えていきゃいいんだよみたいなほんの少しのメッセージを送るような本。僕はこの本を読んで、改めて小説家がカバーしている領域の広さに驚いた(少し観点がずれているが)。
僕はまだ生きてきた年月は短いし、昔何があったなんてわかんないけど、マスコミが騒ぎ立てるほど「ここ数年でおかしくなってしまった」とは思わない。きっと今ある問題の半分以上は昔からずっとあったはずだ。それがネットの普及やマスコミの過剰報道によって広まってしまったがために、ほとんどの問題がここ最近発生したように感じられているのではないか。そういった中で僕も含み、傷つきやすくなった世界を生きる人たちにほんの少しのエールを送るような、そんなエッセイ集である。1つ1つのエッセイはかなり短いので、さらりと読める本だと思う。
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R25連載をまとめた本。石田さんはやはり小説が読みたいですね。図書館予約数は17(08/06/28現在)です。
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会社の先輩に貸してもらった本。
前から本屋さんで気になっていました。
R25連載をまとめたということで、1つひとつの章が
短くてとても読みやすかったです。
この本もうなずくことがたくさんありました。
石田さんは自分のことをよく知っていて、
自分らしく生きている。
素敵な人だなと感じました。
他の作品も読んでみたくなりました。
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19時台のバラエティを見ていたら、石田衣良が出ていて(そして完全に空気で)、 「この人けっこういい声してるんだなぁ」とか思いつつ、夕食後になんとなくこの本を読み返していたら、
21時台の臨時番組で福田首相が辞意を表明していて、びっくりしました。
だってこの本に、安倍さんが辞めたときの話があって(「ミステリー辞任、KY辞任」)、「日本の首相はよほどつらい仕事なんだろうな」とか、総裁選どうなるんだろうね、とか、読んだばっかりだったから。
福田さんも、こんな風にとつぜん辞めるって言いだしちゃって。
話を聞いていたら、なんか与野党のすごいしがらみがいっぱいあるんだろうなということはわかった。総理大臣が中間管理職みたいで泣ける。
小泉さんの自分大好きパワーってすごかったんだなぁ。
本題。
この本は、石田衣良がフリーマガジンのR25で連載していたエッセイをまとめたものの第2弾。ちなみに第1弾は読んでません。
ちょっと前のことになるけど、石田衣良が、真白で整頓された生活感のまるでない仕事場をバックに、厭味じゃない程度におしゃれな服装で、シャネルスポーツJ12のホワイト(しかもダイヤベゼル)を身につけて取材に応じている写真を見た時に、「年甲斐もなくミーハー趣味だなあ。ちやほやされてんなあ」と胡散臭く思ったものです。
だいぶ昔にもこの人のインタビューをみたことがあるけど、木目の本棚をバックに、すごい変な柄のシャツ着てて、ちやほやはされてたけど、そんときは好印象だったのに。シャツの柄がすごい変だったから。
で、件のシャネルスポーツJ12ホワイト以来はじめて手に取った石田衣良の本がこれ。「格差社会、勝ち組負け組、ネットカフェ難民、サービス残業、いじめ――厳しさを増し、ナイーブになった世界を生きる若い世代へ、人気作家が贈る優しく力強いメッセージ」という触れ込み。このむずむずする胡散臭さがたまらなくて!
でも通して読んでみたら、思ったほどやな感じがしなかったです。あれ?
