紙の本
こんな現実があるということ
2008/07/24 01:34
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポムポム - この投稿者のレビュー一覧を見る
今週読んだ本の中で、これはかなり興味深いものでした。
2003年にフランスで刊行されてすぐベストセラーになったノンフィクション。
この本の表紙を飾る、仮面の女性が著者のスアドさんです。
この仮面の女性”スアド”が生まれた村では、女性は日々奴隷のように働き、学校にも行けず、ひたすら男性に服従し、男性と視線を交わしただけで娼婦呼ばわりされます。
結婚前の恋愛・性交渉は家族の恥であり、名誉を汚した娘は死を持って償わねばならず、名誉の為に娘を殺す行為は「名誉の殺人」と言われます。
しかもこの村では、犯人は賞賛されてこそ、非難される事はないのです。
そして、このスアドさんは、17歳の時恋をし、妊娠してしまったことで、家族に頭からガソリンをかけられ、火あぶりにされました。
重度の火傷を負いながら、奇跡的に救出され現在はヨーロッパで第二の人生を歩んでいます。
ちなみに、スアドさんが火あぶりにされたのは1970年代。
現在も、この因習は続いていて、年間6000人以上の少女が、家族の手で殺されているそうです。
世界中の女性にとって、こんな国はあってはならない国だと思いますが、男性にとっても自分の母親や娘に暴力を振るうなんて、考えただけでぞっとする人も少なく無いはず。
憎しみ支配するより、愛する事の方が絶対素晴らしい事だし気持ちいい。
たくさんの人がこの事実を知り、このような悪い因習を立ち切ることができたら・・・という、スアドさんの勇気と祈りが込められた一冊でした。
紙の本
悪しき因習への勇気ある一撃
2015/08/22 03:11
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投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る
海外小説を読んでいた時期に、目にとまった一冊。
生きながら火あぶり? 魔女…とか?(これまた時代錯誤した連想)
1970年代でも、-100年くらいの生活が残っていた中東シスヨルダンの村に生まれた著者の
少女時代の日常から、この文化との決別のきっかけとなる事件とその後が綴られている。
「女の子だから」教育は受けられず、父や弟の召使いとして家庭で働き、
固い床で姉妹と寝起きしながら早朝から畑仕事・酪農・家事…奴隷である。
家長である父は、小さな失敗を見つけようものなら杖で殴ってこう言う。
「家畜の方がよっぽど役に立つ」。
この村の男たちは、彼女の弟のように姉妹や母に傅かれる事に慣れ過ぎている。
内容案内にある、「恋をして、性交渉を持ったために、火あぶりにされた」。
これだけだと、どうも誤解を招きかねない。
彼女は性に対して興味本位でも不貞でもなく、常識を持たない男尊女卑の青年に
半ば脅され、騙され、裏切られた末に、姉の夫の手によってガソリンと火を放たれた。
女性には意思を持つ権限さえここではなかった。
もちろん、処女でなければ嫁にいけないどころか一家も含め、
人生が終わる事を彼女はよく知っていた。
「俺が嫁にもらってやるって、あとで親父さんに話しつけとくからさ、いいだろ」
こういって逃げるのが、最初から青年の魂胆であった。軽んじるにもほどがある。
しかしながら、男女平等を声高に言うこの国でも同じような人間はまだいると
認めざるを得ないと読みながら思った。 他国でのベストセラーの背景には
同じようなくすぶりの火種が形を変えていくつもあるのではないだろうか。
身内の手で"名誉の殺人"未遂にあった彼女が搬送・入院した先には、
同じ目にあった娘たちが多数いる。
人生でもっとも輝ける時期を踏みにじられた彼女たちの心の苦痛は想像を超える。
最も恐ろしい事は、今もひっそり"名誉の殺人"によって大切な命が燃やされている事。
今できる事は、その事実を勇気ある著者の言葉で知る事。
そして、知らせる事ではないだろうか。「恥」を消すために非道な因習を行うのなら、
自分たちの行いが外部から異常だと否定されることこそ、最も恐れるはずである。
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店頭で見つけてパラパラと読んだ時から「絶対読もう!」と決めていた本
なかなか西アジアの女性の話は読む機会がなくて…私の探し方が悪いのかなぁ・・・
表紙はすごいけど、話はそこまでひどくはない。読める範囲
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20年5月 購入
ある国の小さな村には、男尊女卑が当たり前で、結婚前に妊娠した娘は、親族の手で殺されてしまう。実話。
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ノンフィクションです。
題名・表紙ともインパクトに溢れています。
題名通り、主人公の女性は本当に生きながら火に焼かれ、
それでも祖国から脱出して
現在はEUで幸せに生きてるとのことです。
アフリカの方では、まだ男性社会が根強いそうで。
主人公は村の掟だかその地方の社会倫理に反することを
したとのかどで、家族によって虐待され、焼かれます。
本当にそんなところあるのか…とびっくりしました。
が、残念ながらあるようですね。
しかし、表紙のマスクはやっぱり怖い……
