紙の本
モームって、いいですね
2019/01/23 22:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
月と6ペンスという、モームの作品のタイトルと同じ名前の喫茶店が丸太町にある。会話禁止、パソコン禁止の静かな空間で素敵な時間を読書家にあたえてくれる。オーナーにどうして喫茶店の名前をこれにしたのかと聞いたことはないのだが、このモームの作品を読んでみると何となくわかったような気がする。ストリックランドという全く社交性のない偏屈で気ままな絵描き(タヒチを愛したという設定はもちろんゴーギャンがモデルだ)の姿に、あの静かな空間を創出した自分を重ね合わせているのではないかと勝手に想像している。モームは通俗的だと当時は批判されたということだが、通俗的で何が悪いのかさっぱりわからない。イギリスの作家は通俗的なのが売りではないのかと個人的には思っているほどだ
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40才を過ぎて、絵描きになることに取り憑かれ、妻子を捨てて、ただ自分の心の内の衝動を頼りに絵を描き続け、最後はタヒチにて畢生の大作を描き上げると同時に死を迎える天才画家。
ドラマチックな物語はベストセラーなのも納得。
ゴーギャンをヒントにした天才画家、彼の意志の強さと残酷さ、世間の愚かさと狡知。ロンドンからパリ、タヒチへと動く舞台。
何よりも、一作家である「私」が見聞きした天才画家という視点から描かれる芸術家像は、天才画家の内面の葛藤を知り得ないという設定故に、芸術に取り憑かれた人間の神秘性を増長する。
最後まで描かれた幻の最高傑作に思いを馳せずにはいられない。
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言わずと知れたゴーギャンをモデルにした小説。
ちなみにフィクションであるが故か、モデル本人のダメダメさ加減に比べたら主人公まだマトモ(私比)だと思う。
前半だけの話にはなるけど(しかも感想じゃないし、物語的にはそこじゃないんだけど)ストリックランドがストルーブ氏にかけた迷惑なんて、ゴーギャンがシュフネッケルにかけたはた迷惑を考えりゃ……お金の無心をされても、何度もお家に転がり込まれても、奥さん寝取られても、それでもゴーギャン見捨てられなかったシュフネッケルも大概あれだなぁというか。(もっとも「手紙を送らないシュフ」だの「家を飛び出すゴーギャン」だのと、ケンカは細々ときどき大々的に繰り返してるようだけどね)(つーかシュフが甘やかしたからあーなったんとちゃうのか?)
つまり事実は小説より奇なり(自己完結)
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最初から最後まで全部ゴーギャンをありのままに書いていると勘違いして、心底最悪な人だわー、と思っていたのだけど、そういう訳でもないようです。あくまでも作者の創作。
様々な芸術家とそのまわりの人々それぞれの特徴が、これぞ人間それぞれの個性かな、実際居るだろうなーこういう人、と感じさせる描写です。
(いたら絶対友達になりたくない人物も多々居ますが。)
主人公のストリックランドは本当に社会の一要素として信じられない位最低な人間だけど、やはりそこまでいくか!というほど自分勝手な芸術家って、かっこいいな、と思えてしまう。
こんなに次々ページを捲りたくなる作品だと思わなかった。
あーあ面白かった・ω・
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夭折の画家ゴーギャンをモチーフに、その破天荒な生と彼に振り回される人々の愛憎を描くモームの大衆小説の傑作。今年光文社古典新訳文庫が出たので十数年ぶりに読んでみたら、やっぱり面白かった。小説とはこういうもんだというのがわかる一作。オススメ。
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タイトルにセンスを感じる。
芸術家はこんなもの?ところどころ挟まるテツガク。
タヒチという運命の土地について、女について
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作中の女性観は読むのを断念したくなる程堪え難かったのですが時代が時代だよね、っていうのとモームはゲイだし…っていうので乗り切りました。
今まであまり意識してゴーギャンの絵を見ることはなかったのですがこれからゴーギャンの絵を見るたびにきっとこの小説を思い出すと思う、そんな感じ。やっぱりなにごとにおいても背景知識は重要だなぁと実感。
新訳が異常に読みやすかった。この小説はこの程度のあっさりめの訳で読んで正解かなぁーあんまり重い訳だと話が話だけに…
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勝手に詩だと思ってました。普通の小説だったのね。
割と名作と言われてるので、とりあえず読んだら思ったより面白くてビックリ。
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人間の生き方とか、幸せとか。
ストリックランドという画家の壮絶な生き方を描いた小説。どちらかと言えばよくありそうな話だけど、表現や作風が好き。
モームってゲイなの?バイなの?
