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★トンコ
養豚場の運搬トラックから一匹の子豚が逃げ出す。その子豚・トンコは先に出荷されたきょうだいたちの臭いを頼りに森をさまようが、声は聞こえど姿は見えず。
★ぞんび団地
親の愛情に飢えた少女は、ゾンビになりたい、と懇願する。
★黙契
ふたりきりの兄妹。妹は自殺してしまい、残された兄はなぜ気づいてやれなかったと苦しむ。
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三話収録。
全体を通して物悲しい雰囲気に満ちていた。
・「トンコ」
交通事故で逃げ出した一匹の豚トンコはどこからともなく聞こえてくる兄弟豚たちの声に導かれるように野山や街中を探し歩くが、姿は見えず…聞こえてくる幻のような泣き声、街中から感じる兄弟豚のにおい。
いつのまにか、「トンコ」の気持ちになって読んでいた。巻末の評にもあったように、ホラーというより、幻想文学のかおりがした。
・「ぞんび団地」
以前アンソロジーで読んだ作品。ぞんびになりたいと思う女の子の心情が胸が苦しくなるほどせつない。
子供が虐待される話はホントに苦手。
・「黙契」 二人で暮らしてきた兄妹の妹が自殺してしまい、その動機を必死で理解しようとする兄が痛ましい。兄と妹(妹は死後の気持ち)が交互に語られる。
タイトルは作者の造語かな?なんとも重い言葉だ。
内容は割と好きでしたが、遺体の描写が…
リアルすぎて無理。
ホラーてグロテスクな表現入れなきゃダメなのかな…
三つの中では、やはり表題作の「トンコ」がよかったです。
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短編が三作品。
豚に感情があるっていうのはちょっと…
表題作の「トンコ」は少しばかり幼稚である気が。
オイラ的には、最後の「黙契」がよかった。
縊死した妹と、警察官の兄との心の絆。
おどろおどろしさに目が行きがちだが、兄妹の心の機微が丹念に描かれ、ホラーでなくても充分に読ませる作品だ。
兄の視線の先々に突如現れる、妹が死んだアパートの光景が怖すぎ。
「ぞんび団地」も可愛い女の子が主人公の可愛い物語なのに。
どことなく平山夢明を彷彿とさせる容赦ない残酷描写が寒々しい…
バリエイションに富んだ短編集だった。
てか、まだ方向性が定まっていないのかなあ。
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無垢な存在の眼を通してこの世の怖さ、醜さ、矛盾が露わにされる。ホラーの枠を越えた秀逸な短編だと思う。
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ホラー短編3集。
ぶひ。 ぷぎぃぃ。
・トンコ。
ホラー小説大賞短編賞を受賞したみたいだが、
どこがホラー?ってかんじ。話自体もよくわからん。
ぼととん、ぼひ。
・ぞんび団地
可哀想な女の子のお話なのだが、ユーモラス。
漫画のネタになりそな話。
・黙契
悲しくて不気味で泣かせる。これが一番読ませた。
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短編集。
怖くないホラー小説。
ホラー風味のファンタジーというか。
表題のトンコは、ぶたが主人公の逃走劇。
話の筋は違うけど雰囲気的には「かわいそうな象」的なお話。
私は割と単純な性格なので、最後のほう通勤電車で危うく泣きかけました。
他、「ぞんび団地」なんかが好みでした。ぞんびいいよねぞんび。
救いのない話がどうしても嫌!許せない!ってことはないのだけど
害意のない動物や子供なんかが出てくると
悲惨な最期にはなりませんようにって
どうしても思ってしまうので、このくらいでちょうど良かった。
まぁ、ホラーとしてはそういうのちょっとずるいよなーとも思うけど。
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表題作『トンコ』は豚目線で考えればホラーなんやろな。人間達はヒステリックで滑稽。自分の中では豚=映画『ベイブ』やから子豚をイメージしてもうたけど、百キロ強の豚が目の前におったら確かに怖い。 『ぞんび団地』が1番好き。あっちゃんが健気でセツナイ。読んでると漫画チックなゾンビを想像してしまう。特にゾンビになる方法を探ってる時のゴンが最高。それにアイツを放置しなかったのも良かった。 『黙契』は他の2作に比べると普通のホラーかな?でもゾッとする怖さは無い。
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子豚のトンコが出荷途中、トラックの事故を切っ掛けに知らない世界を冒険する話しである。トンコを子豚ではなく人と置き換えるとその恐怖は倍増する、とても上手くできているお話しである。
トンコが豚舎で飼われている駄犬のマネをしてお回りをする場面がラストにあるのだが、それを見た従業員が「おまえは、そういうことをするために生まれてきたんじゃないんだ」とつぶやく、そして家畜のトンコは残酷にも出荷されるのである。なんと物悲しいことか。
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ホラーが苦手な人でも読めるホラー…
……ホラー?
