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鳥辺野の所在地
2019/03/13 11:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題の「鳥辺野」とは何の関係もなく、刀が人斬り包丁であった時代から廃刀すら遠い昔になった現代まで様々な時代を行き来する短編集である。
いくつかは先行の別作に収録されてはいるが店頭では入手が難しく、電子版の刊行はありがたい。
こうして気軽に読めるのも時代と技術のなせる技であり、何事にも功罪つきまとうものである。
出だしからして名工が主役だ。
『死弦琴妖変』も合わせてお読み頂くのもおもしろい。
ひょうきんなホラ話から得体の知れないホラーまで。むしろ、異相同士をつなぐすき間そのものが舞台であり主役なのかも知れない。
しかしながら、肉の正体を知ってもなお絶味を求める舌と食欲は恐ろしい。
輪廻も時空も越えた色狂い、明治の動乱への諦念、能と楽にのめり猩々へ、思い付きの解釈が新たな伝承・怪奇・呪詛を産む瞬間、幅が広くアイディアも秀逸、それでいてはかなくもの悲しい物語の数々。
背景を知らずとも気楽に読め、一話完結の短編としては実にキリの良い作品集。
読後には手近な人に語ってみたくなるような、そんなエッセンスが満載だ。
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ホラー短編集です。
12作品中 私が好きなのは
「左」 この話は 怖いというより 面白かったです。
何度も読みました。
左甚五郎 この人の名前を聞いたことがありますか?
宮大工の甚五郎 彼の作ったものは 命をもって動き出す・・・
しかし 作ってはいけないものも ありますね。
「菊屋橋」 これは 怖いです。
スゴークこわいです。
橋を渡ってする 占い
いつの世も女の子達は 占いに夢中になってしまうんですね。
でも、占っていいことばかりじゃないよぉ〜。
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ホラー短編集。ホラーというよりも古き日本のエッセンスが溢れる怪奇譚です。怖いのは当然だけど、描かれる情景はあまりに風雅。うっとりとさせられます。
お気に入りは「墨円」。幻想的な雰囲気を漂わせつつ、真相があまりに現実的な恐怖。ほんとうに怖いものは一体何なのかを思い知らされた気がしました。
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「鳥辺野にて」「赤い木馬」「おとむらい」「墨円」「阿房宮」「あづさ弓」「朱の盃」「鉢の木」「抱擁する山」
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江戸次代を中心に書かれた短編集。1編1編が短いからかそこまで加門さんの世界に入り浸る事は出来なかったものの、独特な怖いようで、妖しいようで、それでいて美しくもあるそんな感じがした。でもやっぱり短編だからかなんか私の好きな加門さんの世界はこんなもんじゃない!っとも思った作品でした。
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作家本人のエッセイのほうがホラーだと思う。
文学的にしようとしすぎて面白さ半減。
ホラーは限られた視点しか読者に与えられない時か
血みどろ嫌悪感を持つものが効果的に現れる時に
恐怖を覚えるのだがこの短編集において
描写は広く、読者にとってすべてさらけ出されていて
抑制のきいた筆致で扇情的な幽霊も化け物も出てこないので
怪奇ものにしても霊威ものにしてもケレン味が足りない!
文学的側面に訴えるにしては退屈な文章・・・
加門七海の代表作ではないことはたしか。
菊屋橋はそこそこ好き。女の子ー
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もっと怖いホラー小説かと思っていたら、幻想的な描写のたくさんある、美しい短編集でした。読んでいてところどころ知らないこともたくさんあって、歴史はもちろん古い日本の風習にも造詣が深い作家さんなんだなあと。初めてですが、夏限定でなくこれからもちょっと読みたい気が…。
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ホラー短篇集。ホラーでも古典の説話集を意識した作品が多い。【がりょうびんが】がモチーフになった『墨円』がおもしろかった。
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ホラーというより幻想譚。
収録作の多くは江戸が舞台。
「赤い木馬」「墨円」が好み。
この作者は現代物の方が好みかなぁ。
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http://denki.txt-nifty.com/mitamond/2009/02/post-c50a.html
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ホラーと言うより奇譚・怪談と言う感じ。江戸怪談の定型に則った、虐げられた女性の復讐譚である「左右衛門の夜」も面白いが、同じ定型でも、そこから微妙にずれて、そのずれがなんとも怖い「墨丸」「菊屋橋」辺りがいっそう印象に残る。