紙の本
奇妙、奇天烈
2023/10/28 21:01
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投稿者:今井 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ニ銭銅貨」話自体はシンプルだが、変装、暗号などの要素が合わさり、とてもワクワクする展開になっている。まずは是非とも「ニ銭銅貨」から読み進めてほしい。
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投稿者:Otto - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸川乱歩に興味を持って読みだしたが、最初から引き込まれるストーリー展開で、一気に読めた。短編なのも気軽に読めて良い。「二銭銅貨」がデビュー作だなんて、信じられない。
紙の本
恋というものは、不思議なものでございますね。
2009/11/01 20:12
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:analog純 - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんな本を読んでいると、つくづく僕は何を求めて小説を読んでいるのか、と考えてしまいます。
いえ、僕なりの答えがまるでないわけではありません。
つまり、僕は結局のところ、人間とは何か、人生とは何か、生きるとは何かなどといった(このように言葉にしてみるといかにも大上段に構えているようで、とても「恥ずかしい」のですが)、一種、「倫理的」あるいは「宗教的」な概念を、小説に求めているような気がします。
ただ、僕が小説に求めているものは、決してこれだけではありません。もしこれだけなら、小説なんていうまどろっこしいものを読まず、倫理・哲学の本とか、宗教書、さらには何かの宗教に強く「帰依」すればいいのですから。
それに、小説の場合には「面白さ」「美しさ」というものが、作品の価値判断の中に加わってきます。
いえ、もう少し厳密にいうと、「面白さ」と「美しさ」は、かなり違いますね。
「美しさ」の専売は、言語芸術の場合、「詩」がそれを専らしているような気がします。
散文芸術は、その「お下がり」をもらっているにすぎないように思います。
そのかわり「面白さ」の四番バッターは、まさしく「小説」ですね。このフィールドは間違いなく、小説のフランチャイズです。
そして、この「面白さ」のみに特化した小説があるとすると……、というのが、さて、本書の諸作品であります。
この短篇集は、乱歩の全短篇からの選りすぐりという感じで、実に「偏差値」の高い短篇ばかりであります。
全部で十二編が入っていますが、そのうちの幾つかのタイトルを並べてみます。
『心理試験』・『屋根裏の散歩者』・『人間椅子』・『鏡地獄』・『押絵と旅する男』
こうして並べてみると、上記に「『面白さ』に特化した」と書きましたが、これらの作品群に書かれているのは、やはり「人間存在の多様性」であり、そしてこれらの小説は、「『人間図鑑』としての小説」に他ならないと、つくづく思います。
上記五作は、本短篇集の中でもベストだと思いますが、その中でも特に一つとなると、それは多くの人の評価も一致しているそうですが、やはり『押絵と旅する男』になるでしょう。
そして、この作品をベスト1に挙げる理由は、僕としては、次の二つの視点です。
(1)「妄想力」の奔流
(2)乱歩は切ない恋を描く
(1)については、もはや多くを語る必要を認めません。屋根裏を散歩する……、椅子の中に潜む人間……、立体画である押絵になる夢……などなど、このように作品に語られると、誰もが、そういえば私も幼かった頃にそんなことを考えていたような気がする、と感じざるを得ない実に懐かしい思いばかりであります。
そして、実際にそれを一つの作品にし遂げてしまう乱歩の小説家的力量は、万感胸に迫るごとき讃美の念を込めて「妄想力」としかいいようがありません。