トンコ
表紙とタイトルに釣られ、手に取る。
ミニブタを飼いたいと常々思っている。
トンコはミニじゃないけど。100kg超。
細かい描写で豚の仕草が目に浮かぶ。
食われる為に産まれたきょうだいたち。
わたしだって食肉だけではなく、皮革製品を使うし、プラセンタとか、豚毛のメイクブラシとか。顔の皮や足まで食べるし。牛も鶏も羊も。
可哀想とか感情がとか言葉がわかるとか、ヒューマニズムを動物に当てはめるのは馬鹿らしいと思う。理屈ではね。
感情ではどうかなって。何を想えばいいのか解らなくなったな。ホラーではない。
豚を食べているのではなくて肉を食べているんですって台詞が印象的だった。こういう奴とは関わりたくないね。
トンコ可愛かったよ。きょうだいはあんまり。
ぞんび団地
こんなゆるゆるしたゾンビものは求めてないの……。
この筆者の持ち味のひとつである擬音の使い方が裏目に出ている。
グログロのゾンビ好きには勧められない一作。
漫画チックなかわいいぞんびが好きなら勧める。
「ひみつ」は割と容易に解るし、こっくりさんは結局何なのかとか…消化不良。
黙契
うーん…まぁ、いちばんホラーらしいのはこれか。でも、怖くはない。つまらなくはなかった。
いい兄妹だね。生真面目な兄に守られすぎた妹って印象を受けた。
三編通してのテーマは家族と切なさかな。
ホラーよりも人間ドラマの方が向いてると思う。
この筆者、怖い話は苦手だそうで。
「自分としてはむしろ、怖い話を苦手とする方々が『こういう話なら楽しめる』と感じていただけるものを書いていければ…」
との発言もあり。なるほど、納得。
大森望の解説は大袈裟かつ的外れで、これがいちばん萎えた。
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2015年、32冊目は第15回日本ホラー大賞短編賞、受賞作品含む、雀野日名子の短編集。三編収録。
これで第15回は大賞、長編賞、短編賞×2と全て読みきりました。
簡単にあらすじ&感想を……。
トンコ:輸送車輌の事故により、逃げ出した食用蓄豚のトンコ。トンコは離ればなれになった家族、兄弟を思いながらもさまようのだった。
ホラー度はほぼなし。食用蓄豚を人に置き換えて……。その変換使うなら、個人的には、もっと不条理だったり、ドロドロのホラーに仕上げていただきたかった。
ぞんび団地:小学校二年生のあっちゃんはぞんびになりたくて、ぞんび地区、くちなし台に連日通うのでした。
全体をあっちゃんの語りのように「です」「ます」調で描かれている。オチは、途中である程度気が付きました。コックリさんでもぅ少しヒネるかな(あっちゃん目線だから仕方ないが、コックリさんがチョット上位概念的存在だったりする)、とも思ったんだけど……。虐待、イジメ描写は神経逆撫でられる。
黙契:地方警察官である兄は、出張中に、東京で暮らす妹の自殺の報せを受ける。
タップリの腐乱描写の割にベタでしたね。すれ違いの兄妹の愛情。裏側で、生真面目な人が新興宗教に傾倒しやすいという警鐘が鳴ってたりする。
お気に入り順は「黙契」「ぞんび団地」「トンコ」の順かな。
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たまたまこの本の前に読んだのが重くてしょうがない本だったので、この本を二日で読み終えてしまった時、なんとも言えず気楽な気持ちになったのです。表題作以外の二作は、どこか既視感がある内容になってるけど、そもそもホラーとか推理小説は無制限に新しいネタが作られ続けていくわけでもなく、どういう語り口で進めていくか次第みたいなところもあろうし、まぁそれは良いかなぁ、と思いつつ、軽いものが読みたいところにたまたまあたって良かった。
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3編からなる短編集。表題作『トンコ』は出荷された運送トラックが横転事故を起こし、一匹の豚が逃走するという…ただこれだけの話。一般的なホラーを期待するとトンでもない肩透かしを喰らうだろう。だがもし自分が豚だったらと視点を変えた瞬間ホラーになる面白い作品である。養豚場の世界しか知らない豚が逃走中に体験する様々な出来事は恐怖であり切なく哀しい。醜悪な人間達が純粋無垢なトンコに向ける狂気は涙を誘う。本格ホラーも書ける著者が投げた変化球本は、ホラー版『およげ!たいやきくん』である。
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短篇3つ。「角川ホラー短編賞」を受賞したことで分かる通り、ハズレ。
1作目は豚、2作目はちょっとトリッキーだけど死んだ少女、3作目は死体と、わざと感情移入しにくい物体を主人公にするという、ある意味実験的趣向があったので、星1つプラス。ただ奇をてらっただけの可能性もあるけれども。
1本目の表題作は、童話にしたかったのかもしれないが、まあよくこうグダグダとかけるね、と言いたくなるような文章が続き、最後も純文学に逃げたような話。これが賞をとるんだから、ホラー大賞のレベルが知れている。純文学系ホラーなんて、もっといい作品は山程あります。審査員はそこを褒めていたらしいけど…。
2作目は打って変わってわかりやすいが、こちらも童話。問題はこれという作品ではない。3作目も同様。
全体に、「私の怖いものを集めたから、怖いでしょう?」というような話で、アイデアのみで上滑りしている。3作目でようやく普通の小説っぽくなったのに、一次情報からその先に進まない話ばかり。困ったら過去の記憶に逃げるのは全作品共通で、そこから話を広げられていない。
タイトルと表紙でハズレっぽいなとは思ったのだけど、悪い意味でジャケットそのものの1冊。
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「トンコ」はもの悲しい話ですが、怖くはありません。
「ぞんび団地」は怖い話なのに、ゾンビに愛嬌さえ感じてしまいます。
「黙契」はこんな文体も書けるんだと驚きましたが、ラストで納得しました。
雀野日名子の紡ぎ出す物語は、いずれも私の心にしっくりくるものばかりでした。
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ホラー要素は感じなかったが、ただ切ない。
トンコそのもののセリフは無いけれど、無邪気なトンコがかわいいくて最後は泣ける。