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生き屛風 みんなのレビュー

文庫 第15回日本ホラー小説大賞短編賞 受賞作品

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みんなのレビュー49件

みんなの評価3.9

評価内訳

  • 星 5 (6件)
  • 星 4 (22件)
  • 星 3 (10件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (2件)
45 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

意外

2019/05/28 12:18

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナナカマド - この投稿者のレビュー一覧を見る

タイトルから、
生々しい屏風・・・例えば人体の一部が素材になっているような、
そういう屏風の出て来るグロめのホラーかと思っていたので、
読んでみて意外でした。
なんというか、
とぼけた感じで少しもの寂しい、
ほんわりとした怪談でした。

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紙の本

のんびり雪のように舞い降りたい・・・夏だけど(笑)

2009/06/25 12:59

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

日本ホラー小説大賞受賞作というからどんな恐ろしい作品かと思えば、ホラーのホの字も無いなんとものどかな作風である。
作風、だけではない。文章だけでもない。
時代は江戸かそこらだろうか?流れる時間の緩やかさ、妖たちの悠々自適な生き方、人間たちののんびりした立ち振る舞いと彼らの間に交わされる愛嬌ある会話。そして時折私たちをひきつけて止まない素朴で魅力的な料理の数々・・・
『しゃばけ』シリーズのように笑いや事件があるわけでも、魅力溢れるキャラが登場するのでもない。夢のような桃源郷や地獄のような修羅場があるでもなし、また事件というほどのものもおきはしない。
しかしなんだろう、この暖かな心持とファンタジーを読んだ直後のような不思議さは。
そもそもしょっぱなからして主人公の妖鬼・皐月は馬の首を寝床にしている。しかも起きるたびに「寝床」と名づけたその馬の首を落とし、這い出てから再びくっつけるというなんとも恐ろしい血みどろの冒頭だ。
しかし次のページを読み終わるころにはそんな面持ちはどこへやら。寝床を確保するために人間の押し付けがましい依頼も引き受ける皐月はどうにも頼りない。鬼とは名ばかり、額についている角は小さく髪に隠れてしまうほどだし、人を喰うわけでも人を脅かす妖力をもつでもない。根無し草であっちをフラリこっちをフラリと旅をして、ひょいと届いた手紙に誘われるままこの地の県境にたどり着き、そのまま守り神の役目を引き継いだ・・・なんらいわれがあるわけでもこの土地に思い入れがあるでもない。すべて成り行き任せの気ままなお話なのである。

そう、3章を通じていえること。それは人間であれ妖であれ、誰もが成り行き任せ、行き当たりばったり、のんびりのほほんとした贅沢な時間をもっているということだ。そしてそんなかにも少しだけ切なかったりちょっとだけ悲しかったりやるせないエピソードもちらりと見える・・・。なんといとおしく優しい物語だろう。

まず表題作第一章「生き屏風」に登場する恐妻ともいえる奥方の幽霊は生前とかわらぬズボラな態度で堂々と居ついている。もと夫に邪険にされ、たたられても困るから同じ妖同士、皐月があてがわれたというだけの話なのだが、交わされていくうちに少しずつあらわになる皐月と奥方の身の上話。饒舌にさせる酒につまみ。
そうしたものが少し現実離れしていて、それでいてするりとしみこんでくる・・・なんとも面白おかしい語りなのだ。

第二章に登場する男は何にも執着が無く欲も無い、ただ女好きはたいそうなもので皐月の前任者(猫の姿をした得体の知れない妖である)に、ひと時雪にして欲しいと頼み込む。ゆらゆらフラフラと風任せに舞い降りる雪となった男はあちらの女かつての女の肌の上に降ってはしみこんでいく快感にまどろんでなんとも幸せそうである。

人も妖も、何があるわけでもないのっぺりした日常をのんびり緩やかに過ごしている。時折饗される食事や酒はなんともよだれの出そうなほど美味しそうに描かれる。

  「銀杏は大好物なので一番最後に、薄い皮を口の中で剥いでから、飴玉のようにして転がしながら噛んで食べる。白い飯には汁を注ぎ、ほぐした干し鰯を載せてからクチにいれる。酒をちろちろと舐めながら、長い朝食を終えて次郎はごろりと横になった。」 (本文より抜粋)