そして(2)の「切ない恋」ですが、これが実際に作品の表象に現れていようといまいと(かなり描かれていますが)、乱歩はいつも切ない恋心を描いているのだな、と考えるのがいかにもしっくりとするということに、この度僕は気がつきました。
「恋というものは、不思議なものでございますね。」とは、『押絵と旅する男』のなかのフレーズでありますが、どうでしょう。
「乱歩は切ない恋を描く」というのは、僕の勝手な思いこみでしょうか。
この二つが、一つに重なって、最も高密度な世界を作り上げているのが、『押絵と旅する男』だと僕は思います。
この作品は極めて完成度が高く、間然とするところを持ちません。
(『人間椅子』も、「妄想度」については双璧ですが、作品世界を作り上げていくディテールの書き込みの丁寧さで、一歩譲るように僕は思いました。)
というわけで、今に至るも圧倒的なオリジナリティを誇る江戸川乱歩ですが、僕はやはりこの優れた「大衆小説」に、「普遍性を追求した人間研究の素晴らしい結実」を強く感じるのでありました。
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初!江戸川乱歩。
おもしろすぎてびっくりした。私の趣味にぴったりだ。ああなんでもっと早く手出さなかったんだろ。
二銭銅貨…暗号解読とかたまらなく好き。展開が素敵で引き込まれるー!オチが良い。
D坂の殺人事件…明智さん出てくるよ。最近こんな結末の事件があったような気が。
心理試験…文中に参考にされてる学者さんよりも独学でこんなに詳しい乱歩さんの方がすごい気が。
白昼夢…タイトルとあってる。読後感がもやもやー。
屋根裏の散歩者…乱歩さんが読者に話しかけるのが好き。これを読んでから陰獣を読むといいよ。
人間椅子…素晴らしい!もちろんアイデアもすごいんだけど、オチにもびっくり。
火星の運河…芥川龍之介の短編『素戔嗚尊』を何となく思い出した。
お勢登場…悪女ものは好きです。お勢さんのその後が書かれていないのが残念。
鏡地獄…テレビの企画で球体鏡やってたぞ? 鏡やらレンズが好きだことー。
木馬は廻る…ロリコンオッサンの話。
押絵と旅する男…もやもやー。
目羅博士の不思議な犯罪…おもしろい。ありえない話だけど引き込まれてしまうよね。
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『江戸川乱歩傑作選』(新潮文庫)と収録作品が多少被ってるけど、「押絵と旅する男」を読むために購入。
「押絵と旅する男」は乱歩の作品の中でも一、二を争うほど評価されてるだけあって期待通りだったけど、「白昼夢」や「お勢登場」もかなり面白かった。やっぱ乱歩良いなぁと改めて思った。
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デビュー作二銭銅貨から、明智小五郎初登場のD坂の事件
短編すべてが推理小説なのかと思っていたのですが、幻想小説のほうがわりかしおおめですこししょっく
明智さんが出てくるたび気分が上がったけれどそれも3つだけ
推理物で有名なのに、なとか思って読み進め、人間椅子に当たった時おとされた
とても気味が悪くぞっとする、現実離れしているのに妙にリアリティがある
このひとのほかの作品をもっと読みたくなるような、そんな短編集でした
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図書館で借りた。
どの話もテンポよく読めて、面白い。
二銭銅貨、人間椅子のラストでのひっくり返し方が人を食っているようで何とも言えない。
目羅博士の不思議な犯罪、押絵と旅する男、鏡地獄はただただ不気味な感じがする。
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人間椅子は読んでいて鳥肌たった。
趣味の悪い面白さでした。
附記にある、明智小五郎対お勢さん、読んでみたかったなぁ。
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不気味だけど引き込まれる、怖くて面白い。やっぱり乱歩はいい!
