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日本の薬はどこかおかしい! みんなのレビュー

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評価内訳

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5 件中 1 件~ 5 件を表示

紙の本

― 薬事行政に必用なのは大人の議論 ―

2009/02/20 18:11

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:レム - この投稿者のレビュー一覧を見る

   行政改革には多大な困難を伴う。 この本を読むと改めてそれが良く分かる。 著者たちは、もしご家族やご本人が健康であったならばごく普通に生活していたであろう。 しかし、医薬品による健康被害を受けたがために、あるいは医薬品の承認の遅れのために難病と戦わざるを得なくなり、大変なご苦労をされながらも、薬事行政を動かして改革すべく活躍されている。 同時にこの本には、甚大な問題が起こって初めて実感される薬事行政の不条理な側面が浮き彫りにされている。
   
   ここで少し視点を変えて交通事故件数を減らすということに眼を向けてみる。 そのためには、道路交通法の取り締まり強化だけでは不十分なことは容易に理解できるだろう。 具体策としては、飲酒運転のような重大事故の要因への罰則規定を法的に重くするといった措置はもちろんのこと、事故の発生しやすい道路環境を抜本的に整備することも必要だろうし、もしかしたら自動車等の機能にまで立ち入って対策を検討することも視野に入れる必用があるかもしれない。 しかし実際には、交通取締りの強化ばかりが重視されてはいないだろうか。
   これまでの薬事行政も、企業に新薬の承認販売許可を与える、問題があればやおら腰を上げて安全対策を企業に行わせる、それが薬事行政なのだ、というように、道路交通法の規制強化のようなことを中心に行ってきた。 これに対して著者達は、日本の薬事行政に欠けている点、すなわち抜本改革について果敢に挑戦してきたのである。 鳥越氏のインタヴューによって、一筋縄では進まない行政や製薬企業に対するお二人の活動や艱難辛苦が紹介されていく。 そして、著者達の実績は、実際に非常に大きな行政変革ベクトルとつながっていく。
   
   昨年2008年の5月からは、福田元首相の肝煎りで「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」が開催されており、2009年3月までには提言をまとめることになっている(現在は後任者と交代しているが、著者の福田衣里子氏も委員の一人であった)。 この検討会には、薬害肝炎被害者団体のみならず、HIV、サリドマイドなど重大な社会問題を引き起こした薬害の被害者団体も委員として参加している。 この会議を傍聴すると、被害者団体や識者と当局の間の温度差が良く分かる。 例えば、薬害発生原因と考えられるものとして、隠蔽体質や人事評価の減点主義も含めて、責任として果たされるべきものが欠けていた「組織能力や組織文化」といった問題に焦点を当てて今後の薬事行政の根本的改革の方向性が提案されても、厚生労働省側からは具体的改革案が少しも出されない。 それどころか、薬事行政の手技手法の不足に原因があるのであって、故に医薬行政先進国の欧米に倣って彼らの進んだ安全対策方式をいくつか導入する、というのだ。 当局はそれを具体策だと思っているのだが、これでは単なるツールの検討であって本質論になっておらず、行政改革というゴールに向かう道筋との間に大きな乖離を感じる。 しかし幸いなことに、委員たちからの正当な意見が多数寄せられており、大きな改革への提言が期待されている。
   
   これからの薬事行政には、国民の保健衛生のために、時として強い権限をもって「通常とは異なるプロセス」(新薬承認など)を推進させたり、あるいは「第三者評価機関」に自らのパフォーマンスを評価させて改革につなげたり、場合によってはどのように「規制を緩めるか」、といった「大人の議論」の能力が求められているのではないだろうか。

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紙の本

たしかに、おかしい

2009/02/11 21:18

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る

薬事行政のおかしさ。それを象徴するのが、ムコ多糖症のように患者のすくない治療薬の承認には書類が高さ1~2メートルも必要で非常に時間がかかるのに、薬害をおこす薬は紙切れ一枚で承認されてしまうという矛盾です。

鳥越氏は、外国で承認されていた薬が日本で薬害をおこしたことから慎重になっている面もあると指摘しています。しかし、それをいいわけにして「あまり儲からないな」と思ったら製薬会社が手をつけないのも困ります。海外で新薬ができたら、すべて認めるということではないにしろ、早急に対応する体制が必要だと述べます。
福田氏は、承認の基準が安全性を確保することではなく、利益があるかないかで決められているように受けとられてしまうのだとおっしゃいます。
厚生労働省の職員にもまじめな方はいるのでしょうが、どうも全体的には業者の方ばかり向いていて、それ以外の国民をないがしろにしているのではないか?と疑いたくなるのです。日本の薬はどうもおかしい!と。

本書は、難病であるムコ多糖症のお子さんをもつ中井まり氏と薬害肝炎訴訟の原告として活動されてきた福田衣里子氏に、鳥越俊太郎氏が同時インタビューをしています。
お二人とも、ご自分やご家族のこと、とり組んでいる活動のことについて、とても率直に語っています。その「強さ」と行動力が印象に残ります。その行動力は、当事者だったらみな同じようにできるということではないでしょう。ましてや、当事者ではない一般の人にとってみれば「すごいなあ、よくできるなあ、でも自分にはとても無理だなあ」と思ってしまう人もいるのではないかと思います。

しかし、お話をうかがっていると、彼女たちは特別にヒーロー・ヒロイン的な存在ではないことがわかります。どこにでもいらっしゃるであろう方が、やむにやまれずに一歩を踏みだしてみたということなのだと思います。
ただ、心ない中傷に悩み苦しみながらも、あきらめずに「継続は力なり」を実践していく意志のちから。それは人一倍強くおもちなのでしょう。そして、それはまったく真似できないレベルのものではなさそうだと思わせてくれる・・・その意味で、人びとに勇気を与えてくれる本でもあるのです。

この社会は、差別的な視線がいまだに残っています。実名をだすということにはリスクがともないます。実際たいへんな思いもされました。それでも、いっぽうで支援の輪が拡がっていき、やがて政治を動かしていくのです。

肝心な患者の救済については、一定の成果はえられました。しかし、大事なのはそれだけではありません。薬害をくりかえさないために国民本位の薬事行政を確立する、難病に対する公的支援を拡充する、という恒久的に目指さなければならない課題があります。お二人の目標でもあります。

そのために声をあげていかねばと思います。

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2008/08/30 15:43

投稿元:ブクログ

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2011/04/19 16:03

投稿元:ブクログ

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2011/06/15 08:37

投稿元:ブクログ

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