紙の本
南方熊楠を探偵役に設定するとは、良い着想
2009/01/08 20:42
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
南方熊楠を探偵役に設定するとは、良い着想である。博覧強記、生き字引、歩く百科事典たる実在した変人奇人異才が主人公であるから。もっとも推理小説としての推理の過程は、シャーロック・ホームズを主人公とする探偵もののように、現時点では古くさい。この本の古書風の装幀などをみれば、あえてそのようなものを狙ったようだ。おもな舞台が百年以上も前のロンドンでもあるし。
やや猟奇的、伝奇的な殺人事件や誘拐事件にたいし、熊楠の研究対象である博物学や、民俗学などにどのように絡んで、かつ事件解決に関係しているのか、そのへんが読みどころであろうか。
どこまでが記録にある事実で、どこからが著者による虚構なのか、そのようなことも考えながら読むのもおもしろい。南方熊楠の伝記や著作を読んでいる人には、興味深く読めるであろう。知らなかった人は、実在の南方熊楠についても関心を持つようになるであろう。
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南方熊楠の研究者だったのか?〜19世紀末のロンドンに暮らす南方熊楠は,海軍省の諜報将校に頼られて,清国の戦艦向けの速射砲開発を遅らせようとする清国諜報部の妨害を塞ぐ。弁護士に依頼され,夢遊病の暗示を掛けられ財産を奪われそうな少女を救い,大英博の蒐集品を奪おうとする泥炭から掘り出された鉛が金になると考えたアイルランド人から奪還するのにはプリンスと称する同胞の協力を得る。拉致された孫文の身柄を解放するために推理の輪を広げ,一躍有名人に仕立てる。レイ・ラインに纏わる伝説を説くために出掛けたコーンウォールとデボンの州境で殺人事件を解決する。海軍諜報将校に孫文を紹介し,その孫文から紹介されたミスター・フーは,マンドレイクの株と交換に同胞を鋭利な刃物で切り裂かれ殺した犯人を解明するよう依頼したが,クマグスは廃兵院で食人している上流階級を見つけだした〜二番煎じ臭い(柳広司の)が,それより前にロンドンにいたってことで,先に書いた雰囲気が出ていて,設定は面白いが,中身は若干薄目で,眠気を誘う。もう一つの読書記録千冊目と凝った装丁を祝って大きな表紙の絵つきにした
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まあ、邪道だよね、そうだけど、面白いよ。
魅力溢れる人物描写に、世紀末ロンドンの薄暗くて混迷としてて熱気を帯びてる感じがすごい伝わる。いいよ。
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ロンドン滞在中の南方熊楠が探偵となって諸事件を解決するという体裁。どこからどこまでの部分が史実で、どこからフィクションなのかよくわからず。孫文との親交は本当にあったらしい。熊楠、興味はあったが、我ながらまったく知らないことに改めて気づく。何か適当な入門書を探してみよう。
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時は19世紀末ロンドン。留学中の南方熊楠が遭遇した、6つの事件とその解決譚。豪快で魅力的な人物像、多才な博物知識(本人曰く、『天地に唯一の博物学士』とのこと)、クマグスの活躍おもしろかった!日本海軍の依頼で謎の連続殺人を解明したり、大英博物館の部長であり理事である人物の紹介で弁護士の調査の助けをしたり、「孫文ロンドン拉致事件」を、旧知の間柄であるという熊楠が懸命に捜索救出したり・・・どこまでが事実でどこがフィクションなのか、境界がわからなくなるところが困りものです・・・自然毒、伝説伝承、古代ケルト文化などなど事件の鍵となり、クマグスの「黄色い頭脳」が動き出す。シリーズでもっと読みたく思った。
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おもしろかった。
つーか、これ、多分前に一度読んだことなる、な。
つーわけで再読。
けど、やっぱりおもしろかった。
どれくらい史実を取り入れてるのしら?
でも南方さんがめっちゃ博学だったってのは確からしい。
なんか昔世界不思議発見かなんかで観たおぼえが・・・・。
なーんかこの人名前も変わってるし、おもしろそうな人だよなあ。