Ｃｌａｓｓｉｃａｌ Ｆａｎｔａｓｙ Ｗｉｔｈｉｎ 第４話 アル・ヴァジャイヴ戦記 みんなのレビュー

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投稿者：みーちゃん　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

ええ、実は第一部が終ったと出版社が言っている第三巻を読み終えたとき、正直、帝国軍人と天皇の威光を笠に着た愛国的人非人たちの話は、少しも終っていないじゃないか、って思い、この続きが秋口から再開しても、先は見えているかな、大河ノベルも維新の『刀語』の二の舞か、なんて思っていたんです。

でも、こういう手でくるとは思ってもいませんでした。まずイラストが違います。なに、何故、ドーナッテル？だって第一部と全く関係ない場所が、時代が、登場人物で話が展開するんです。しかもです、ストーリーはどちらかというとゲームテイストの感じられる冒険ファンタジー風じゃありませんか。じゃ、本当に一巻から三巻はあれで完結？

全九章。各章にタイトルはありません。しかし、この巻のイラストは凄いとしかいいようがありません。巻頭のパノラマには絶句。それには及ばないものの、でもこれをイラストと言っていいのか、と思うほどの力作・快作のオンパレード。104、105頁の見開きも立派。114、115頁の緑の谷、これを同じ人が描く？というこれまた傑作。城塞、鎧、何をとっても文句なし。

そんなに素晴らしいブックデザインのデータ篇（全巻同じ筈ですが、一応、書いておきます）ですが

illustration/士郎正宗
Taiga Novel Logo：平田弘史
Book & BOX Design：Veia
Font Direction：紺野慎一（凸版印刷）

です。

お話の内容は、出版社のHPからの言葉を引用しましょう。

CFW第2部、待望の再始動（リブート）！
超弩級のファンタジー・ワールド×余人の想像を絶する超展開の第2部！

突如として無数の天変地異に襲われ、滅びを決定づけられた都、サラディーン。神の創りたもうた地上で最悪の地、アル・ヴァジャイヴを5日間のうちに横断し、月の女神アイラの待つイスラエルへとたどり着くことなしには、この都を救うことはできない……ショーン・マスードら誇り高き王室守備隊は一路前人未踏の荒野へと旅立つ！CFW、第2部再始動（リブート）！！

“ゴッド・オブ・ミステリー”こと島田荘司があの士郎正宗とタッグを組み放つ、全12巻！

そう、舞台はどうも中東のようです。とはいえ、現実世界かというと、どうもそうではなさそうな。ただし、この本では第二部は始ったばかりです。第一部から第二部への飛躍振りを見る限り、このままスンナリ話が展開するとも思えません。むしろ、これをどうやって一部と繋げるのか、それが第三部なのか、など色々想像妊娠してしまいそう。

で、主人公はここで書かれているように王室守備隊のショーン・マスードです。彼が救おうとしている都、サラディーンは大地震に三度も見舞われ、次に大量のシラミに襲われ、最後はペストの流行で、わずか一年で廃墟になってしまいました。しかも、異常気象が追い討ちをかけます。

その再生プログラムというのがアル・ヴァジャイヴ・・・・・・、。神の創りたもうた、地上で最悪の地を突っ切るというものです。精鋭部隊を含め、これまでの舞台のすべてが、アル・カリリ山脈を越えると同時に全滅しているという地。その途中までに三つあるといわれる砦にも行って戻ってきたものがないという謎に包まれた土地を越えての決死行。

めざすのはサイナイの岩山に現在おりてきている月、その中のもう一つの月、タルムードの月の湖に浮かぶ水晶の船で美の化身、この世でもっとも美しい女、月の女神アイラが勇者の到着を待っている、というのです。与えられた時間は五日。向かうのは選り抜かれた精鋭、王室守備隊員です。

身に帯びるのは剣と弓。そして行き着いたものがアイラの指にはめるという指輪。彼らの前に立ちふさがるアッシーム族、恐竜、翼手竜、そして・・・。