石田衣良という人は、優しいっていうか、根本的にはイイヒトなんだろうなあと思いました。マイペースっぽい気にしぃじゃないの?この人。
石田衣良のファッションとか、すごいきれいな仕事場とか、本人のミーハー趣味とか自己顕示欲ももちろんあるんだろうけど、流行作家のアイコンになろうとしてるのかなあとも思う。文学に興味のない層に対しても何か発信しようとして、自己をトータルプロデュースっていうか形から入るっていうか。きっかけは何でもいいから、興味持ってもらいたいのかと。
あれほどの数の取材とメディア露出をこなそうと思ったら、首相なみにお忙しいでしょうに、こつこつがんばっているのは、本人の言う「恩返し」のためだけじゃなくて、有名人になって、いろんな人に何かを伝えるっていう使命感みたいなのを持ってるからなのかなと思った。
若者を啓蒙する使命感に燃えるイイヒト、親切なヒト、という印象をうけました。そういう自分のことが好きなんだろうな。。(数作、小説を読んだことがあるのと、この本1冊だけで、何がわかるんだって話ですが)
そんな著者によって、この本はとても親切に書かれています。
日常を語るエッセイはいかにもブログ風。流行作家も一般人という主張をしゃれた言葉に乗せて。
あいまに扱われる難しい話題も、軽妙な語り口ですらすら読ませるし、一見わかりやすい。楽しい、おもしろい。おしつけがましくない程度に、著者の意見も述べられている。正論かどうかはさておいて、一見正論っぽい。
しかしこれに右にならえではあまりにお粗末で、話題にのぼっていることがらについては自分で考えなくちゃいけないことばかりなのだけど、
とはいえこの本が、今まで考えたことのなかった何かを考えるきっかけになるかもしれない。たくさんの人がこの本を手に取れば、たくさんの人が何かを考えるきっかけを手にするということなのか。
流行作家・石田衣良が書く意味。
やらない善よりやる偽善。
石田衣良の牛丼の「たべかた」に驚いた。辛さで牛丼の味がわからなくなりそうだ。
最後に。
「やわらかい」「やわらかな」という、ひらがなの言葉を多用が気になる。「たべかた」もそうだけど。
本の最後に挿まれたレースのカーテンの写真、あれって「やわらかい」の象徴のように感じたのだけど、考えすぎでしょうか。光をほんのり遮る、「やわらか」そうな布。部屋に差し込む光は「やわらかい」。
「やわらかい」と言うのは一言だけど、ではたとえば頻出の「やわらかい」心というのはどういうものを指すか?
柔軟性?弾力性?応用力?適応力?
それっぽいイメージはある。だけど確固たる形をもたない。
そういう言葉づかいが、はたして「わかりやすい」と言えるのかどうか。考えなくては。
★
誰かのもっともなアドバイスがいくらただしく、経済的に有利でも、生きている当人の考えや気もちほどの重さ、真剣さはないのだ。
誰かを実際にそうである以上に過大評価したり、あるいはそうであるより遥かしたに過少評価したりする。それは評価する側の未成熟のあらわれでしかない。その評価の振幅にブレがあるほど、元から人を見る目がなかったのである。
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R25に掲載されているコラムをまとめた一冊。
恋愛だったり、仕事についてだったり、現在の社会についてや筆者自身がいま感じていることを、R25世代(現代の若者)に投げかけている本。
僕は大変励まされました。恋愛とか仕事のこととか。頑張ります!!
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考えさせられた一冊でした。
自分に張られたシール。ファイルに分類された自分から、負けずに
変化していく自分を、あきらめることなく未知の可能性を追うことは、
そう簡単なことではないから。
。
痛みに、耐える力があなたにも沸いてきますように。
本当に、そう思います。
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石田氏がWEB上で連載しているコラムの単子本化。石田氏自身の価値観や感性がもろに出ていて、読み終わった後はまるで石田氏と会話をしたかのような気分でした。ちょっと本の値段が高かったので、−☆
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『R25』に掲載されていたコラムをまとめたもの。
ターゲットは若手ビジネスマンということで、内容もそういったものが多い。
石田衣良さん独特のやさしくてあったかな視線が感じられる一冊。
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様々な社会問題、社会現象にふれられ、それに対して
石田氏がコメントをしています。
私が共感できたのは、やっぱり「残業禁止法」ですかね。
日本人って本当に働きすぎだと思います。
パリなんてバカンスでたっぷりお休みがありますよ笑。
お店だって、本当にすぐしまっちゃうし・・・。
儲ける気ゼロって感じで笑。
日本も全体でいっせいに「残業なし!」ってなったらいいですね♪
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重い題名とは裏腹に、内容はエッセイ風で読みやすい。ただし、本にするために書いたもんでないため、必然ですが内容はほかの新書よりは軽い。