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『悼む』こと、死を目の当たりにすること、あがくこと、生きること、生まれること。
3人の視点で展開していくので、様々な生き様をみることになった。『悼む』という行為が理解できない前半、そして、その行為を認めつつもなにか上手くは伝えられない後半。この本の良さも『悼む』という行為と同じように、どこがどう心にひっかかるのかということを、言葉にするのは難しかった。
記憶の中に留めることで、1人をひとりとして永遠にすることができるような気もするし、結局は淋しいのだという気もする。忘却が生きる術ならそれも肯定できる。自分に残るのはなんなのか、虚しさと温かさが同居する。
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すごいいい本。
主人公の「悼む人」は、その行為だけ見れば聖人っぽく見えるけど、実は迷いがあり、心がとてもセンシティブで、普通に会社員してたのにやめて・・・。
物語の途中からは、女性との関係も出てくるので、ああ、やっぱり男の人なんだ、と人間くささを感じます。
個人的には、主人公のお母さんのエピソードが好きです。
ぐっと心をわしづかみにされます。涙が出そうになりました、最後のほう。
悼む人、っていう主人公を3人の立場の違う登場人物が目撃、あるいはともに過ごし、彼らの視点で悼む人が描かれる。悼む人自身が物語の主体となるわけではなく、
悼む人に触れてその3人の心情が揺れ動くさまを描いていて、読んでいて面白いです。
ただ、、、映画化は難しいかもです。この悼む人をどの俳優がやるのか・・・・、むずかしいですね。
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故人を哀れむのではなく「誰に愛され誰を愛し感謝する」を見つけ出し悼む静人。
旅を苦しみながら続けていくことが彼の生い立ちからも良く分かり
かかわった人々、そして静人自身に希望という小さな光を与えるようでした。
とても考え深い心の奥に残る1冊でした。
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直木賞受賞作。
暗い中に一筋のかすかな光が差すような、そんな物語。
人は、だれでも最後は死ぬ。
死んだ人は、その時、残された人に何を望むのだろう。
「忘れないで」
と、思うんだろうな。
私は誰を愛し、誰に愛され、誰に感謝されているのか。。。。
最後に母は息子に会えたのかしら・・・
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報道された死者の死を悼む静人。世間では不審者か宗教がらみかと誤解されるが、そうせざるを得ない何かに突き動かされて旅を続ける。彼が心に刻むことはシンプルな3つのこと。静人の行動に絡んで影響を受ける新聞記者や共に行動する女性などよりも、母親の気持ちが一番心に響いた。
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全国を放浪し、死者を悼む旅を続ける坂築静人。彼を巡り、夫を殺した女、 人間不信の雑誌記者、末期癌の母らのドラマが繰り広げられる
聖者なのか、偽善者か?「悼む人」は誰ですか。七年の歳月を費やした著者の最高到達点!善と悪、生と死が交錯する至高の愛の物語。
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ご存知、直木賞作品です。
ミーハーなもんで、賞ものにはけっこう手を出してしまいます。
と、永遠の仔もけっこう好きだったので。
暗そうな印象あるかもですが、読後感はすがすがしかったです。
共感できたのは、残忍なニュースなどを見ていて、ひとひとりが亡くなりこの世からいなくなるのって
すごくさびしくて、つらいことなのに、情報が多いいま、仕事が忙しいいま、
たんなる出来事ぐらいでしか捉えてないなーって。それってどうなんだろうって思わされました。
父が亡くなり、最近は祖母が亡くなって、
自分がしっかりふたりのことを心に刻んでおこうとさらに強く思いました。
oke
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娘が高校から借りてくれた。読み進めるのが結構HARD。それは、私が母であり、死に対して目を反らせたい所があるからかな。
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半分まで読むのが少々辛かったのですが、後半からなんか悟りが降りてきたように穏やかに読む事が出来ました。
ラスト間に合ったと信じたい。
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誰を愛し、誰に愛され、どんなことをして感謝されていましたか。
死から生を見つめる大切さを
統計的に換算されてしまう死の儚さを
ただ、最後に一緒に旅をしていた二人が、
あーなったすえ、こーなったのは
なんだかなーって感じ。
女目線で見ると、
むっちゃわがままな女じゃないかなー
一緒にいたらイラっとくること
間違いなしだな。
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オール読物で前編しか読んでないけど、冒頭から親友への罪悪感を感じる女の子の気持ちがとても重くて、むしろそこまで人の死を背負い込めるその子が羨ましくもあり。人の死をどう迎えるか、どう受け入れて納得するのかしないのか、何しろ死んだことのない現世の人間には難題すぎる課題なのだろう。年をとるごとに、死に慣れるどころか、その重みなのか後悔なのか自責の念なのかに耐えられず押しつぶされそうになるばかりだが、悼む人の姿はもしかしたらその重みを全面に受け止めて共存する方法なのかもしれないし、少なくとも「死んだ人のことばかり考えてないで自分の人生を生きるべきだ」なんて、たとえそれが真実を含むとしたって知ったような顔をして言われるよりは、受け入れられる姿かもしれない。
2010年10月、やっと単行本で完読。どの人の話も重い。幸代の話はなかなか理解できなかったけど、人の死を背負いすぎてしまった人と、これから背負われるお母さん。どうにか静人には、生き残って、そしてお母さんにあえていてほしい。人の死におれてしまいそうなで、生きていることに罪悪感を感じている人の、生きる希望になると思うから。
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深いです。
でも、こういう本好きです。
考えさせられるところもいっぱいあり、涙するところもあり、電車の中で読むには内容がありすぎです。
お家でゆっくり読みたいタイプの本でした。
悼む。
う〜ん、深いです。
あまりその行為の意味を考えた事なかったわ。
感動しますよ。
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装丁がステキです。
“悼む人”というキャラクターの存在がおもしろい。
“悼む”という行為にどのような理由をつけるのか?
それが気になって、最後まであっという間に読みきった。
天童荒太の作品は、『家族狩り』 『永遠の仔』もそうだったが、とにかく一気に読みきってしまう。
私と相性が良いのかもしれない。
この『悼む人』は前2作と違って、多少地味な話。
でも読んだ後に前向きな気持ちになる作品だった。
その為かもしれないが、ちょっとラストが綺麗に終わりすぎる、かも。
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現場を訪れ亡くなった人を悼む旅を続ける主人公。
うーー・・・ん。
なんだかストレスが溜まりました。
なんで○○しないの!?とかイライラする。
が、それだけ引き込まれていた感は否めない。
苦手分野な作品だけど良いモノだと思う。
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「亡くなった方は誰に愛されていたでしょうか。誰を愛していたでしょうか。どんな事をして、人に感謝されたことがあったでしょうか。」死者を悼む旅に出た坂築静人は死者について尋ねてはそれを心に刻み込んでいった。いつも、どんな人の傍にもひっそりと寄り添っている死、でもいつもはそんなことは念頭になく、無関心でさえある毎日だ。いつもいつも死に向き合って亡くなった人を覚えておこうとする静人は「悼む人」と呼ばれ、その行動は奇異の目で見られる。痛む人を中心にフリージャーナリストの蒔野抗太郎や夫を殺害した奈義倖世、そして静人の母巡子を中心にした静人の家族の出来事や行動や心の動きは悼む人の影響を受けて徐々に変化していく。死に至った原因や死に方ばかりが注目され、亡くなった人がどんな人だったかは忘れられていくことはやはり寂しいことだもんなぁ!母親巡子の死と入れ違いに生まれた孫、死はけして忌み嫌うものではないし、怖いものではないことが伝わってきた。