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2009年より本格的に施行される
「教員免許更新制度」についてまとめられた一冊。
試行段階であり、日本では事例が乏しい中で、
ここまでまとめられた筆者の努力には敬意を表したい。
とりわけ、今後の議論のためにも
本書の前半で書かれているアメリカの更新制度は知っておいて損はない。
しかし、この書の記述の大半(特にQ&A,カリキュラム案)は
文部科学省のHPでもそれなりに確認できることである。
そのため、ないよりはマシだが、
不安を抱えているであろう現場の教員たちに
十分な知見を提示しきれていないのが現状ではないか。
例えば、
・現行の労働条件で教員免許の更新は可能か(時間的・金銭的な面で)。
・教員免許更新のための講習を誰が行うか。
・教員免許更新制における教員たちの意識・理解はどうなっているか。
・教員免許の更新により、不適格な状況はどのように改善されるのか。
・そもそも、教員免許更新制度の必要性は何か。
(想定されている「不適格教員」の実態はどうなっているのか)
こうした疑問に対する著者なりの見解を、
レビュアー自身は確認することができなかった。
重ねて、筆者の努力には敬意を表したい。
今後、より詳細に分析された著書が出版されることを切に願う。