他作品も読みたい。
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実は読む前はあまり期待してなかったんだけど
面白かった。
モームの他の作品も読んでみたいなぁ~って思いました。
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購入した本。
読み方によっては、タヒチの素晴らしさ紹介とも。
面白くないわけではないのだけれど、心を揺さぶられるって
ほどでもなかった。
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あんたらがナニモノかなんてあんたらのしてきたことをみりゃ猿でも分かるぜ。
だがな、そんなことはもうどうでもいい。
一体全体、あんたらはこれからどこへ行こうとしてるんだい?
2009/12/24
ゴーギャン展が終わってから読み始め、中座して、年末に一気に読む。
モームの小説は古びていない。
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少し前に読んだ本だが、猛烈に印象が残っている。
本書は19世紀に生存した画家、ゴーギャンをモデルとした作品である。ゴーギャン自体、私自身はあまり詳しくないがどうやら只者ではなったらしい。只者ではなかったとはつまり、かなりの変わり者だとか、気違いだとか、そういった意味においてである。
この物語内でもかなりの部分、大変な代わり者の気違い男として描かれている。証券マンとして安定した収入と温かい家庭を突如として捨て、ボロ雑巾のように心の中にある何かを求めて絵を描いて生きる、彼の姿は多くの人の共感を得られるものではないだろう。ましてや結果的に彼の絵が評価される頃にはもう、彼はこの世にいない。
しかし、彼は周りの視線や評価に対しては微塵も興味がなく、ただひたすらに自分自身の内なる声に忠実に生きるのである。それと対照的に彼の妻やその他大勢(これは現代の私たちの大半もそうだが)は何かを基準となるモデルに沿ったりそのコピーとして、自分自身の人格や人生を形作って、謂わば自分の物語を何かからデザインして生きている、ように思う。
つまり、ゴーギャンが正真正銘「自分自身を生きる」を実践していることに、猛烈な印象というか、刺激を受けるのだと思う。常人にはこのような生き方はとても困難であろうし、彼自身が幸せだったかどうかもわからない。
しかしながら何事かに煩わされず自分の信念だけを持って形振りかまわず生きる姿に、見習うべきことがあると思わずにはいられないのである。
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いやー面白かった。
一気に読めた。
芸術家の理想って、こういう生き方だと思う。こうじゃなかったら嘘だ。ここまでは目指せんでも、こういう姿勢を皆、目指すんじゃないか?
芸術は、名誉とか金とか社会一般のモラルなどから人を解放していく作業。
生き方がこうじゃなかったら、やっぱり似非だ。
主人公のストリックランドはとても非情で、地獄行き間違いなしの人物でありながら、それでもどこか心惹かれる。
心の中の欺瞞を徹底して排除している人間だから、普段少なからず心に嘘を持ちながら生きている人間からしたら、う~む、と唸ってしまう気持ちが湧いてくるんだな。
不思議だ。ストリックランドは偶然、本作の中では奇跡的な才能の持ち主であったために、周囲の人々から憎まれながらも助けられた。
しかし、彼は例え誰も、彼を認めず放置しておいても、決して媚びたりせずに無名の闇に消えていったんだろう。何も文句も言わずに。
異常なまでの信念に取り憑かれて、最後まで飼いならされない情熱を胸に抱き続けた芸術家、俺は憧れるなあ。
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新訳だったからか、とても読みやすかった。
やっぱり偉大と言われる芸術家は、この作中のストリックランドのように魂を捧げるようにして作品製作に取り組むのだろうか。
ただ、天才と言われる芸術家は変わり者で、作品製作のことしか頭になく、生活は貧しい、といったありきたりな設定がちょっとどうかと思う。
作品としては、1人の芸術家の人生を追っていく小説として面白いと思う。