「二銭銅貨」と「心理試験」「人間椅子」「目羅博士の不思議な犯罪」がお気に入り。時々作者の言い訳(?)が書かれてるのがちょっと笑えた。
明智小五郎の、トリック云々よりも心理的に犯人を追い詰めていくところが面白いなぁと思いました。昔児童書で少年探偵の話は読んだことがあるけど、また今読み返したくなりました。
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友達に紹介されて、江戸川乱歩の本を手に取った。
推理小説は久しぶりに読んだが
グイグイと入り込める本は久しぶりだ。
人間の奇行、抜け出た想像力、明智のひとひねりある解読。
自分も主人公になって、犯罪をしているような気分になる。
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江戸川乱歩の初期短編集。
有名どころと明智ものと幻想小説。
子供に頃読んだ少年探偵団の「明智先生」とイメージ違う!!金田一っぽい。
締め切りに間に合わなかったからこれで我慢してね、とか、書いてるうちに探偵小説じゃないなにかになっちゃったよ、と、ゆるいんだかゆるくないんだかわからないのが混じっているのが面白い。
幻想小説や怪談といった趣のものが好きだ。
「心理試験」における心理学の使い方がまっとうで驚いた。
なんでも見抜く魔法じゃなくて、種も仕掛けもある手品。
いまだに人を好きに操る妖術かなにかだと勘違いしている人が多いと言うのに、大正期に書かれたこれは限界のある技術として正しく使っている。
「鏡地獄」は「オペラ座の怪人」を思い出す。
全体的に、怖さの質が怪談風。
世界への疑いに一度気づいてしまったら、きっかけとなった問題が解決しても元の無邪気な信頼は戻らない。
なんちゃって、冗談ですよ、と言われてもなお拭えない不気味さが残る。
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すんごいおもしろかった
ミステリなのに叙情的で幻想的。
文体は嫌味がなくてシンプル、それなのに内容は濃い。
有名だからって敬遠しないで、もっと早く読めばよかった!
全集でも借りてこようかな・・・
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面白かった!少し気味の悪いお話が癖になってしまいそう。
乱歩の書く幻想小説が思いのほか好きでした。文章もとても読みやすかった。人間椅子良いです。
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『二銭銅貨』
強盗団の隠した5万円の行方。「私」が手に入れた2銭銅貨に興味を持った松村武。2銭銅貨に隠された暗号。発見された盗賊団の5万円。松村のいたずら。
『D坂の殺人事件』
明智小五郎シリーズ
D坂にある古本屋の主人の妻が殺害される。喫茶店からの目撃者、裏の目撃者からの証言で現場に出入りしたものがいない。妻の持つ全身の傷の秘密。ソバ屋の妻の身体の傷の秘密。
『心理試験』
明智小五郎シリーズ
大家の老婆の隠し持つ金を狙った藍屋。大家を殺害し大家の財布の金を半分盗み財布を拾ったと届け出た。翌日、大家殺害犯として逮捕された親友・斎藤。事件に疑問を持った判事・笠森の心理試験。心理試験の結果から犯人を推理する明智小五郎。
『白昼夢』
妻との喧嘩を演説する男。男のさらした人形を見た「私」恐怖。
『屋根裏の散歩者』
明智小五郎シリーズ
人生に退屈した男・郷田三郎。明智小五郎との出会いにより犯罪というもに興味を持つ。引っ越したアパートの屋根裏に侵入し人々の生活を覗き見るが・・。次第に起こる殺人への誘惑。
『人間椅子』
女性作家・圭子の元に届けられた一通の手紙。ある男の異常な欲望の体験。椅子の中での生活の物語。
『火星の運河』
暗い森に迷い込んだ男。脱出できない迷路。
『お勢登場』
寝たきりの格一郎。妻であるお勢は外に愛人をつくり家を空け好きに暮している。息子の友人たちとのかくれんぼ。長櫃の中に隠れた格一郎と帰宅したお勢。長櫃の中で死んだ格一郎とお勢の秘密。
『鏡地獄』
鏡を愛し鏡に取り付かれた男が発狂した。凹面鏡に隠された謎。
『木馬は廻る』
少女に恋したラッパ係の物語
『押絵と旅する男』
記者の中で出会った老人の持つ押絵。美しい少女と老人の押絵。老人が語り始めた押絵の中の2人の話。陵雲閣に通う男の兄と絵の中の少女の恋。押絵に隠された秘密。
『目羅博士の不思議な犯罪』
住んだものが自殺する不思議な部屋。向かいの部屋に住む目羅博士の犯罪。
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読みやすく淡々としながらも、不気味で面白かった。
人間椅子も鏡地獄も押絵も目羅博士もヤバかったけど、お勢さんの、ふと通り物が訪れたかんじがリアルで恐ッろしかった……。
追記で作者が言い訳してるのが面白すぎた(笑)木馬(笑)