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「奇妙な戦争」状態が続いていた西部戦線も、ついに大きく動いた。ベルギーとオランダに雪崩れ込んだドイツ軍は、電撃戦によって英仏軍を打ち破り、ダンケルクへと追いつめる。しかしここで、ドイツ軍の戦術的過ちと、イギリスの不屈の救出活動により、大きな戦力がドーバー海峡を渡って脱出した。フランスは降伏し、ヨーロッパは枢軸軍の支配に帰した。しかし続く「バトル・オブ・ブリテン」で、ドイツ空軍はイギリスを屈服することができず、イギリス上陸の「アシカ作戦」も頓挫を余儀なくされる。
戦争を続けるための後背地確保と、「我が闘争」で示した計画を実現するため、ヒトラーはソ連侵攻計画「バルバロッサ」を企てる。だがその前に、イタリア軍の尻拭いとして、ギリシャ、更にユーゴスラビアを征服。北アフリカでは、快進撃を続けるロンメル戦車兵団がエジプトに迫っていた。
1941年6月22日、ついに対ソ連戦開始。様々な予兆がスターリンに届いていたにも関わらず、まったくの奇襲となった。怒涛の進撃を続けるドイツ軍はモスクワの一歩手前まで到達するが、そこで頑強な抵抗にあう。ヒトラーの過誤と、例年より早い冬の到来によってモスクワ攻略は頓挫し、ソ連軍の反撃が始まった。ドイツ、あるいは世界が予想していたよりも、はるかに多くの兵力をソ連は持っていたのである。危機に陥る前線に、退却を禁じ、死守せよとのヒトラーの命令が届く。この命令が正しかったのか、これにより戦線が崩壊を免れたのかは、意見が分かれるところである。
1941年12月、日本が開戦した。ドイツもアメリカに対して宣戦。日本のアメリカへの開戦間際のドイツ、イタリアとの外交的攻防は興味深い。
1942年、再び東部戦線でドイツによる攻勢が開始された。次第にヒトラーの戦略的誤りが増えて行く。スターリングラードの攻防は市街戦となったが、包囲を完成させたソ連軍の前に、ドイツ軍の救出作戦も失敗した。進退窮まったスターリングラードのドイツ軍は遂に降伏する。北アフリカ戦線でも、ドイツ軍はエルアラメインで押し返され、敗走を重ねる。ヒトラーはハルダーらの多くの元帥、将軍を罷免した。
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国際情勢を読む力と,巧みな軍事戦略によってますます枢軸国が勢力を広げて最高潮に達するところから,ヒトラーが限界を露呈していくつかの戦略的失敗から風向きが変わるところまでを描いた第4巻。
軍事的な内容や用語が多いので,これまでの3巻とは少し毛色の違う一冊となっている。膨大な数の戦死者や負傷者が出ているが,膨大過ぎてピンと来ない。基本的にこのシリーズは政治史・軍事史的に描かれていて,社会のありようは一部の章でピンポイントに扱われる形になっている。第2次大戦下のヨーロッパの人々の暮らしについては,別の本で学ぶ必要がありそう。
侵略がうまくいきすぎたゆえに,ヒトラーの当初想定してなかった地域への攻勢の戦略がたてられなかったこと,ある意味で冷静さを保っていたヒトラーの頭が完全に感情に支配され,分別のある判断ができなかったゆえに,第三帝国が崩壊にむかっていく様子がありありと描かれた巻でした。
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破竹の進撃がとまって、ついに負け始めるドイツ。イギリスに上陸ができず、アフリカではロンメルが敗退。ロシア侵攻のバルバロッサ作戦は失敗して、遠征軍がほぼ全滅。読んでいるとヒトラーの強引な作戦と判断ミスが敗因と読めるけど、そうなのかな。後出しならなんでも言える。初戦の大勝利と後半の敗退戦は日本帝国とそっくりだ。それにしても、ドイツが適当なところで手を打ってヨーロッパをほぼ征服したところで止まっていたとしたらどうなっていたんだろう? イギリスやスペインやアメリカがそうだったように、既得権益は既得権益として吸い上げながら、平気な顔をして世界の大国として繁栄したんだろうか。そして200年くらい経ってから、ホロコーストは間違いだったとか、ユダヤ民族に謝罪をとか言い出すんだろう。アメリカがネイティブアメリカンにしたように。歴史というのはそういうものだと思うと気が滅入る。
ナチス・ドイツはもちろんのこと、攻められる側の国もちょっと前はドサクサに紛れてドイツ侵略のおこぼれに預かったりしていて、どいつもこいつもという気分になる。
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破竹の進撃まではヒトラーも緻密な戦略に基づいてやっていたけど、バトルオブブリテン後はどうも感情的になって失敗した、と読めるのだが、どの程度真実なのだろうか。いずれにせよ、バルバロッサ作戦は狂気だと思うのだが、勝ち目はあったのだろうか、そして、バルバロッサ作戦を取らず大陸ヨーロッパを制覇した状態で止まったらどうなってたのだろうか。そこを考えるためには相当詳しくならないと厳しそう…
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ヒトラーは部下の将軍たちの動きに決して満足していなかった。
地図で見ると1942年9月までにヒトラーが成し遂げた征服は気も遠くなるほどだった。