なんとも羨ましい限りではないか。思わずそうそう、それが美味しいんだよね!と膝を叩きたくなる嬉しさである。
彼らは私たちよりずっと寿命も短く不便な生活、つつましい生活をしていたに違いないが、私たちよりずっと優雅で悠久の空間と時間をもっているようにすら思えるのだ。

この世界では妖も幽霊も否定されない、そんな時代が確かにあったのかもしれない。
口の中に転がる銀杏一つに幸せをかみ締めてしまうくらい日々のささやかなことがささやかなままに幸せとして大事に転がされる時代。なんとなくうらやましくなるものだ。

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紙の本

モノノケ・セラピー

2008/12/10 02:49

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:仙人掌きのこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 もしあなたが、心の中にひとつ隠れ里を持ちたいと願うなら、この「生き屏風」を読むと良いだろう。
 日本ホラー小説大賞短編賞という肩書きや、そのタイトルから、おどろおどろしいイメージを持つかもしれないが心配御無用。確かに、死霊や鬼の子は登場するが、怨恨・復讐・暴力などとは無縁で、ひなびた温泉宿でのんびりとくつろいだような気分を味わう事ができる。日本むかし話とムーミン谷、そしてアリスが巡った不思議の国を混成したような理想郷がここにある。

 それにしても主人公・皐月の人(鬼?)の良さは、読んでいて気の毒になるほどだ。初対面の相手からはまず容姿を褒められないし、村を災いから守っているのに尊敬もされていない。自慢のツノを見せれば「変わった色のこぶか、オデキにしか見えない」と貶され、片思いに悩む村娘からすら「頼りない」と罵倒される始末。それでも皐月は怒らない。
 これは徹底した平和主義者というよりも、経験不足からどう対処していいのか判らない子供の態度だろう。人より寿命が長いからといって、精神が成熟しているとは限らない。皐月はまだまだ子供なのだ。それは食べ物を前にした時にはっきりする。「食べなくても飢えて参ってしまう事はない」存在のはずなのに、好物の梅の実や酒・西瓜に心を奪われてしまう。それらを食する時の無邪気さは、本当にほほえましい。
 好物を喜び、人からの相談には不器用に、しかし真摯に向き合う皐月。読み進むにつれ、その素直さがどんどん好もしくなってくる。

 田辺青蛙氏の作品に初めて接したのは、ビーケーワン主催の第四回怪談大賞だった。佳作受賞作の『薫糖』(てのひら怪談ポプラ文庫)にも鬼が登場するが、なにより「水あめで髪を練る」という発想の奇抜さと「日本のどこかに本当にある習俗かもしれない」と思わせる説得力が印象的だった。
 その手腕は、「生き屏風」でもいかんなく発揮されていて、その代表的なものは「馬の首の中でねむる」と「雪に化身する」だろう。その強烈な、或いはつかみどころのないイメージを読者に追体験させ、しかも嫌な感じがしないという匙加減は見事だ。前者では血の匂いよりも胎内回帰の安心感を、後者では感傷的な心象風景ではなく若旦那の洒脱な遊び心を感じさせて、読後感が心地よい。

「生き屏風」「猫雪」「狐妖の宴」の連作の中で、時間軸を前後しながら浮かび上がってくる各キャラクターの物語。それらは思わぬ所でからみあっていて、何度も再読したくなる。そして、まだ語られていない空白の時間に思いをはせる。さいわい続編が予定されているそうで、その空隙を埋める事ができる日も近そうだ。それまで、しばし「布団」にくるまって待つ事にしよう。次回作へのさらなる期待を込めて、星をひとつ減らした。

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2008/12/23 17:11

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2008/12/24 02:33

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2009/01/07 23:30

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2009/01/03 00:02

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2009/06/21 22:48

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2010/01/15 22:17

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2010/03/19 21:32

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2010/05/05 11:00

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2010/06/18 23:06

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2010/08/04 09:11

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