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表紙が衝撃的ですが・・・。
彼女は何も悪いことをしていないのに、男尊女卑が極端な国で、男が悪いのに彼女は火に焼かれてしまします。
何とか助かりますが、こんな国がまだあることに驚きました。
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村ぐるみの極端な男尊女卑思想のもとでは
尊属殺人も名誉の殺人に。
人は此処まで残酷になれるのかと恐ろしく。
表紙が怖いので伏せておく本。
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新書版の頃から気になっていた本が、文庫として出たので思わず購入。
自分がこうやって「普通」の生活を送れていることが、本当に幸せなんだなぁと感じさせられる一冊でした。
すべての女性に。お勧めです
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衝撃的すぎる。
親が子どもを殺す世界とは
この世で一番残酷ではないのか。
女子として日本に生まれた私は
どれだけ恵まれてるのか思い知りました。
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実話。1970年代後半、中東シスヨルダンで、ただ恋をしただけの少女が家族の手で火あぶりにされた。名前を隠し、顔を隠し、隠された村の掟を証言した一冊。
割礼、風習、民族…そういった現実を証言した本なので、面白いとかいう話ではない。
ただ、他の割礼や儀式物の証言本とは違い、運良く助かった後の心のあり方を描いているところに「希望」があり、本当の幸せとは、を力強く描いた本。
後書きで自分の命を狙った母を恨んだ事もあったが、母もまたあの社会風習の犠牲者で、恨んだ事を申し訳ないと思っている、と書いておられたところが、苦悩の先に辿り着いたこの方の持つ愛情の深さを物語っています。
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200227
ショッキングな題名と表紙のため手にとりました。内容も衝撃的で、宗教によって生活がずいぶん違うことを教えられた。また、日本って平和だなと再度感じた。
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lo que importa en esete libro es que la gente puede saber lo que esta ocuriendo ahora mismo bajo de region islam, y en ese sentimiento vale la pena leerlo.
Pero, personalmente, no podia sentir nada a elle, a autora, por que ella me parecis que hubiese una mujer muy negativa... aunque entiendo que sea natural que se canvie a muy negativa despues de lo que paso a ella, pero todavia no puedo sentirme bien con su ser negativa.
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内容は
所謂、中東で多く起きている『名誉の殺人』からの生還者が
危険を承知で、とある人権団体の力を借りて書き上げた本。
男尊女卑の最たるもの……×にわかには信じがたい内容だけれど
皆が知って、なくさねばならない因習。
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男尊女卑。程度の差こそあれ、どこにも存在するのだろうが女に生まれたことで一切の人間性を奪われ命さえ男の手に握られる不条理な場所がある。
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ヨルダン川西岸の村では、女の子は生まれてくること自体が不幸の発端だった。
多くは生まれてすぐに母親自らの手で殺される。殺されずに生き延びても、父親や兄弟たちにひたすら服従し、家畜以下の扱いを受け、教育を受ける権利もなく、毎日過酷な労働を強いられ、些細な理由で殴られ、蹴られ、そして殺される。女を殺した男達は英雄視され、警察も国家も介入はできない。
その因習は、『名誉の殺人』とよばれている。
そんな村で生まれ育った少女スアドは17歳になった頃、近所の青年に恋をし、やがて結婚をしないまま妊娠した。そのために、彼女は“死刑執行人”となった義理の兄によって体に火をつけられる。
スアドにはわかっていた。愛していた青年に裏切られたこと。妊娠したことが、家族の名誉を汚したこと。彼女を処刑することだけが、家族が汚名をすすぐ唯一の手段であること。誰からも、救いの手はさしのべられないこと。
死ぬことで、“いつか男達に殺される”と怯える日々からようやく開放されること――。
恋をした。それだけの理由で、家族によって生きたまま火あぶりにされ、奇跡的に生き延びた過去を持つ女性が、同じ状況に置かれた多くの女性達に代わって記す告発の書。