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ピアノの練習法が、工業製品が分業と反復によって大量生産される19世紀的な傾向に見合ったかたちで、分類・反復に収斂されていくプロセスを豊富な図版とともに解き明かす。
19世紀はピアノがブルジョワのステータス・シンボルになった時代でもあって、ベッドと食器棚と一体になったピアノなどというものが売られていたというのには笑ってしまう。
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筆者が「嘘でありますように」と願って書いた「19世紀 もうひとつの音楽史」。「音楽」「ピアノ」の切り口からの「大衆社会」論(これさえやれば誰でもできる!)として、とても面白く読みました。
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十九世紀、指を鍛えるための様々な器具や練習法がどんな社会背景の元に考え出されたのか。筆者が「こんなものは嘘でありますように」と思いながら調べて書いた、音楽的というより軍事教練のようなピアノ練習風景の数々が図版入りで紹介されています。当時の社会全体の雰囲気まで考えさせられるのが面白い本でした。文章も読みやすかったです。
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ピアニストになりたい人が読む本ではなくて、「『ピアニストになりたい!』という人に対して、それぞれの時代の音楽家、教師などは、どんな風にしてきたか(考え方、教え方、器具など)」について書かれた本。
私自身はピアノにもピアニストにも造詣がほぼ無いので分からないが、19世紀ヨーロッパを中心に、多くの音楽家や、指導者の名前が出てきて、
それぞれがどんな方法で人に教えて来たか、その背景となる歴史や経緯などもまとめて書かれている。
著者としては、「なんでピアニストだけが指の筋力トレーニングとかやらされるんだ!」という思いに
突き動かされて書き始めたようで、「誰がそんなことを言い出したか?」を探る旅が中心になっている。
やっぱり、こういう切り口の歴史本は面白い。そして、弾き方から器具(指や体を固定するもの)など、
「どう考えても本気とは思えないおバカなもの」に、真剣に取り組んでいたんだなぁというのも、
やはり面白い。
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数年前に読んだ本を再読。著者は、19世紀におけるピアノ学習の様子とその特徴を、同時代の社会背景(特に産業革命)と関連させて明らかにしている。数年前に読んだ時も目から鱗だったけれど、再読してもやはり学ぶことは多かった。さらに、今読んだことであとがきの素晴らしさにも気づくことができた。
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ピアノのお稽古今昔。大リーグボール養成ギブスもどきの指トレーニング器具が流行ったり、マシンのように指を動かして鍵盤を叩くやり方が変化していく流れが興味深い。本論からすると余談ではあるが、あの手この手で苦労している人達を尻目に、改めてモーツァルトの才能の凄さを思い知る。少なくとも作曲において彼は姑息なテクニックを必要としなかった。私もピアノを習ってモーツァルトのソナタでも弾いてみたくなった。どんな指導がされるか、そこにも興味が持てるようになる一冊。
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岡田先生が一皮も二皮も剥けた感じ。
「詩人シューマンが指矯正器具の愛用者でもあった---まさにこの二面性のなかにこそ、「ハイテクが演出するメロドラマ」とでもいうべき、ロマン派音楽のある本質が読み取られなければならないのである。」